EMA・指数平滑移動平均とは

EMA・指数平滑移動平均の意味、MACDとの関係、EMAの計算式及び算出手順、EMAとSMAとの相違点、EMAの簡易計算式、投資苑、について解説しています。

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EMA・指数平滑移動平均の意味

 EMA・指数平滑移動平均とは、株式投資におけるテクニカル指標の1つで、SMA・単純移動平均の欠点を補完するべく改良された移動平均です。
 またEMAは、MACD(移動平均・収束・拡散法)の算出に使用されるので、MACDの前提として必要な知識となります。

※EMA(Exponential Moving Average)は指数平滑移動平均の英語表記です。
※SMA(Simple Moving Average)は単純移動平均の英語表記です。

SMA・単純移動平均の特徴

 SMA・単純移動平均は、所定の期間における、株価の平均値を算出したものです。
 単純移動平均線は、SMAの値を当日の値としてプロットして、点群を線でつないだものです。
 移動平均線の傾きが右肩上がりか、右肩下がりかを見ることで株価の大よそのトレンドを把握出来ます。
 又、株価が移動平均より上にあるか下にあるかで、売買タイミングを計ることが出来ます。

SMA・単純移動平均の欠点

 SMA・単純移動平均は、当該期間の株価の合計を、当該期間の日数で割って算出するので、移動平均に対する各株価の重みは均等です。
 重みが均等で何か問題があるのかと、疑問に思われるかも知れませんが、古い日付の株価が直近の株価と同じ重みを持っていることが問題を含んでいます。

 例えば計算期間が10日だとすると、1日目の株価と10日目の株価との重みが同じということです。
 しかし直近の株価トレンドを把握するには、10日前の株価よりも当日の株価の方が重要な意味を持っています。
 古い株価が相当な重みを持っていて、移動平均にそれなりの影響を与える為に、トレンドを把握するタイミングが遅れるなどの悪影響が出るという欠点があります。

SMA・単純移動平均の欠点を改善するEMA

 SMAの欠点を改善する為の工夫は、日付の新しい株価ほど重みを大きくし、日付の古い株価ほど重みを小さくすることです。具体的には以下の計算式で算出します。

EMA・指数平滑移動平均の計算式

 EMAの計算式は以下の通りです。(説明上、計算式1とします。)
EMA = 当日の株価×2÷(N+1) + 前日のEMA×(N+1-2)÷(N+1)
※Nは計算期間の日数

 EMAの計算式のポイントは、当日の株価を2倍していることです。つまり一番新しい株価の重みを大きくしていることになります。
 又、分母はNではなく(N+1)としています。これは当日の株価を2倍したことで、株価が1日分増えていることになるので、分母の日数にも1を加えて整合性を保っています。

EMA・指数平滑移動平均の計算手順

 話を単純化して分かり易くする為に、計算期間を5日(N=5)として話を進めます。

(1)5日分(N=5)の単純移動平均を算出する。

 EMAの算出には当日の株価と前日のEMAとを使用しますが、計算開始当初は前日のEMAが存在しないので、まずはN日分の単純移動平均を算出します。
 本計算例では、5日分のSMAを当初の仮のEMAとします。

EMA=(1日目~N日目の株価合計)÷N
   =(1日目~5日目の株価合計)÷5

(2)EMA計算式にて6日目のEMAを算出する。

 当日の株価には6日目の株価を使用します。前日のEMAには(1)で算出した5日分のSMA(仮のEMA)を使用します。

EMA=当日の株価×2÷(N+1)+前日のEMA×(N+1-2)÷(N+1)
   =6日目の株価×2÷(5+1)+5日目のEMA×(5+1-2)÷(5+1)
   =6日目の株価×0.333+5日目のEMA×0.667

(3)EMA計算式にて7日目のEMAを算出する。

 当日の株価には7日目の株価を使用します。前日のEMAには(2)で算出した6日目のEMAを使用します。

EMA=当日の株価×2÷(N+1)+前日のEMA×(N+1-2)÷(N+1)
=7日目の株価×2÷(5+1)+6日目のEMA×(5+1-2)÷(5+1)
=7日目の株価×0.333+6日目のEMA×0.667

(4)同じ要領で順次計算を繰り返す。

 以降は(3)項の計算と同じ要領で、日付をずらして順次計算を繰り返します。
※計算例の株価は日経平均株価です。

EMAの計算手順(期間5日の例)
No. 日付 株価 SMA EMA EMAの計算式
1 2008/1/29 13,478
2 2008/1/30 13,345
3 2008/1/31 13,592
4 2008/2/1 13,497
5 2008/2/4 13,859 \13,554 \13,554 EMA=(1日目~N日目の株価合計)÷N
   =(1日目~5日目の株価合計)÷5
6 2008/2/5 13,745 \13,608 \13,618 EMA=当日の株価×2÷(N+1)+前日のEMA×(N+1-2)÷(N+1)
   =6日目の株価×2÷(5+1)+5日目のEMA×(5+1-2)÷(5+1)
   =6日目の株価×0.333+5日目のEMA×0.667
7 2008/2/6 13,099 \13,558 \13,445 EMA=当日の株価×2÷(N+1)+前日のEMA×(N+1-2)÷(N+1)
   =7日目の株価×2÷(5+1)+6日目のEMA×(5+1-2)÷(5+1)
   =7日目の株価×0.333+6日目のEMA×0.667
8 2008/2/7 13,207 \13,481 \13,366 以下は同じ要領で順次計算を繰り返す。
9 2008/2/8 13,017 \13,385 \13,249
10 2008/2/12 13,021 \13,218 \13,173
11 2008/2/13 13,068 \13,082 \13,138
12 2008/2/14 13,626 \13,188 \13,301
13 2008/2/15 13,622 \13,271 \13,408

EMAとSMAとの相違点

 EMAとSMAとの主な違いは以下の2点です。

(1)移動平均に影響を及ぼす個々の株価の重みが異なる。

 EMAの株価の重みは、当日の株価に最も大きな重みが付いており、日付が古いほど重みが小さくなります。
 これに対しSMAの株価の重みは、各々の日付の株価の重みが均等です。

(2)計算期間より古い株価の影響が異なる。

 EMAの場合は、計算期間より古い株価が急に消えるのではなくて、徐々に重みが小さくなってフェードアウトしていきます。従って、EMAは計算期間より古い株価の重みが、わずかに残ります。
 これに対しSMAの場合は、計算期間より古い株価は、直ちに計算対象外となって消えます。

 以下の表における黄色の部分は計算期間である5日分の重みです。直近の5日より古い個々の株価の重みは、日を追う毎に小さくなっていくことが分かります。

EMAにおける株価の重み(期間5日の例)
No. 日付 株価 SMA EMA EMAの株価の重み
5日目 6日目 7日目 8日目 9日目 10日目 11日目 12日目 13日目
重み合計→ 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%
直近5日の重み→ 100.0% 86.7% 82.2% 82.2% 84.2% 86.8% 86.8% 86.8% 86.8%
1 2008/1/29 13,478 20.0% 13.3% 8.9% 5.9% 4.0% 2.6% 1.8% 1.2% 0.8%
2 2008/1/30 13,345 20.0% 13.3% 8.9% 5.9% 4.0% 2.6% 1.8% 1.2% 0.8%
3 2008/1/31 13,592 20.0% 13.3% 8.9% 5.9% 4.0% 2.6% 1.8% 1.2% 0.8%
4 2008/2/1 13,497 20.0% 13.3% 8.9% 5.9% 4.0% 2.6% 1.8% 1.2% 0.8%
5 2008/2/4 13,859 \13,554 \13,554 20.0% 13.3% 8.9% 5.9% 4.0% 2.6% 1.8% 1.2% 0.8%
6 2008/2/5 13,745 \13,608 \13,618 33.3% 22.2% 14.8% 9.9% 6.6% 4.4% 2.9% 2.0%
7 2008/2/6 13,099 \13,558 \13,445 33.3% 22.2% 14.8% 9.9% 6.6% 4.4% 2.9%
8 2008/2/7 13,207 \13,481 \13,366 33.3% 22.2% 14.8% 9.9% 6.6% 4.4%
9 2008/2/8 13,017 \13,385 \13,249 33.3% 22.2% 14.8% 9.9% 6.6%
10 2008/2/12 13,021 \13,218 \13,173 33.3% 22.2% 14.8% 9.9%
11 2008/2/13 13,068 \13,082 \13,138 33.3% 22.2% 14.8%
12 2008/2/14 13,626 \13,188 \13,301 33.3% 22.2%
13 2008/2/15 13,622 \13,271 \13,408 33.3%

EMAのもう1つの計算式

 EMAの計算式に関して、前記の計算式1とは別の計算式が解説されていたことがあります。そちらの計算式の方が単純です。その計算式は以下のセミナーで解説されていたものです。

・開催日:2005年12月17日(土)
・主催:マネックス証券・パンローリング株式会社
・セミナー名:年末スペシャルセミナー・テクニカルチャート分析の徹底攻略!!
・講師:川口一晃氏

EMAの計算式2(簡易式)
EMA=(1日目株価+2日目株価+・・・+N日目株価+N日目株価)÷(N+1)

 計算式1と計算式2との共通点/相違点は以下の通りです。
共通点
(1)N日目の株価(当日の株価)を2倍していること。
(2)分母がN+1であること。

相違点
(1)計算式1は当日の株価に加えて前日のEMAも使用するが、計算式2は前日のEMAは使用しない。
(2)計算式1は計算期間より古い株価も小さい重みで若干残るが、計算式2は計算期間より古い株価は一切使用しない。

 計算式1は厳密式で、計算式2は簡易式であると思われます。各々の計算式の結果を比べたことが無かったので、今後比べて検討してみたいと思います。(2008/02/19)

投資苑とは

 株式投資関連の解説書である投資苑には、EMAやMACDに関して比較的詳しく解説されています。またEMA以外にも様々なテクニカル指標が解説されています。
 その解説の特長は、単に計算式を載せるだけでなく、読者がExcel等の表計算ソフトで算出することを考慮して、算出手順や計算例が掲載されていることです。

書籍版 オーディオブック版
投資苑 オーディオブック版 投資苑


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更新日:2013年09月08日 日曜日
作成日:2008年02月18日 月曜日

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