作泥材料(泥水調整剤)
泥水加圧シールドにおける泥水に必要な性質は、
@切羽の自立 A逸水の防止 B掘削土砂の流体輸送 C排泥水の容易な土砂分離
上記4点にあり、特に@の切羽に対する泥水加圧効果により、切羽の自立を確保する事が基本となっている。
泥水は、常に所定の比重、粘性、濾水量等が要求されるが、現場から入手できる粘性土のみで、これらの
条件を満足できない時は、各種の作泥材料、調整剤を配合して、調整し作泥する。
作泥材料は現場発生の粘性土、ベントナイト、CMC、及びポリマー剤(高分子系溶剤)で、土質の条件により、
これらを単独または併用して作泥される。
泥水調整剤は、泥水比重、粘性、pH等の変動による泥水の劣化を防ぐ為に用いられる。
作泥材料
ベントナイト CMC ポリマー剤 調整剤 逸泥防止剤
ベントナイト
主剤として、また現場発生の粘性土の性状を補完するものとして、ベントナイトがよく使用
される(外国産、群馬産出のものが多い。)
モンモリナイトを主成分とした粘土鉱物で、真比重2.4〜2.95、粉体の見かけ比重0.83〜1.13
液性限界330〜590%。原鉱を加熱、乾燥、粉砕した後に分級し、粒度に応じて市販されている。
親水性に富み、水中で5〜10倍に膨張し、表面で負電位を示し、切羽に泥水壁を形成する機能
をもっている。低濃度で高粘性を生み、安定した泥水となるが、泥水分離を困難とする欠点がある。
また、陽イオン交換をしやすいので、裏込注入によるアルカリや、地下水の陽イオンがベントナイト
粒子に吸着し、泥水の劣化となりやすい。この対策として泥水調整剤をもちいたりする。
CMC (ナトリウムカルボキシメチルセルローズ)
増粘剤、濾水減量剤として用いられる。木材パルプを科学的に処理した高分子糊で、水に溶解
すると粘性の高い液体となり、ニュートン流体に近い性質をもっている。
0.05〜0.5%の濃度で使用すると、逸水防止に有効で、礫層、粗砂層で使用される。
ポリマー剤
高分子重合体による有機ポリマー類と、各種の無機珪酸塩類を粘土またはベントナイトによる
泥水に添加したポリマー泥水が、粘土、ベントナイトと組合わせて用いられている。
ポリマー泥水の特徴
T 比重が 1.01程度と低い為、固形分の分離がよい。比重を高くする時は、シルト、粘土、
ベントナイトなどを混合する。
U 0.5〜1.5%の低濃度で所要の粘性が得られ、泥水壁が形成される。
V セメント、塩分による劣化が少ない
調整剤
調整剤の目的は、切羽の掘進によって泥水の性状変化を防ぐためのものと、変化した泥水の
性状を所定のものに戻すためのものとの二者がある。すなわち、比重・粘性の増減、pHの中和
等を図る為に、作泥材の補助として、さらには公害防止の観点から使用される事もある。
分散剤
泥水の粘性が上がってきた場合、一般的にはプレス機や水による希釈で粘性を下げるが。現場
によってはプレス機がなかったり余剰層に余裕がない場合がある。その様な時に分散剤を使用し
泥水の粘性の低下を図り、泥水に活性を与えて劣化を防ぐ為にしようされる。フミン酸ソーダ、
炭酸ソーダなどがある。
pH中和剤
改良区間や海水土壌を掘削し、泥水がpHにより劣化した時にpHを中和させるために、希硫酸、
リン酸、液体炭酸ガスの気化などを使用する事がある。
しかしpHを中和する希硫酸等が粘性を極端に下げてしまう為、実際の現場では定期的に劣化し
た泥水を廃棄し新規に真水より作泥をおこなったり、泥水を購入したりしている。
逸泥防止剤
礫層や人工的に埋め戻した地層を掘削する際に、泥水が極端に逸泥(泥水が地山に逃げていく)
する場合がある。そのような場合、基本としては通常の掘削より比重・粘性を上げて掘削を行う。
それでも逸泥が止まらない場合は逸泥防止剤を泥水に添加する。逸泥防止剤は目に見えない
無機系の繊維を主体としたものと目に見えるパルプ繊維を主体としたものが有る。
消泡剤
泥水シールドの初期掘進や到達部でFFU改良部分等を掘削時に泥水が泡立つ事があります。
表面上が蟹の泡の様に泡立っても掘削には特に影響はありませんが、泡が練りこまれて生クリーム状に
なってしまう場合があります。 その様な場合には消泡剤を使用して泡を消す必要があります。
また泡にも色々な種類が有り薬剤が合わないと、泡が消えませんので泡起つ原因を見極めて使用してください。
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