東方見文録

東方見文録は、株式会社ナツメより、1989年に制作されたファミコン専用ソフトです。
当時、あまりにもスゴイ出来により、雑誌のレビュアーが困ったという話あり(参考・ヒッポン)。
まぁ、当時の資料を調べたところ、「痛快!!風刺ギャグ」と載っておりました。
その評価は、当時としては、とても的を得ていて、すばらしいと思います。
その後の雑誌では、ナンセンスギャグのゲームとして紹介されました。

現在では、「バカゲー」というジャンルができ、そこに配置されているらしいです。
密かに有名どころの方が、スタッフにいるというのには驚き。
パッケージデザインは、クセがあって有名(笑)ですが、音楽も、有名な某人という噂です。
ヒント;ゲルニカ(ヒントじゃねぇって)
このゲーム、密かにファンがいるらしく、管理人は嬉々としています。
やっぱり、第五章の、ブンロクの台詞が良いらしくて・・・。
是非、みなさん購入できる環境にあったら、プレイしてみてください。

感想など

発売十年目に購入したソフトです。
このゲームの存在は、前々から知っていました。
その当時から、異色作として有名だった気がします。
かなり前から買おうと思ったのですが、値段が高くてやめたのです。
でも、とある記事を見てからほしくなって、ゲーム店をさまよい、電話し、手に入れました。
協力してくれた中古店の人たちありがとう(笑)。

最初は、ナンセンスギャグと、いきなりな展開が目についたのですが、
時々、ハッとするようなセリフがあったりします。また、テーマが重いなーと思って。
宗教対立、環境破壊、戦争などのカテゴリーが入っていて、
ナンセンスでは言いきれないストーリーかな。

個人的に気になったのは、主人公である二人の友情。
最初は、知り合いとお互いに言っていたのに、章が進むと、友達、そして友人と、二人の関係がアップしているのが好きでした。
最後、主人公の行動によって、友人であるマルコが海のもくずとなってしまい、叫ぶシーンが印象的です。
ブンロクの、「マルコはイタリア人なんだぞ、この戦争には関係ないのに」
というセリフに、なぜか感動してしまいました。
なにか、針で刺したような痛みが残るセリフで。
実際、日独伊同盟のことなんですけれど、なんか好き。

そして、エンディング後、泣いてしまったわたしが…。(笑)
展開が早いので、後になって、だーっと何かこみ上げるのがきます。

このゲームの評価は知っているものの、あまり情報に左右されない性格なんで、
先入観なく楽しめました。このゲームは、主人公、文禄の語りから始まります。
回想録のような印象がありますが…。

システムは、それほど難しくないのですが、操作法がちょっと…と思いました。
キャンセルの仕方が、よくあるゲームと違うので、説明書を持っていないと、
知らないままプレイ、なんてこともあるし。
(管理人の例・殴りコマンドでゲームオーバー)

わたしは、説明書つきで買うことができたので、嬉しかったです。
パッケージの絵が有名ですが、説明書の絵がとてもかわいくて好きなんです。
また、不思議な説明文が味があっていいなーと思います。

シナリオは序章(デモ)と全五章で構成されていて、一章ごとにパスワードを設けてあります。
このパスワードが、文字でなく絵というのが個人的に好きだったりします。
書き写すのは面倒だけれどね…でもこれは、プレゼント応募の関係だと思うので、
これはこれでいいと思います。

キャラクターがけっこうしっかりしていると思いました。ゲストキャラにも味があって、また、特徴のある絵とか。
文録は、ちょっとマッドですが、さりげなくインテリな部分を出したりするんですよ。こういうので、ちょっと惚れた。
マルコはかわいくて、少年っていう感じですねぇ。女の子っぽいところがあるけれどね。
あと、ナビという、いわゆる天の声の存在がけっこういいと思いました。
ナビがいなかったら、キャラクターへの親近度が少なくなってしまうと思う。

あと、ナビが進行のヒントを教えてくれたりするので助かります。
謎解きがあるわけでもなく、けっこう総当りで進めます。
詰まったときは、道具のコマンドを使うと道が開ける可能性が多いです。

キャラクターを要所要所で交換してストーリーを進めます。
それほど複雑ではありません。どちらかというと、二人一緒にいるときは、
会話を楽しむ為のものと思ったほうがいいですね。
あと、交渉はマルコ、強行策は、文録というふうに使うのがコツです。

詰まりそうなところは、砂漠です。亡霊たんばの所以外は、てきとうに進めますが、
この亡霊の砂漠はひっかかるかもしれません。
ヒントとしては、鈴の音は、高音と低音があるということです。
何回も聞けるので、あせらないで進みましょう。
システム的には、そんなに複雑ではなく、謎解きは凶悪なのはないし、初心者向けに作られていたのではないのかな。

そうそう、このゲーム、サウンドセレクトがあるのです。
結構、好きな曲が多い…いや、全部好きかも。
個人的には、テラスで二人が話すところのシーンの曲、
ハーンに会ったときの曲、賢者の樹の曲がお気に入りです。

テラスで二人が話すところのシーンは、
静かに二人が話している場面の雰囲気に合っているなーと思います。
この場面は、とても好きなんです。ハーンの曲は、
オープニングタイトルの曲でもあります。音の音色がとっても好きなんです。
賢者の樹は、不思議な雰囲気が出ていて、また、メロディーが切なくていいです。

噂では、ゲルニカというグループが音楽担当だったって話なんですけれど…。
実際、スタッフの名前はすべてペンネームなんで、確認がとれませんがどうなんでしょ??

世間の評価は、ギャグと最後の唐突な終わり方に集中していますが、ストーリーがとてもよくできていて、スタッフのセンスを感じます。
セリフまわしとかもよくできているし、わたし自身は、物語の矛盾を感じなかったです。
(ここの矛盾っていうのは、開発中にできてしまったストーリーの矛盾のこと)

あと、当時の社会風刺がはいっていて皮肉な感じが好きです(笑)。

ストーリー進行に関係ないさりげない演出も好きです。
星空を見上げたときに、流れ星がながれるのがお気に入りです。

この当時のアドベンチャーゲームの質の程度はよくわからないのですが、
アニメーションしたりするのがちょっとびっくりしました。でも、べつに凄くないのかな。
時々、ドットが荒いと思うときがありますが、何かセンスを感じるグラフィックだと思った。
陰と陽のグラフィックがうまいと思います。それで表された背景の一枚絵がかっこいいです。

最後の終わり方は、あの当時だからこそできるんだなーと思っています。
今では、そんな終わり方はできないのでしょう。
ストーリーが複雑で、難しい事柄があったりするので、子供向けではない気がしました。
歴史的な事柄を知っていないと、わからないところがあるので、
その説明がほしかったですね、背景とか。
わたしは、山の老人の話を知っていましたが、知らない人のほうが多すぎるのでは??

せっかくだからキャラクター紹介

東方見文録

一応このゲームの主人公。
すばらしい学歴(怪しい大学に所属)はともかく、金持ちのおぼっちゃまという設定は(笑)。
最初はマルコの弟子になる予定が、まったく違う方向に行くところが良い!
性格的には、俺についてこいタイプの気がする。
そこが…いいなぁ…と思うんですが、かなりドリーム入っているんでしょうか?!

自分ではかなり変な行動にでるが、自分の許容外の現象には弱い気がするのは、エンディング参照。
ゲームをやっているものにとっては、なんだそれはと思う考えでも、
本人はきちんとした理論に基づいているのだと思っており、
さすがマッドサイエンティストといったところ。
歴史には強く、ゲーム中でその知識ぶりを披露してる。

どうやら英語がネイティブで話せるらしく、マルコとは英語で会話しているらしい。
(ゲーム中、マルコは時々英語を使うので。)
また、イスラム語を、ラッキーさんの本で話せるようになってしまうので、頭は良いらしい。
服装とか、外見に気をつかっているらしく、自分はカッコイイと思っている(笑)。

ちなみに、管理人の描くブンロクは、かっこよすぎると言われました(笑)。
わたしは、いつでもああいうイメージで考えているんですけれどー??
ブンロクのなにがいいって、あのほっぺのぷにぷに加減が!!(笑)

マルコ=ポーロ

ヴェニスに出発したときの年齢は15とも16とも言われている。
ゲームでは、前者の説をとっているらしい。

すぐ気絶し、腰が弱くてよく腰を抜かすことあり。
性格は、いたって真面目で、すでに大人の知識を持っている。
目上の人とでもきちんと話せるような話術を使っているのは、商人としての技。
しかし、やはりまだ少年の面影はあり、ブンロクと話すときは、まだ子供っぽい。

他力本願っぽく、困難が立ちはだかると、すぐブンロクをあてにする。
しかし、一人でいるときはちゃんと自分一人で対処するので、なにもできないということではないらしい。
ただ単に、ブンロクをあてにしているらしい(笑)。

父親といっしょに元(げん)に行くのは、彼の商人としての修行であった。
ポーロ一族は、代々商人であり、マルコはそれを継ぐのが決まっていた。
よって、さまざまな国を見て、外交術や貿易を学ばなければならなかったと。
以上、東方見聞録の文献より考察してみました(笑)。

実際、マルコが元に行ったかは、怪しいみたいで、研究者で意見がわかれているんだとか。
マルコは、結構外国では人気のある偉人みたいなんで、
ブンロクも、そういう尊敬していた気持ちが、なんとなくわかります。
・・・ゲームの最後は壮絶で、悲しすぎるけどね。

二人の関係など語ってみる

最初は、ブンロクはマルコに弟子入りを志願していた。
しかし、ブンロクが見たのは、まだ商人としては半人前の、少年マルコ。
これでは、弟子入りできるはずはない。
よって、知り合いで始まった二人の関係。だが、困難を乗り越えることによって、
いつのまにか友人という関係になる。

8歳の年齢の差のため、ブンロクが兄、マルコが弟といった、兄弟のような関係に見えなくとも無いけど。
2人の関係は、親友でも最高レベルで、
いいなーと羨ましく思ってしまいます。

エンディング後を考える

五章のは、「ブンロクは発狂し、マルコは死ぬ」という解釈が一般的ですが、
それではあんまりなんで、自分救済用(笑)。

そもそもの五章のブンロクの語り

序章でも使われる、ブンロクのアップで、ブンロク自身が語っているシーン。
これが、なぜか五章で頻繁(といっても、数回)だけどに出てきます。
ちなみに、他の章ではこのシーンは出てきません。

そして、マルコが海の藻屑となった後のシーン。
ここで、ブンロクは、五章の時間より、未来にいる気がします。
「気がついたときは、海岸に・・・」という話から、このシーンは、前後の時間とは、
ずれていると思うのです。また、気絶した後よりも未来の事を語っているので、
この後、ブンロクが幽閉されるのですが、これよりももっと未来のブンロクが、
このシーンのブンロクではないのかと考えたのです。

東方見聞録との接点というわけで、五章のブンロクの語りは、EDの発狂後ということになります。
つまり、幽閉されているブンロクが回想しているのが、「東方見文録」です。
よって、「東方見文録」は彼の自叙伝ということになるのでしょう。
考え方によっては、「ナビ」は天の声というより、未来のブンロクとも言えます。
ちなみに、原作「東方見聞録」は、マルコ=ポーロが獄中(幽閉)の状態で、著したのだと言われています。

時の帝王との会話

「時を犯した」といって、ブンロクを幽閉する時の帝王は、その名の通り、すべての時を支配する王である。
ブンロクは、タイムマシンを発明して、歴史に介入する。
しかし、アークルなどでマルコと行動するのにあたっては、帝王は何も言ってこない。
五章で、タイムマシンを遠隔操作して、神風を起こし、元の艦隊を全滅させ、マルコを死に追いやったというところで初めて時の帝王は、ブンロクを裁く。

神風が来たのは、はたして、神風を時のねじれにより召還したのか、
それとも艦隊まるごと第2次世界大戦にタイムスリップしたかは不明ですが、
それにより歴史が大幅に狂ってしまったのは明らか。
艦隊全滅、マルコ死亡は、かなり歴史を狂わしたといってもいいでしょう。

そして、時の帝王は、それを元に戻すという役目があると考えます。
つまり、ブンロクを、時のハザマに幽閉して、今まで起きたことはなかったというように、ブンロクを、歴史から消去します。
よって、ブンロクが1988年にタイムマシンで時空間旅行するということも、マルコに会うと言う事も、すべて無かったことになるのです。

これまでのまとめ

よって、ブンロクは、時のはざまで「東方見文録」の執筆、マルコは何事もなかったように過去を生きる・・・ということではないのかと、思います。

2005/07/10 up