矮人の化身 (5)矮人の化身

―――ダイティヤの王バリは特殊な祭儀を行って力をつけ、インドラ神を破ってその都を奪った。神々に救済を求められたヴィシュヌは、バラモンの息子の矮人(こびと)として生まれ、バリのもとへ行った。バリはバラモンの少年に喜捨しようと考え、何か欲しいものはないかと尋ねた。すると少年は自分が三歩歩けるだけの土地をくれと答えた。バリの司祭であるシュクラ(金星)は、この少年はヴィシュヌではないかとあやしみ、拒否するように忠告したが、バリは承知した。ヴィシュヌはたちまち本来の姿を現し、第一歩で大地を踏みしめ、第二歩で天をまたいでしまった。三歩目はどこへ置けばよいのかと尋ねられて、すでに己の高慢を悔いていたバリは自分の頭を踏んでくれるように願った。ヴィシュヌは、バリが約束を守ったことと、ダイティヤながら善政をしいていたことを称讃し、殺さずに眷族(けんぞく)もろとも地底界に追放したのである。

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