文鳥問題. |
《ヒナのエサ》
誤解されることも多いですが、私個人には食べ物の中身にこだわる趣味はありません。文鳥のエサにしても、無農薬云々や産地について神経質には考えていません(雑穀栽培に大量の農薬を使用する必然性が無い。農薬にしても適正に使用する限り完全否定するのは非合理的と考える)。
しかし、今年のヒナ餌付けを始めるにあたって、文鳥のヒナが食べる加工食品の中身が大体どのようなものかくらいは、それを食べさせる飼い主の責任上知っておいたほうが良いと思いました。この点で、なぜか私がアワ玉に混ぜて使用していた某飼料店のヒナ用のエサには、原材料の表記が何もありません。そこで問い合わせたところ、案外なことに「企業秘密」とのことでした。
私個人の性格を離れて客観的に見れば、おおまかな原材料も公開しない加工食品を使用することに合理的な説明を施すのは困難です。本来、原材料を示し消費者に検討の余地を提供するのは製造者の義務だと思いますが、これはその会社の方針ですから致し方ありません(ただし人間の加工食品であれば、原料表示は法律上の義務です)。この際、そういった内容のわからないものを除外し使用せず、原材料から自分の頭で考え満足行くように模索してみることにしました。【2005年11月】
※ 青枠の画像をクリックすると、『楽天市場』の当該商品ページが現れるのでご注意ください。
(『文鳥屋』もご参考いただければと思います)
なぜアワ玉を基礎にするのか?
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孵化15日目のヒナ。親から粒状のエサを |
文鳥のヒナの餌付けでは、ムキアワに鶏卵(玉子)のおもに黄味をまぶしたアワ玉を基礎にするのが伝統的で、私は結局これが一番良いものと考えています。なぜなら、普通に飼育し、繁殖させたことがある人なら、親鳥が孵化後10日を過ぎたヒナに何をどのような形で与えているか知っていると思いますが、それは殻をむいた粒々の状態に他ならないからです。
最近は、文鳥の餌付けでもパウダー状のエサのみで餌付けすることを推奨する人がいますが、それは栄養的には問題ないとしても、文鳥にとって不自然には相違ありません。なぜなら、親鳥は一般に餌付けが行なわれる時期(孵化後2週間以降)のヒナに、主食(配合飼料やアワ玉)を噛み砕いて与えたりはしないからです。
また、パウダーフードを液状化して餌付けする際は、そのうが空になってからでなければ、消化不良を起こすとされていますが、それこそ、『29.文鳥の迷信』でも指摘したように、エサの形態が不自然である結果以外ではありません。一方、アワ玉を主体とする限り、前のエサが残っていても古いものから消化されるだけで、何ら問題にはならないのが現実なのです。
ヒナを餌付けするに当たって、インコ類にあってはクチバシの形状の関係で、文鳥用の餌付け器(『育て親』)は使いづらい面があるかもしれません。しかし、この単純な器具が、文鳥の餌付けには実に適しています。おかげで、親鳥以上に素早く大量にエサを与えることが出来、なおかつ器具の大きさが適当でエサが固体であるおかげで、誤嚥(食べ物が食道ではなく気道に入ってしまう)を起こすこともほとんど考えられません。
一方、液状のパウダーフードを注射器(シリンジ)などで与えるのは、慣れない初心者には難しい作業に相違ありません。ヒナの体中にエサをくっつけてしまうくらいならまだしも、先がとがっているので誤嚥させて生命の危険を伴うことすらあるのです。
さて、不自然なエサを、そのうをいちいち確認しつつ、難しい餌付け方法で与えなければならない理由があるでしょうか?あるとすれば、栄養不足が起きないという、ただその一点のみでしょう。
確かに、パウダ−フードは人間の頭で考える限り栄養バランスが良いかもしれません。しかし、それに対して、アワ玉を主体とする従来の方法では、栄養不足を起こすとステレオタイプに考えるのは認識不足と言うものです。なぜならそれは、もし市販のアワ玉のみで餌づけをしていればその危険があるだけで、まともな飼い主なら、大昔から、ヒナの餌付けの際にアワ玉にいろいろなものを加えて栄養不足にならないようにしていたのが事実だからです。
つまり、アワ玉だけでは良くないとしても、アワ玉を主体にすること自体は何の問題も無いどころか、シリンジでパウダーフードを与えるより、はるかに安全で簡単で自然な方法なのは、疑いようも無いことなのです。
≪ある「専門」獣医の思い込み≫
文鳥のヒナを受診のため連れて行かれた都内在住の方が、鳥専門病院の男性獣医さんから次のように指摘を受けたそうです(原文ママ)。 ※日本における鳥専門医の泰斗である故高橋達志郎先生は、開業前に10年間飼鳥経験をされたそうです。それに比して、現在のにわか獣医さんには飼育に関して無知無理解な方が多いように思います。はなはだ僭越ですが、飼育を簡単に考えず、特に鳥種による相違には十分に注意を払って頂きたいところです。 |
気をつけたい栄養素
文鳥のヒナを育てる上で、特に気をつけたいのは下記の栄養素だと思います。どのようにしたら、これらを不足なく摂取させられるかが問題です。
● ナトリウムの不足 → 食欲が減退し、嘔吐をおこし、脱力症状 を示す。 ● カルシウムの不足 → 骨格形成が正常に進まず成長が滞る。 ● ビタミンAの不足 → 免疫力低下で病気にかかりやすくなる。 ● ビタミンB1の不足 → 食欲が減退し、脚が動かない脚気となる。 ● ビタミンD3の不足 → 骨軟化症(クル病)となり、骨が変形する。 |
まず基礎となるアワ玉ですが、これは穀むき粟に鶏卵の黄味などをまぶした飼料です。その原料である鶏卵自体が「完全食品」と言われるくらいにさまざまな栄養素、当然上記のものもすべて含んでおり、もしこれを十分に添加したものであれば、アワ玉のみでも栄養障害は起きにくいように思えます。
しかし、市販のアワ玉に統一基準などありませんから、どの程度の鶏卵を添加しているものかわかりません。もし添加量が少なければ、ただのムキアワを与えているのと変わらないことになり、タンパク質もカルシウムもビタミンも不足(結果として栄養性脚弱症などを引き起こす)してしまいます。
それでは自宅で玉子の黄身をまぶして、自家製アワ玉を作れば良いでしょうか?確かにそれも良い方法ですが、細菌が繁殖しやすく腐りやすいという欠点があります。ヒナは細菌性の感染に弱いので、その点危険があり、誰にでも薦められる方法ではないように思います。やはり、市販のアワ玉に何か加えたほうが無難でしょう。
具体的に何を加えたら良いか、実際に親鳥が何を与えるかを見れば、アワ玉をのぞけば、普通の配合飼料、ボレー粉、そして大量に与えるのが青菜です。普通の配合飼料は殻をむいて飲み込み、そのうにあるのを吐き出して与え、ボレー粉はクチバシで砕き、青菜はちぎって細かな破片にしてから与えています。
これらを栄養的に見れば、普通の配合飼料の穀物から3大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)とビタミンB類、ボレー粉からカルシウムやミネラル類、青菜からビタミンA、・・・考えてみれば、いつも食べてるものをたくさん与えているだけとも言えますが、それこそが自然なわけで、当然ながら栄養のバランスは良いはずです。
人間がアワ玉を基礎に親代わりをする時、市販のアワ玉はたんなるムキアワと考えておくのが無難ですが、たんなるムキアワの栄養価は下の表の「精白アワ」のようなものに過ぎません。カルシウムやビタミンAおよびD3をほとんど含まないのは、穀類全般に共通することで仕方がないのですが、穀類で摂取されるべきビタミンB1が、他と比較して少なくなっている点には注意が必要でしょう。これは、ビタミンB1を多く含むヌカ部分が、「精白」(おそらく殻をむいただけ)によって一部取れてしまった結果と考えられます(以前の栄養成分表の「玄穀」、つまり殻のついたままの栄養価では、B1の数値は2倍であった)。
つまり、少なくともボレー粉や青菜に相当する部分を補う必要があり、ビタミンB1にも留意しておきたいと言うことになります。
エネルギー | タンパク | 脂質 | 炭水化物 | ナトリウム | カルシウム | ビタミンA | ビタミンB1 | ビタミンD3 | |
乾燥全卵 | 608 | 49.1 | 42.0 | 0.2 | 490 | 210 | 420 | 0.29 | 3.3 |
乾燥卵黄 | 724 | 30.3 | 62.9 | 0.2 | 80 | 280 | 630 | 0.42 | 4.9 |
乾燥卵白 | 378 | 86.5 | 0.4 | 0.2 | 1300 | 60 | 0 | 0.03 | 0 |
精白アワ | 364 | 10.5 | 2.7 | 73.1 | 1 | 14 | 0 | 0.20 | 0 |
玄米 | 350 | 6.8 | 2.7 | 73.8 | 1 | 9 | 1 | 0.41 | 0 |
そば粉/全層粉 | 361 | 12.0 | 3.1 | 69.6 | 2 | 17 | 0 | 0.46 | 0 |
単位省略。以下栄養成分については、『五訂日本食品標準成分表』 食品成分データベース
そこでまず参考までに、市販のヒナ用栄養飼料の原材料を見てみましょう。使用されている方も多い『現代製薬』の「ヒナベビー」「ヒナフトール」といった製品ですが、脱脂粉乳を主原料とし、骨髄エキス、酵母、各種ビタミン、ミネラルなどが加えてあるとされています。
栄養成分はわかりませんが、この原材料を見る限り、脱脂粉乳や骨髄エキスで動物性タンパク質やカルシウムやビタミンD3が補われ、酵母(どのような酵母か不明)はビタミンB1が豊富なはずです。また、これら3つはナトリウムも含みます。ビタミンAにしても骨髄に含まれており、「各種ビタミン」でさらにカバーされていると考えれば、確かにこれをアワ玉に加えることで、栄養面での問題は起きづらいと考えられそうです。
脱脂粉乳や骨髄エキスは、文鳥本来の食性からは外れているので、その点抵抗がある方もいるかもしれませんが、栄養価のみで考えれば、合理的な製品といえそうです。
エネルギー | タンパク | 脂質 | 炭水化物 | ナトリウム | カルシウム | ビタミンA | ビタミンB1 | |
脱脂粉乳 | 359 | 34.0 | 1.0 | 53.3 | 570 | 1100 | 6 | 0.30 |
※人間にも牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる乳糖不耐症というのがありますが、これは牛乳に含まれる乳糖を吸収できない体質からくるものです。この点、鳥類も乳糖の吸収が出来ないという話があり、一部の人は牛乳を鳥に与えるべきではないとしていますが、私はその説に懐疑的です。なぜなら、昔から文鳥の餌付けに牛乳を加える人はいたようですし、レース鳩に飲ませる人もいるらしいからです。それで特に下痢をしたとの話は聞きませんし、上記の製品利用者にそういった症状が顕著との話も聞きません。もし、乳糖を吸収出来ないのが本当であっても、鳥類では健康問題とはならないと考えた方が良いのかもしれません。
人間用食材などの利用
既製品に不安がある場合、必要な栄養素を飼い主が考えて加えてやらねばなりません。しかし、それ程難しいことではないでしょう。親鳥が与えているように、青菜やボレー粉をすりつぶして加えれば、ほとんど問題は解決するはずなのです。
青菜は、小松菜などビタミンAの豊富なものをすり鉢ですってペースト状にしたり、細かく刻んで加えるだけで、ビタミンA不足は考えられません。また、ボレー粉やカトルボーンといった親鳥の日常飼料を粉状にして加えておけば、カルシウムやナトリウム不足の心配もなくなるはずなのです。
≪ボレー粉について≫
ボレー粉、牡蠣(カキ)の殻は人間の漢方薬になるくらいに優れた食材です。カルシウムを補うばかりでなく、各種のミネラルを含み、小鳥の場合は消化の助けにもなると一般的に考えられています。 なお、ボレー粉末にするのは大変と言う人もいますが、それは全部粉末にしようとするから大変なのです。すり鉢などでゴリゴリ摺って、少ししたら細かい目の茶こしなどでふるいにかければ、案外楽に粉末になります。どうしてもうまく出来なければ、お近くの漢方薬局で購入すると良いでしょう。また、いちおう通販でも手に入るので、右を参考までに挙げておきます。 |
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自家製粉末を作る道具 |
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自家製粉末を作る原料 |
私の場合は、2年間ほどコチラのようにしていましたが、行きがかり上、今年から加工食品でありながら原材料がまったく不明とする「ヒナ用フード」の使用をやめ、自家製「粉末」の比重を高めることにしました。この自家製粉末のレシピは極めていい加減なので細かな比率は自分でもわかりませんが、ボレー粉末、カトルボーン粉末、煮干し粉末、米ヌカ、ペレットの『カルシウムバード』を粉状にしたものが混ぜてあります。
このうちハイペット社の『カルシウムバード』は栄養成分はわかりませんが、原材料にビタミンB1の豊富な脱脂米ヌカやビール酵母を含んでいるので利用しています。しかし、この部分は米ヌカだけで十分かもしれません。なお、この米ヌカは無農薬米のものです。白米であれば農薬などほとんど気にしませんが、ヌカ部分は残留しやすいので少しこだわっているのです。
煮干しはカルシウム源と言うより、動物性タンパクとナトリウムとビタミンD3源として加えています。煮干しと言うと塩分を気にする人が多いですが、その心配は文鳥と人間では普段食べているものが違っていることを忘れているだけの誤解だと思います。日本人は自分たちが塩分過多の食生活をしていて、それを医者が問題にし騒ぐものですから、「塩分控えめ」が脳に刷り込まれていますが、しょうゆや味噌で味付けするわけでもない以上、ヒナのエサでのナトリウムの給源は乏しいのは明らかで、むしろボレー粉内のナトリウムだけでは不足するものと見なした方が良いと思います。ただ、私の場合はビール酵母を含む『カルシウムバード』にもその点期待出来るので、煮干しは低塩タイプを選んで使用しています。
自然状態では昆虫類などで動物性タンパクを摂取するはずで、煮干しやフナ粉などを利用するのも良いことだと思いますが(その点野鳥のすり餌を利用しても良いと思う)、植物性にこだわるなら、大豆の粉であるきな粉や、大麦由来のビール酵母がタンパク質を豊富に含んでおり大いに有効でしょう(ただしビタミンD3は動物性以外では摂取出来ない)。
このあたりは飼い主の趣向に合った食材や飼料(ペレット・パウダーフード)や薬剤で、飼い主各自がいろいろと工夫して、アワ玉の重量比で1〜3割程度を目安に混ぜれば良いものと思います(生の青菜は別枠)。脱線しない程度に独自性を発揮したいところです。
エネルギー | タンパク | 脂質 | 炭水化物 | ナトリウム | カルシウム | ビタミンA | ビタミンB1 | ビタミンD3 | |
全粒きな粉 | 437 | 35.5 | 23.4 | 31.0 | 1 | 250 | 4 | 0.76 | 0 |
脱皮きな粉 | 434 | 36.8 | 23.1 | 29.8 | 2 | 180 | 4 | 0.12 | 0 |
小麦粉(全粒強力粉) | 328 | 12.8 | 2.9 | 68.2 | 2 | 26 | 0 | 0.34 | 0 |
小麦粉(薄力粉) | 368 | 8.0 | 1.7 | 75.9 | 2 | 23 | 0 | 0.13 | 0 |
米ヌカ | 296 | 13.2 | 18.3 | 46.1 | 5 | 46 | 0 | 2.50 | 0 |
ビール酵母(サッポロ) | 382 | 48.6 | 3.0〜6.0 | 24〜58 | 268〜648 | 40〜314 | ― | 10.2 | 0 |
ビール酵母(アサヒ) | 310 | 53.0 | 3.7 | 約30 | 100〜220 | 210 | ― | 10.0 | 0 |
煮干し | 332 | 64.5 | 6.2 | 0.3 | 1700 | 2200 | 0 | 0.10 | 18.0 |
煮干し低塩タイプ | 350 | 71.4 | 6.8 | 0.8 | 540 | 2700 | ― | ― | ― |
かつおぶし | 356 | 77.1 | 2.9 | 0.8 | 130 | 28 | 0 | 0.55 | 6.0 |
ボレー粉 | ― | ― | ― | ― | 210 | 38000 | ― | ― | ― |
米ヌカは四訂日本食品標準成分表の数値。ビール酵母は粉末タイプのメーカーホームページ |
その際の注意点を参考までに挙げます。
まずナトリウムの給源としては、塩を直接混ぜるより、過剰とならないように自然の食材から摂取した方がナトリウムとカリウムのバランスがとれていて無難だと思います(ナトリウムだけ増えると過剰になりやすい)。具体的にはボレー粉や煮干しやビール酵母などが適していると思います。また、スピルリナという海水性の藍藻(参考商品→)もナトリウムを多く含み、ビタミンAも豊富なので、良い給源になりえるでしょう。
カルシウムや各種ミネラル類の給源としては、海産物であるボレー粉、カトルボーン、煮干しなどが適していると思います。
ビタミンAの給源としては、青菜、具体的には小松菜・豆苗・チンゲンサイ・ニンジンといったものが最も良いですが、いちいち細かくするのが面倒なら、仕方がないので粉末状の小松菜粉、大根粉などを利用したいところです。その点前述のスピルリナも有効でしょう。
ビタミンB1の給源としては、米ヌカ、きな粉、ビール酵母が適していると思います。
ビタミンD3の給源としては、手近なところで煮干しやかつおぶし、その他にフナ粉や乾燥ミルワームも利用出来るように思います。なお、この栄養素は信頼できるアワ玉をベースにする限り、それほど気にすることはないと思いますが、自然食品では動物性でないと摂取出来ません(きのこ類に含まれるビタミンDはD2で鳥類には効果がないとされる)。
もちろんペレットやパウダーフードやビタミン剤、さらにキヌアやアマランサスといった栄養価の高い穀物など、いろいろと原材料には事欠かないでしょう。
ナトリウム含有量の高いものや、人工的なビタミン剤の重複を避けるなどしつつ、組み合わせを考えたいものです。
なお、飼育書などで、アワ玉に片栗粉を少々加えてとろみをつけるように薦めることがありますが、私は無用だと考えています。なぜなら、普通のかたくり粉とはジャガイモの粉ですが、そこから得られる主要な栄養は炭水化物のみで、特に必要ではないからです。
また、エサにとろみというか粘りをつけると、人間の見た目は良くなるかも知れませんが、そうでなければならない必然性はまったく存在しません。むしろ、慣れない人がかたくり粉を入れすぎれば固くなってしまい、またその際「一煮立ちさせとろみをつける」などとすると、煮込んでアワをネバネバした状態(アルファ化)にしてしまい、かえってヒナの生命を危険にしてしまいかねません。
小さい容器に入れたアワ玉に熱湯を注いで1〜3分くらい待てば、煮込みすぎの危険も無くある程度やわらかくする効果が得られるのですから、特に加減のわからない初心者は、なるべく失敗の無い方法を選択すべきかと思います。
エネルギー | タンパク | 脂質 | 炭水化物 | ナトリウム | カルシウム | ビタミンA | ビタミンB1 | ビタミンD3 | |
かたくり粉 | 330 | 0.1 | 0.1 | 81.6 | 2 | 10 | 0 | 0 | 0 |
【補足】参考数値からの詳察
エネルギー | タンパク | ナトリウム | カルシウム | ビタミンA | |
(1)飼料100gあたり | 290kcal | 19% | 0.15% | 0.80% | 270IU |
(2)摂取量6g | 17.4 | 1.1g | 9mg | 48mg | 16.2IU |
精白アワ4g | 14.6 | 0.4 | ― | ― | ― |
煮干し0.5g | 1.6 | 0.3 | 9 | 11 | ― |
ボレー粉0.5g | ― | ― | 1.1 | 190 | ― |
小松菜1g | ― | ― | ― | ― | 18 |
(3)合計 |
16.2 | 0.7 | 10.1 | 201 | 18 |
ヒナが一日にどれくらいの量を食べるかは、そもそも食欲は一定ではなく、また個体差が激しいのではっきりしません。しかも、どのくらいの栄養価を与えれば良いのか、その明確な基準も無いので、何をどの程度アワ玉に混ぜれば良いか考えるのは困難です。
しかし、6割以上はアワ玉で、残りも普通の食材や、栄養剤なども控えめの量で使用しているのであれば(補助に過ぎないので説明書以下の量で良い)、問題はおきにくいと思います。その点はさほど神経質にならずに良いでしょう。
それでもあえて具体化するために、『家禽学』などに掲載されるニワトリの「幼雛」の飼料要求量(1)から、ヒナが一日に食べる量と想定する6gでの要求量(2)を仮定して、精白アワ、煮干し(塩分が普通のもの)、ボレー粉、小松菜をそれぞれの数量で混ぜた場合を試算してみました。
それぞれの食材の合計値(3)は、いちおうの目標値である(2)に近い数値となっています。カルシウムの合計値のみが突出していますが、食べ物に含まれるカルシウムの余剰分は吸収されず排泄されるだけなので(ビタミンD3の薬剤などを併用すると過剰摂取になる)、これの過剰は問題になりません。
家庭で簡単に混ぜるだけで栄養不足は解消出来ることが、とりあえず数値上でも確認されるものと思います。
≪実例 2005年末〜2006年初≫ 2006・2補足
真冬に1羽ながら、当然のように、お健やかにお育ちでした。 |