2007/08(2008/05・2009/06改)

壱-2 種類を教えて!

【結論】
 文鳥は1種類、品種が4つ流通しているぞ。

【解説】
 文鳥は生物の分類的には、スズメ目カエデチョウ科に属しています(細かな分類はころころ変わるのでどうでも良い)。インドネシアのジャワ島の原産のため、英語名はJava Sparrow(ジャワスパロウ=ジャワのスズメ)とされ、お米を食べていたためライスバード(米食い鳥)の異名もあります。もともとは、頭と尾が黒、頬と下腹部が白、胴体が光沢のある灰色、腹部が桜鼠色(灰色がかったピンク系)、クチバシと眼の周囲(アイリング)が赤い、頭から尾羽の先までが12cmほど、体重が25gほどの小鳥ですが、人間の品種改良によって、現在4種類の品種が存在しています。
 まず、純白の白文鳥(シロブンチョウ・ハクブンチョウ)は、19世紀に日本の愛知県弥富地方で突然変異により出現して、その後固定化されたものと考えられます。日本で作り出され、海外にも輸出されたことから、ジャパニーズライスバードの異名をもつ品種です。
 その白文鳥と原種との交雑で生まれたのが桜文鳥(サクラブンチョウ)で、原種の配色を基本にして、ところどころ白い刺し毛の入った品種です。胸にぼかし状に入った白い刺し毛が、桜の花びらを思わせるので、桜文鳥と呼ばれるようになったと言われています。
 この2品種は、17世紀から文鳥を飼い鳥とし繁殖していた日本人が生み出した、日本の誇る伝統的な品種と言えるでしょう。

※ お見通しだぁ〜!
 原種→桜文鳥→白文鳥と、白い色を徐々に増やすような品種改良が行なわれたとして、白文鳥も桜文鳥も遺伝的には同一の品種(「パイド」)とする見解がありますが、これははっきりしすぎた誤りだ。なぜなら、弥富産の白文鳥と桜文鳥を交配させた場合、子供は白文鳥か桜文鳥に産み分けられるという明らかな事実があり、両種が同じ遺伝子型を持っていると考えるのはまったく不可能なのだ。また、弥富系以外の白文鳥と桜文鳥を交配させると、すべて中間的なゴマ塩柄の文鳥が生まれ、その中間柄同士の子供は桜(中間のゴマ塩を含む)と白に産み分けられるので、やはりメンデル遺伝法則に照らして、白と桜の色を決定する遺伝子型は別と考える以外にない。つまり、別品種であるとしなければならないのは科学的に明らかなのである(「台湾産ブンチョウの羽色の表現型とその活用法」『愛知県農業総合試験場研究報告33号』2001年)。

 全体に茶化したシナモン文鳥や、全体に色が淡くなったシルバー文鳥といった品種は、それぞれ1970年代、80年代にヨーロッパで改良された品種で、現在では個体数も多くなり、市場に普通に流通しています。
 以上の4つが固定化した品種ですが、その他にも、シナモンをより淡い色合いにしたクリーム、シルバーの青みを強調したブルー(原種の色合いの濃いものを「ブルー」と称する人もいますが、そんな紛らわしい日本語での名称は迷惑なだけ)、メラニン色素を欠くアルビノやイノ、シナモンを部分変色させたアゲイト(宝石の瑪瑙のこと)など、好事家(品種改良家もしくはたんに物好きな人々)によって品種改良が模索されているようです。しかし、まだ品種としての特徴が固定化されているとは言い切れませんし、個体数も少ないので品種とは呼べないでしょう。
 なお、チモール文鳥と呼ばれる小鳥がありますが、これは近縁種ながら文鳥とは別種です。文鳥と同一視して、同じように飼育出来るように考えては絶対にダメですよ。

【感想】
 固定化されてない色の文鳥は、奇形があったり虚弱だったりすることも多いんだね。だから、健康な手乗り文鳥と暮らしたい人は、手を出さないほうがいいぞ。まず安全性の高い品種で、見た目以外で文鳥の魅力を体験してほしいな!

ジャパニーズライスバード!(お店で購入したオス)

これも日本の桜文鳥(お店で購入したメス)

文鳥団地の生活