2007/08(2008/05・2009/06改)

参-8 手乗りを「つくる」方法を教えて!

【結論】
  孵化16日目から餌づけするんだぞ!

【解説】
 飼い主である人間がヒナに餌を与え(餌づけ・差し餌・給餌)、人間を親鳥と思わせることにより、文鳥は手乗りになります。だから こそ、しっかり親鳥を確認出来るようになった後だと、人間と親鳥の違いがわかってしまい、うまくいかないのです。逆にあまり幼いと、まだ消化器官の発達が不十分なため、消化不良などで体調が悪くなり、生命の危険が生じる可能性も大きくなってしまいます。そこで、孵化後2週間(14日目)前後から親鳥から離して人工的に育てるのが一般的な方法です。
 手乗りにすることを理由にして、孵化10日目という早期に餌づけをする必要は、経験的にも科学的にも皆無です。視覚がしっかり機能するようになり、文鳥にとっての「感受期」のピークが過ぎる(ピーク時に親鳥を認識してしまうため、徐々に人間を親と刷り込まれなくなっていく)17、18日目を下限として無理なく上手に失敗ないように餌づけに移行しましょう。

※ お見通しだぁ〜!
 おそらく文鳥のヒナが孵化11日目くらいから目が開くのを根拠にしているのだろうが、孵化10日目からの餌づけを薦める飼育本がある。しかし、これは初歩的な 間違いだ。初めて目で見たものを親と認識することを、動物行動学ではインプリンティング(刷り込み)と呼ぶが、文鳥の場合は、少しずつ目が開いてきても、はっきり見てそれが何かを認識できているわけではない 。つまり、目が開いたからといってあわてて親鳥から引き離す必要はない。「はじめて見た物を鳥は親と勘違いする」と 聞けば、「目が開いたた時に飼い主の顔を見せなくちゃ!」となるかもしれないが、それははっきり言えば素人の浅知恵で、まるで科学的な話ではないのだ。実際には、刷り込みが起きる時期、「臨界期」とか「感受期」と呼ばれる時期がそれぞれの 生物種ごとにあって、その時期は目が開いた時とは限らない。
 例えば、孵化した時にはすでに目が開いているカモでさえ、刷り込みが起きるピークは孵化の13〜16時間後で、「あまり早くても、また、あまり遅くなっても(※刷り込みの)効果はない」とされてい る(共立出版『比較・動物行動学』)。これが科学だ。つまり、孵化してすぐに見たものを親とは認識 せず、13〜16時間後に目にしたものを親と認識するのだから、頑張って孵化の瞬間に立ち会っても「親」にはなれないのである。
 文鳥の餌づけは、孵化14〜17日くらいに親鳥から離して行うのが、その飼育本以外のほとんどすべての飼育本などなどが薦める方法で、実際皆そ のようにして手のり文鳥としてきている。それは、その時期こそが文鳥の刷り込みの「感受期」であることを示しており、そのように考えるのが経験科学としての常識なのだ。 だから、それより早すぎても意味がない。むしろヒナは幼ければ幼いほど消化不良などで体調を崩しやすく、温度管理も餌づけそのものも難しくなるので、特に初心者は出来るだけ避けるべき行為と言えるだろう。
 本に書かれていることでも、鵜呑みにしてはいけない(勘違いしているだけの方法で飼い続けているベテラン飼い主は多いもの)。

【感想】
 孵化して3週間くらいして親鳥から引き継ごうとすると、ヒナに不審の目で見られて恐がられるぞ。そうなると、餌づけも口を開けてくれないから、とーても大変ですよ!
 もし兄弟姉妹で孵化日が数日ずれていたら、はじめの子が生まれた18日目(尾羽のツンツントンガリ羽が開く前)を限度にして、取り出すといいよね!

孵化15日目、目は眠たげで尾羽は生えていない。

孵化18日目、目はぱっちりと開き、尾に筆毛が生えている。

孵化21日目、しっかりと飼い主を見つめ、尾羽先が開いてきている。

文鳥団地の生活