読書順:961-970

966.「猟死の果て」西澤 保彦
★★☆☆☆

単行本:1998年6月
文庫本:2000年12月
あらすじ
卒業を間近に控えた青鹿女子学園の生徒が、「市民公園」で全裸死体で発見された。 性的暴行および強盗目的の痕跡がないことから、動機として怨恨の線が強まるのだが、 捜査中に同じ青鹿女子学園の、同じクラスの生徒が全裸死体で発見されてしまう。 そしてさらに第三の殺人が…。名門女子高に潜む殺意とは一体何なのか? 大胆にして緻密なトリックで読者を魅了しつづける著者が、新たなるミステリーに挑む意欲作。
感想
救いの無さは「黄金色の祈り」に通じるものがあるのですが、 人間の闇の部分が数多く重なった分、迫るものが分散してしまった印象です。 ミステリーとしてはやや弱いのですが、人間の心に潜む暗い影が作品に重厚感をもたらし、 読後はずっしりと響くものがあります。
他人とは基本的に自分の思い通りには動いてくれないものだ。
(2011年4月27日読了)
965.「英国庭園の謎」有栖川 有栖
★★★★☆

新書:1997年6月
文庫本:2000年6月
あらすじ
資産家の人知れぬ楽しみが、取り返しのつかない悲劇を招く表題作。 日本中に大パニックを起こそうとする“怪物”「ジャバウォッキー」。 巧妙に偽造された遺書の、アッと驚く唯一の瑕疵を描いた「完璧な遺書」− おなじみ有栖川・火村の絶妙コンビが活躍する傑作ミステリ全六篇。 待望の国名シリーズ第4弾。
感想
「ジャバウォッキー」のスピーディーな展開がたまらない! 「完璧な遺書」での火村の追い詰め方も読んでいて、まるで自分が追い詰められてる気分。 火村シリーズの倒叙ものは怖い…。
これは、むごたらしいゲーム盤だった。
(2011年4月25日読了)
964.「県庁おもてなし課」有川 浩
★★★☆☆

単行本:2011年3月
あらすじ
地方には、光がある-物語が元気にする、町、人、恋。 とある県庁に突如生まれた新部署“おもてなし課”。 観光立県を目指すべく、若手職員の掛水は、振興企画の一環として、 地元出身の人気作家に観光特使就任を打診するが…。 「バカか、あんたらは」。いきなり浴びせかけられる言葉に掛水は思い悩む− いったい何がダメなんだ!? 掛水とおもてなし課の、地方活性化にかける苦しくも輝かしい日々が始まった。
感想
作品が書かれた経緯などは面白いなぁと思ったのですが、 ちょっとできすぎなストーリー展開にやや不満を感じてしまいました。 でも県庁、ひいては公務員の行動がリアルで笑ってしまいます。 本当にこんなんなの?!
あんたたち、自分の都合しか見えてないんだよ
(2011年4月15日読了)
963.「ビネツ」永井 するみ
★★☆☆☆

単行本:2005年6月
文庫本:2007年12月
あらすじ
誰よりも美しくなりたい!と願う女性たちが集まる、 青山の高級エステサロン『ヴィーナスの手』。 サロン主・京子にヘッドハントされたエステティシャンの麻美は“神の手”の再来と たちまち人気を博す。 ところが、かつてサロンでは“神の手”だったエステティシャンが謎の死を遂げていた。 京子の夫で健康食品会社社長・安芸津と美貌の息子・柊也、麻美に嫉妬する同僚、 美を競い合う客―次第に麻美は周囲の愛僧と欲の渦に巻込まれていく。 その「手」で麻美が掴み取るものは? エステ・美容業界にかかわる人間の表と裏が描かれた、ドラマチック群像ミステリー。
感想
女性ばかりの業界って怖い! 嫉妬や足の引っ張り合いが妙にリアルで、恐ろしくなってしまいました。 永井氏の描く女性はウェットで、自分の中にある嫌な部分といつの間にかリンクしているような、 そんな気分になります。 とりあえずエステに行きたい(笑)
あなたの手は、人を幸せにできる手なのよ。そればかりか、あなた自身をも幸せにしてくれる手
(2011年4月14日読了)
962.「かばん屋の相続」池井戸 潤
★★★★☆

文庫本:2011年4月
あらすじ
池上信用金庫に勤める小倉太郎。その取引先「松田かばん」の社長が急逝した。 残された二人の兄弟。会社を手伝っていた次男に生前、「相続を放棄しろ」と語り、 遺言には会社の株全てを大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。 乗り込んできた長男と対峙する小倉太郎。父の想いはどこに?表題作他五編収録。
感想
文庫オリジナル短編集。 さすが安定感のある仕上がりですが、割と気分的には辛く、シビアな内容のものが多いです。 「芥のごとく」と「かばん屋の相続」が一番心に残ったかな。 特に「かばん屋の相続」は某社を彷彿とさせ、爽快感と苦さが混じり合った何とも言えない 気分になりました。 やはり池井戸作品はハズレがないなぁ。
あんな遺言を親父が作るわけはないんだよ
(2011年4月8日読了)
961.「私たちが星座を盗んだ理由」北山 猛邦
★★★★★

新書:2011年3月
あらすじ
恋のおまじないに囚われた女子高生の物語『恋煩い』、 絶海の孤島にある子供たちの楽園の物語『妖精の学校』、 孤独な詐欺師と女性をつなぐケータイの物語『嘘つき紳士』、 怪物に石にされた幼なじみを愛し続ける少年の物語『終の童話』、 七夕の夜空から星座を一つ消した男の子女の子の物語『私たちが星座を盗んだ理由』。 これぞミステリの醍醐味全てはラストで覆る。
感想
もうしょっぱなの「恋煩い」からゾクッとするほど苦々しい話が満載で、 一冊ひっくるめてすごく好き! どれもフィニッシング・ストロークが冴え渡る作品ばかりとなっています。 「妖精の学校」の最後だけググってようやくわかったのが、ちょっとお恥ずかしい(汗) いつもの物理トリックとは違う北山氏を味わえる一冊でした。
一年も前から…いや、たぶんもっとずっとずっと前から…
(2011年4月6日読了)