野口光世(のぐちみつよ)プロフィール

1934年生まれ。
布の絵本・おもちゃの制作グループ“ぐるーぷもこもこ”の代表として30年、アイデアあふれる、温もりの伝わる布おもちゃ200点余を作り続けて、現在は顧問として養護学校、療育センター、老人施設、図書館などでのボランティア活動も年毎に広がっている。各地の講師などでも活躍されている。
著書に『ままのちくちく1』『ままのちくちく2』(グランまま社)、『手作り布の遊具@こんちゅうえあわせ』『手作り布の遊具Aくだもの』(偕成社)『フェルトでつくるスィーツ』(汐文社)他がある。
町田市在住。


布のえほんと私

十二年前、ある児童書出版社で、布のえほんを見せていただきました。
布のやさしい、柔らかい感触が、子どもたちに安心感を与え、また、ひも結びやマジックテープなど、いろいろな仕掛けのできる面白さにひかれました。早速私は友人たちや、今は亡高木幸子さんとともに、作品づくりにとりかかり、折りから開かれた「第一回全国布のえほん展」に数点を出品しました。布のえほん展は好評で、特に障害をもつ子どもの教育に関わる人々や、お母さん達の関心の深いことに驚きました。
これが刺激になって、友人たちと布のえほんのボランティアグループ「ぐる-ぷ・もこもこ」を結成することになりました。
作品を作り続ける中で、川崎総合教育センターの大河原美春先生にお目にかかり、障害児教育の中に布のえほん、おもちゃをどんどんとり入れていただくと同時に、子どもの発達段階と布のえほんや遊具との関わりの学習の機会を作っていただけたことは、本当に幸せなことでした。今では、川崎市の熱心な先生方の御要望に応じきれないほど、作品づくりに追われています。
また、布のえほんやおもちゃを通して沢山の方たちとの素晴らしい出会いもありました。特に、気持ちはあっても、きっかけがなく話し合う機会もなかった、障害をもつ子どもやお母さん達との出会いは、私自身の生き方を見直す道しるべにもなりました。
一方、やさしさだけでは解決できない多くの不合理にも出会いました。障害をもつ子どもたち、障害をもつ大人たちが人として生かされていない世の中の仕組みに、悲しみをこえて怒りをおぼえます。人が人として生かされ、お互いがお互いを大事にできるやさしい心が広がることを願いながら私は布のえほんを作りつづけたいと思っています。
私は手仕事が好きです。特に布や糸を扱うことが好きです。好きでやっていることが、いろいろな人達との出会いに広がり人生を豊かにしてくれることに感謝しています。
これからも「ちくちく、ちくちく」布のえほんやおもちゃを作りつづけたいと思っています。
一九九一年秋

1991年11月『ままのちくちく』発刊によせて


布のやさしさとともに

『ままのちくちく』が出版されて以釆、読者の方や講習そのほかでお目にかかった方から、あれもつくりました、これもつくりましたとうれしい反響を沢山いただきました。
作られた布のえほんやおもちゃは、どなたの手にわたっていったのでしょうか。お子さんに、お孫さんに、お年寄りに、あるいは障害をもった子どもさんにと手わたされていったのでしょうか。
布のやさしい温もりを子どもたちに伝えたい、障害をもった子どもたちにひとときのやすらぎを伝えたいと作りつづけてきた私の思いを受けとめていただけたことに、心から感謝しております。
そして、もっと気軽にどなたにも作っていただけるようにと考え、子ども達やお母さん達と一緒に作ったり、遊んだりした最近の布のえほんやおもちゃを『ままのちくちく2』にまとめました。
「フイルムケースでつくったおもちゃ」は、子どもたちが作ることに夢中になった「ガラガラヘび」をはじめ、使い捨てにしていた空のフイルムケースが大変身をするうれしいおもちゃです。また、「うたのえほん」は雑誌に連載したものの中から選びましたが、その雑誌の投書欄に、小学校の先生が作られて、音楽の時間に子ども達をびっくりさせたという楽しい文を発見し、私までわくわくする思いをさせていただきました。
ほかに肌ざわりのやわらかいタオルのおもちゃ、切って遊べるデコレーションケーキなど、どれも子ども達の笑顔に迎えられたものばかりです。
どうぞ、これからもお楽しみいただけますようにと願っております。
一九九四年春

1994年8月『ままのちくちく2』発刊によせて


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