グランまま社のおすすめの本


インドでは昔から今もぞうが人々の暮らしを助けてきました。
お祭りでは、飾りをつけて行列の先頭に立ち、
重い荷や木材も運びます。
このお話は大きな大きなぞうが、
小さな小さなこねこを穴から助けあげる、インドのお話です。
大切な一冊との出会いになりますように。

日印国交樹立50周年の2002年刊行

ぞうの
マハギリ
K・シャンカール・ピライ 再話
プラク・ビスワス 絵
みやちとしこ やく
2002年初版  240×175cm
16ページ   1000円

マハギリは とても おおきなぞうでした。
ぞうをかすしごとをしているしょうにんが せわをしていました。
ぞうしょうにんは ときどきマハギリをもりにつれていき おもいまるたをはこばせました。

けっこんしきがあれば はなむこをはなよめのいえにはこぶために
マハギリをかしだしました。

……
マハギリは あなのところにはたざおをはこんできました。
ところが きゅうにたちどまりあとずさりをしたのです。

「さあ あなにいれるんだ!」
……
ぞうつかいは はらをたて ナイフをとりだし なんどもマハギリのくびをさしました。
あまりのいたさに とうとうマハギリはがまんできなくなり おこって はたざおをほうりなげてしまいました。
……
マハギリは あなにちかづき ひざをおりまげて かがみました。
そしてながいはなを あなにいれました。

なにかをそっとひっぱりあげると……


Keshav Shankar Pilai(ケシャブ・シャンカール・ピライ)
1902年生まれ。通称シャンカール。高名な漫画家。
インド独立後、児童の文化向上が急務と考え、
1957年にCBT(Children' Book Trust)を設立し、
インドの神話や昔話ばかりでなく創作絵本や児童文学の普及に努め、
1981年にはAWEC(Associationof Writers and Illustrators for Children)
も組織し精力的に活動を続けた。
1989年死去。
パドゥマシュリ賞(1956)、パドゥマブーシャン賞(1966)、パドゥマヴィブシャン賞(1977)などを受けている。
『そうのマハギリ』は1965年に初版以来、英語、ヒンディー語、カンナダ語、マラティー語、タミール語などで版を重ね、インドの絵本の古典となっている作品。
改版後の絵は弟子のプラク・ビスワスによる。

宮地 敏子(みやち としこ)
洗足学園短期大学幼児教育科教員。
2000年よりニューデリー在住。デリー大学講師。
著書『サムライハットニューヨークを行く』(国土社)
『サムライハット詰襟を着る』(国土社)
伝えたいもの 伝わるもの ―児童文学における老人像』(グランまま社)
共著花鳥風月をテーマにした友禅染絵本
『はなともだち』『いろとりどり』『かぜのこ』『あいうえおつきさま』(いずれも、かど創房)
訳書やまあらしぼうやのクリスマス』(グランまま社)
ぞうのマハギリ』(グランまま社)

☆ 2002年6月13日 毎日新聞記事掲載

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