米作り(赤目自然農塾)1ー田んぼー


今年(1998年)、米作りをすることにした。

赤目自然農塾

川口由一さんが、三重県の赤目で月一回の自然農塾を開いておられる。大阪の「鶴橋」駅から近鉄電車に乗り約70分で「赤目口」駅へ、そこから歩いて40分で田んぼに到着する。
川口さんの提唱する「自然農」とは、「耕さず、肥料、農薬を用いず、草々、虫たちを敵にしない。」農法である。

必要な道具

刃がのこぎり状の鋸鎌
鉄製がよく、ステンレス製はスベルとのこと。
平鍬で、柄と刃の角度が、狭すぎず広すぎず、使うときの姿勢を考えて選ぶ(65〜70°が適当)。
鉄製で刃の薄すぎないものがよい。
スコップ大きいものがよく、柄が木製のものがよい。
重いと力が入れやすいので、女性でも大きいものがよい。


2月7日(土)

朝、6時の電車に乗り、赤目についたのが、9時半過ぎ。私は二番目だった。一番乗りは、東京から通っているKさんで、彼は、私が初めて来たと告げると、親切にも田んぼを案内してくれた。だんだんと人が増えてきて、2〜30人になった。川口さんは、10時半頃やってきただろうか。
真新しい長靴を履いて、小屋を出た。
共同作業では、一人ではできない作業を大人数で行う。この日は、畦(あぜ)作りと穴埋めをした。

共同作業

1.畦(あぜ)作り
米を作るため、田んぼに水を溜めなければならないので、田んぼから水がこぼれないように畦の高さをそろえたり、人が畦を歩きやすいように畦の幅を広めたりした。また、水路の確保をした。作業は、水路の土をスコップですくって、それを畦まで運んで積み上げていくというものだった。

2.穴埋め
田んぼは、特に、棚田では、水の排出口付近に小さな穴があいたりすると、そこから土が流れ出しすぐに大きな穴になる。
ここの穴は、直径1mを超えるような大きなものだった。この穴を埋めればよいわけだが、うまくやらないとすぐにまた穴が空いてしまう。コツはセメントを練る要領でやることである。土、水、石をいれて、よくよく練るのである。そして、少しずつ穴を埋めていく。ただし、表面は練らずに土をおくだけでよい。

作業が終わってすぐに、少雨が降り出した。予定より少し早いが、今夜の宿泊先である室生山荘へ移動した。ここでは、川口さんが、8年目になる赤目自然農塾の歩みを説明してくれた。また食後には自然農塾の基礎を語ってくれた。
外では、雪が降っていた。

有機農法と自然農法の違い

太古は自然農だったろう

耕さない
肥料を使わない
害虫、益虫の区別がない(害虫はあって当たり前、自然の理をどこまで深く理解しているか)

有機農法は科学から発達し、自然(田、虫)と私は分離している

自他の区別がないのが自然農
すべての虫は一体であり、それを殺すと全体のバランスを崩す

虫にやられるから虫を殺すのではなく、米を健康にする(栽培の仕方を見なおす)。原因を他に求め、他を攻撃するのは解決ではない。

相対界・・・敵味方あり、解決しない
絶対界・・・敵味方なし、自然農

収穫量は同じ
一粒一粒の命は肥料で大きくなるが、命は同じ。(増えていない)

なぜ、自然農が発展しないか
1)命の誕生まで手を加えた問題
 知らない、愚かさゆえの流れ
2)心の問題
 お金を儲けようということが間違い
 何が大事か、幸せにしてくれるのか
3)常識
 今のやり方が絶対正しいと思っている

一人一人の意識が変われば、全体は変わる

世の中から石油がなくなれば自然農が広まる


2月8日(日)

昨夜の雪が積もっていた。
今日は、田んぼの割り当てが行われた。私と友人の3人で、田んぼを借りることにした。新規の人は、Sさんの田んぼ案内についていって自分たちのやりたい場所を決定(宣言)していく。私たちは、数十年使われていないという場所に決めた。背丈以上の草が生い茂っていて、全貌はよく確認できない。とても畑には見えない。
草の刈り方を川口さんに教わった。地面の少し下まで鎌を入れて刈り、しかも、ゆっくり、ゆっくりとやるのがコツだと教わる。私たちは「数十年ぶりに畑を復活させるのだ!」と考えると嬉しくなり、やる気満々になった。


ホームにもどる