米作り(赤目自然農塾)2−開墾−


開墾〜自分たちの田んぼで、初めての農作業〜

背丈より高くぼうぼうに茂った笹を根元から刈る作業をした。この畑は数十年も使われていなかったので、太さ1cmくらいの竹が生い茂っていた。茎が太いのでそう簡単には刈れず、結構手こずった。やっていくうちにコツがつかめた。鎌は竹の茎に対して斜めに入れると切れやすいのだ。終わるころには鋸鎌の刃はぼろぼろになっていた。

開墾前の写真 開墾前
開墾中の写真 開墾中
開墾後の写真 開墾後

年間の農作業
1月収穫祭と新年会
2月田んぼの案内と場所の決定
3月畝(うね)作り、畦(あぜ)の補修
4月水稲・陸稲の種おろし(苗床づくり)、夏野菜の種おろし
5月夏野菜の手入れ、畦の補修、畦草刈り、陸稲の種おろし
6月麦刈り、田植え、除草
7月水管理、除草、畦の補修、麦の脱穀
8月水管理、畦の補修、畦草刈り
9月水管理、秋野菜の種おろし、冬野菜の種おろし
10月稲木の立て方、冬野菜の種おろし、春野菜の種おろし、稲刈り
11月稲刈り、麦まき、脱穀
12月脱穀、稲ワラふり


3月7日(土)

1.溝の掘り方
溝は床をやぶってはいけない。床とは腐葉土とその下にある砂の境目である。砂の層まで深く掘ると水持ちが悪くなる。
溝を深くすると畝(うね)は乾燥し、麦に都合がよい。
溝を浅くすると畝(うね)は湿気を保ち、米に都合がよい。
溝の深さはその土地の乾燥具合や栽培する作物に応じて決める。
ここでは、深さはおよそスコップの平の高さより少し低め、幅はスコップの幅にした。
棚田で、山側に石垣を積んでいる所は、石垣が倒壊しないように、約40cm離して水路を掘る。
掘った土は、畝の低いところにのせる。
溝に、草を多めに被せておくと乾燥しにくくなる。

2.畝の作り方
畝の幅は3〜4m。幅が狭いと乾燥しやすく、広いと湿気やすいので、その土地の乾燥具合や栽培する作物に応じて決める。
畝を平らにする。固まった土を平鍬で砕きながら低いところに土を運ぶ。
草の上に土をのせてはいけない。中の草が腐り、作物を植えたときに、作物の根も腐る。
土はむき出しにされると弱いので、草をのせておく。

3月8日(日)

1.苗床にまく米(の種)の量の目安
1反=300坪=10R=約7合
移植は40cmx20cmの間隔を目安とする。40cmは人が入れる幅である。
苗代は、日当たりがよくて湿気の少ない場所にする。
1反でおよそ1.4mx25mの広さの苗床が必要になる。幅が1.4mというのは両側から手が届く範囲である。

2.ジャガイモの植え方
ジャガイモ(またはメークイン)は湿気を嫌い、水が溜まると腐る。(なす科のもの、トマトなどとの)連作を嫌う。
ジャガイモを芽の出るところが均等の数になるように切る。このときは約15cmのジャガイモだったので、横2つに切った。植えるときは、土を手や鍬でなるべく自然の姿を変えないように掘り、ジャガイモの切り口を下に向けて植える。土を被せ、その上に草を被せる。かぶせる土は種(この場合はジャガイモ)の厚さくらい。土がかたすぎる場合は、ジャガイモを植える周りだけを少し掘りおこして柔らかくする。笹の根があるときはジャガイモには不適なので、土を掘り返して笹の根を切る。
植える間隔は、40cmx50cmである。
芽は高さ5〜10cmになったところで、数が多ければ根元からもぎ取って2〜3本にする。
3月に植え、6〜7月に収穫する。
若い芽は霜に当たると黒く焦げるが心配ない。
ジャガイモは自家採取したものを使用するのは困難である。なぜなら、ジャガイモは、すぐに芽が出てきてしまう。7月に採取したものを、翌年の3月まで持たせられない。一年で2回収穫できる2度イモという種類もあるので、そのようなものにしないと駄目だろう。
ジャガイモはプランターでも栽培できるが、縦x横x深さが30cmx50cmx30cmくらいの大きさのものが必要だろう。

3.鍬の取り扱い方
鍬は日に当たると、先が抜けやすい。直射日光が当たらないように、草などを被せておくとよい。また、使用する数時間前に水につけて、水分を含ませてもよい。ただし使用する直前だと木が柔らかいのでよけいに具合がよくない。


川口さんへの質問

Q、苗床と直播きの使い分けは?
A、苗床にし移植するものには米、玉ねぎ、ネギ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、トマト、ナス、唐辛子、ピーマンがある。
これらは、種が小さく、茎が細いので、周囲の草に負けてしまわないようたくましくなってから移植する必要がある。

Q、化学肥料を使う農法から自然農に切り換えるときのやり方は?
A、肥料として、米ぬかや菜種かすを使う。初年度は1反当たり米ぬか200kgにし、次第に量を減らしていく。米ぬかをやりすぎると野菜が大きくなりすぎるので、草の色から適切な量を判断する。
草や麦わらなどの死体がよい。炭、酵素、ミネラルといった単一の成分のものはよくない。

Q、自然農の考え方は?
A、1枚の田んぼの中で、一体の営みをしている。これは内蔵にたとえられる。胃、肝臓、・・・など、個々に機能を持っていて、しかも全体として一つの営みをしている。どれかかけてもダメでなのある。
芽が小さいうちは、それを食べるイナゴも小さく、大きな葉になれば、そのイナゴも大きくなっており、これらは共に成長していると言える。
田んぼからは何も持ち出さず、持ち込まないのが自然の姿であり、米を食べる代わりに、何かを返す。

Q、排泄物を自然に返すには?
A、小さなバケツにいれて毎日田んぼにまいている人がいる。
発酵させたガスを燃料に使う方法もある。
微生物で分解し、動物に飲ませる方法もある。

Q、自然農の大量生産?
A、EMなど微生物だけを用意してもダメで、そこの環境が大事なのである。
田んぼは、放っておけば、時間の流れの中で最短で最善の状態になる。
作物を大きく育てるのがよいのではなく、自然なことがよいのである。
他の人にも食べさせたいと考え、大量生産をしようとする人もいるかもしれない。しかし、自然農を専業にするのは、生活に気づきを得るためであり、自分も目覚め、他人にも目覚めて欲しいと願っている。(ある専業農家の人の意見)

Q、自然農で専業農家ができる農地の広さは?
A、1町。

Q、地下にできる作物は、表面近くばかりフカフカしている土ではよくないのではないか?
A、大根の場合は、地面が堅いと、上に伸びる。しかし、表面に養分があれば大きくなる。
年月が経つと、フカフカは地面に入っていく。
絶対に耕すことはよくない。耕せばそのときはフカフカかもしれないが、半年後には堅くなっており、また耕さなければならなくなる。耕さなければ、年月が経つにつれだんだん柔らかくなっていく。

Q、せんていの仕方は?
A、せんていの仕方で、育ち方(実のなり方)が違う。

Q、苗床に覆いを被せるのは、わらが一番よいのか?
A、他の草で覆って他の草が生えてきてしまったのは、おそらく草の種が混ざっていたからであり、わらとは無関係だろう。

草の手入れの方法
どうする
小さい小さい草を引き抜く
大きい小さい放っておく
大きい大きい草を刈る

Q、作物に相性はある?
昨年と同じ種類のものを同じ場所に植えるのはやめる。
栽培するときに配置の仕方は、この作物の隣にどんな作物があったらよいかを考えてもきりがないので考えないようにしている。

Q、自然農の労働時間は?
A、1反=300坪で、家族5人、2人で土日と、朝晩でやっていける。
1反だと、田植えをするのに1人で1週間かかる。
自然農は効率的である、それは、機械を作る人が労働時間を田植えに使うとそうなる。

Q、自然にまかす?
A、一人一人の意識が変われば、政治が動く。選挙がどうとかは気にしなくてもよい。
急に変化させようとすると、革命になる。一人一人から次第に政治が変わる。


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