米作り(赤目自然農塾)3−種蒔き−


種蒔き

4月11日(土)〜12日(日)

種おろしの写真タネは早めに蒔いても、時期が来たら自然に発芽する。それまで眠っている。早く芽が出過ぎてしまい、霜にやられることはまずない。
米は針のような芽が出る。
6月中旬、米の苗が20〜30cmになり、それを約1mの冬草の間に植える。冬草は大きいが、元気がなくなっている。

写真は、タネを蒔いている様子。

苗代作りと稲の種まきの説明

1.苗代作り

1)タネを選ぶ

この地域は夏が短いので、品種は早稲(わせ)種、中手(なかて)種を選ぶ。
「分けつ」しにくいので間隔を狭くして植える。寒い地域はさらに、間隔を狭くして数をたくさん植える。

2)タネの量を計算する

稲を植える面積から、苗床の広さ、必要なタネの量を求める。

<赤目での基準>
1反=300坪=10a(アール)=1000m2の広さの田んぼには、
幅1.4m(両側から手が届く距離)、長さ20mの苗床に7合のタネを蒔く。

これを自分の田んぼの広さに換算して必要な苗床の広さとタネの量を求める。

<自分の田んぼで計算>
私たちが借りた田んぼ(畑)の陸稲を植えようとしている面積は27m2であった。

必要な苗床の長さ = 20 * 27 / 1000 = 0.54m
必要なタネの量 = 7 * 0.54 / 20 = 0.19合
これより、1.4mx0.54mの苗床を作って、0.19合のタネを植えることにした。

3)苗床の場所を決める

考慮すべき点は、

4)草を刈る

昨年末振りまいていた稲ワラがあれば取り除く。
草を刈るときは手前から前に進んでいく。手前にある草から、だんだんと遠くへ向かって刈っていく。
笹の生えている土地では、地面の下5〜10cmまで鎌を入れて、笹の茎や根を刈る。
鎌の入れ方の図

背高あわだちそう、笹、ヨモギは根から引き抜く(枯れているので抜けやすい)。スコップで切れ目を入れて手で根を掘り出す。表面20cmまで。
ススキのカブは苗床にするのは避ける。
後から苗床に草を被せるので、緑の冬草は丁寧に刈っておいておく。

5)去年の夏草の死骸を取り除く

枯れ草(稲ワラ以外)は去年の夏草なのでこれは絶対混ぜては行けない。

6)土をかき分ける

平らにすることと、草の根を取るために、土が見えるところまで、表面の草を鍬で薄く削り取る。
削った土は両側に寄せておき後から使う。

7)表面を耕す

手の指が入らないほど堅い土地では、表面を2〜3cm耕して柔らかくする。地面から数センチ下までの所に草の根など無いようにしておく。

8)土を押さえる

耕した土をしっかり押さえて、平らにしておく。土が浮いていたら、乾燥して発芽が遅れる。
鍬、または、厚い木板(将棋盤に柄を付けたもの)で土を押さえる。鍬で、先から柄が飛び出しているものは先が抜けなくてよいが、土を押さえられないので、出っ張りを短く切ってもよい。

9)モグラ対策

モグラの対策として、苗床の周囲に溝を掘る。

2.種まき

1)タネを選別する

タネの選別には、水、風、塩水を使う3つの方法がある。
ここでは水選(すいせん)をする。 タネを水につけて沈んだものだけを使う(なすび、スイカ、ナンキンでも同じ)。
塩水は浮きやすいので、選別がより厳しくなる。浮いているのは、芽がでるかも知れないが、元気がない。沈んだものを網ですくって取り出し、蒔きやすいように水を切っておく。

米を水に浸けて、発芽を早くする方法もあるが、自然農では、芽出しを助けない。タネを蒔いた後にも一切水を蒔かない。
タネ蒔きの時期が遅れてしまったら、5日くらい川から汲んだ水に浸けておく。その場合、毎日、水を入れ替える必要がある。

2)タネを蒔く

種の間隔は2〜3cmの密度になるように蒔く。少し高い位置から手の中で種を踊らせながら指の間から落とすとまんべんなく蒔ける。
雨の日は作業がしにくいので避ける。土が乾燥し過ぎているときは、雨の後がよい。

3)土をかぶせる

土はほとんどの場合、種の厚さだけかぶせるのが基本である。
タネをかぶせる土も草の種があってはいけないので、表面の草を削ったところのものを使う。
土を手でもみながら細かくして砕いてかぶせていく。土が湿っていると、土が団子になりかぶせにくい。
田んぼが湿っていれば、乾燥しているあぜ道の土を使う。
ふるいを使う方法もあるが、ここの場合は手がよいみたい。

4)土を押さえる

鍬のおしりや木板で土を押さえる。土が湿っているときはしない方がよい。
乾燥を防ぐため、土が乾燥しているときは押さえる。

5)草を振りまく

生育途中の冬草や、米の稲わらを振りまく。野菜を植える場合は多めに振りまく。
緑の冬草は枯れると縮まるので多めにする。青草の方が苗がよく育つが、多すぎたらよくない。生育途中の草が土に返るより、一生を全うして死んだ草の方がよい。枯れ草に夏草が絡まっていると、夏草が一杯生えるので、夏草を丁寧に抜き取らなければならない。米の稲わらは20cm程度に切って振りまく。笹の葉は使えるが茎は太すぎてダメ。

6)小枝を散乱させる

草が飛んだり、猫がおしっこしたりするのを防ぐため、小枝を少し散乱させる。

7) 周囲に溝を掘る

モグラ対策として苗床の周囲に溝を掘る。モグラが通れないように溝の中には草も敷かない。掘り起こした土の固まりはそのままにしておき、田植えのときに固まりごと戻す。

肥料を与える場合
どうしても肥料が必要な場合は、苗床5m2に対して、菜種かす0.5升、または、米ぬか1〜1.5升でよい。
田全体にも、栄養のため、畝を作った後、1反で200kgの米ぬかを蒔く。12月に行うと、腐っていくのでよい。

よい作業時期
12月、苗床用に土をかき分けるところ(1.1)〜6)まで)を済ませ、米ぬかを蒔き、その上に稲わらを3cmの厚さに敷く。
4月、稲わらを取り除き、種を蒔く。

その他
川口さんは、鍬を使うとき、右手、右足が前に出る。そのとき、左手に力を入れて右手を舵取りにすると、疲れにくい。
鍬やスコップは重い方が、その重みを利用できるので、疲れにくい。
ビニール類など自然に帰らないものを見つけたら、必ず取り出す。
鎌を使った後は、地面に刺しておくと見失わない。
畝を作った方が、土がよい状態になるのが早い気がする。空気の通りがよくなるからだろう。


スイカの植え方

1)水はけのよい場所を選ぶ。
2)50cm四方に、草を取り除く。
3)地中まで(根っこの方まで)草を刈る。ただし、根っこは引き抜かない。
4)表面に土を盛り上げる。
5)まばらにタネを7カ所に1粒ずつ植える。深さはタネの大きさくらいにする。
6)乾燥を防ぐため、小さな草をかぶせる。
7)成長すると2畳くらいの広さがいるので、それを考えて距離をとって植えていく。

トウモロコシの植え方

1)日当たりのよい場所を選ぶ。
2)草を取り除く。
3)手で穴をあけ、一カ所に3粒のタネを植える。
4)上に小さな草をかぶせる。
5)30cmの間隔で植えていく。

川口さんのお話より

放っておけば土が肥えていくのは、土、太陽、空気、水、から栄養素を取っているからである。そのため、田んぼから作物を持ち出しても、外からは、何も与えなくてもよいのである。

常緑樹は春に植えるのがよい。
落葉樹は冬に植えるのがよい。

木を植えるとき、根を束ねているものは、それを外して、根っこの形そのままで植える。根っこが長くて地面の腐葉土の層を突き破って砂利になっても構わない。このとき、根に小さい枝のようなものがあれば、その状態のまま地中に植える。根が落ち着くまでは、支えがいる。根を曲げて植えると、地上の幹も曲がって成長してしまうので注意する。

霜対策として、冬には、木の枝にわらをかけておく。傘の骨のようにして引っかけておけばよい。

川口さんはぶどうをつくった経験はあるが失敗した。

クローバは空気中の窒素を固定する役目を果たす。クローバのおかげで、米はよく育つかもしれないが、やりすぎると米が弱くなるのでよくない。


作業

下の畑の写真下の段の畑の全貌。周囲に水路を掘り、右下に苗代をつくり、タネを植えている。

計画では、下の畑に陸稲(川口さんから頂いたうるち米)を作り、上の畑の山側半分に陸稲(タイの香り米)を作る。上の畑の残りには、野菜を植える。

畑の広さの図

下の段の畑

水路を掘る写真水路、畝、畦を作った。昔の水路の跡があったので、それを利用して、水路、溝を掘った。水は、山側中央付近より入り、左と右下に流れていくようにした。

イノシシよけの柵を寄せて、杭を打ち直した。
水が畑に侵入して水浸しになっていたので、低いところに土を盛って補修した。
苗代を作り、稲の種を蒔いた。

川口さんのアドバイス。「山側の水路の幅をさらに広くして、その土を積み上げる。そうすると、そのスペースに里芋などが植えられる。」

溝の掘り方
溝の掘り方の図

溝の掘り方の図
溝の掘り方の図溝とあぜ道の高さ

 

上の段の畑

放置されていた期間が長く、笹も太かった。また、笹の根が地中に張り巡らされていて、堅くて溝を掘ることができなかった。
スイカを一カ所に植えた。
谷側の端の日当たりが一番よく、土が乾燥する所にトウモロコシを6カ所くらいに植えた。棚田では山側の方が谷側に比べ土の湿り気が多い。

川口さんのアドバイス。「水路は山側には最初から水が流れているので、これ以上の水路、溝を作らなくてもよい。山側の水路の幅をさらに広くする。笹の茎が太すぎ量が多すぎるので、畑に蒔けない。先の細い部分は切って、畑に振りまいておくが、残りの太い茎の部分は畑の右上の位置にきちんと一本ずつ積み重ねて置いておく。斜面の笹も風通しと、日当たりをよくするために刈る。」


ホームにもどる  更新2000年5月15日