農塾2(有機農業の野菜づくり)
渋谷冨喜男 氏
土と緑の会
兵庫県有機農業研究会・代表
15〜16年前、ある消費者に出会って農薬を使わない農業を始めた。それまでは、油を焚いて、トマトを早く出荷していた。
化学肥料と農薬はセットであり、化学肥料は農薬を使うことを前提にして作られている。
野菜は人間が作ろうと思ってもできるのではなく、自然の中のものだ。
基本は土、土をどうするかが大事。
野菜が育つには肥料が必要。
堆肥 | 有機質を分解させたもの。 有機質が腐ったものであり、これは微生物があるから腐るのである。肥料分はない。 |
肥料 | 油かす、鶏糞 |
肥料は微生物に分解されることで作物に効く。肥料と微生物のどちらが少なくてもよくない。
微生物のないところに、化学肥料だけをやっても健康的な効き方はしない。
自然界には1カ所に同じもの(木)ができていることはない。虫の分散をするために、いろんなものを植える。同じものを作ると土が拒否する(いや地(いやじ)現象)。
どんな品種がよいか
その土地で昔から作られてきたのは、その土地に慣れていて、強い(在来種)。
種屋さんの最新のものは、味がよいが虫も好む。
トマト
- 筋を入れて種を播く。
- 土を種と同じくらいの厚さにかぶせる。
- 新聞紙を表面にかぶせ、乾燥を防ぐ。
- 土には堆肥、その下には肥料、断熱材を入れる。
- 夜はビニルをかける。
- 根が出ると、茎を曲げて植え替える。そうすると、途中からも芽が出る。
トマトは雨が多いと、疫病になり、黒くなって枯れる。
虫にやられることは少ない。
雨が少ないと豊作になる。
なす
トマトと同じように育てる。
虫が大変。20星てんとう虫がなすの葉を食べる。乾燥が続くと、アブラ虫がつく。
雨が多い方が豊作になる。
黒光りをしているなすがおいしい。
キュウリ
トマトのように植え替えると枯れてしまう。
2葉ですぐポットに植え替え、4枚のときに畑に植え替える。
病気は、うどんこ病。
乾燥が続くと、アブラ虫がつく。
なんきん
普通の畝幅は1m20cmだが、倍は要る。
キャベツ
品種によって収穫時期が違う。
キャベツもはくさいも、虫がつきやすい。青虫(春)、よとう虫。
私の虫対策は、葉の裏に卵がある早い時期(生まれた直後)に葉を切って、袋に入れて、捨てる。遅れると、他の葉にも移る。(キャベツ、はくさい、ブロッコリー、カリフラワーなど)
セロリ
霜が降りると弱いので、その時期にはビニルをかぶせる。
じゃがいも
約10cmの深さに植える。
土から外に出ると青くなるので、大きくなると土寄せする。
2〜3月に植える。4月に芽を出す。
植える向きはどちらでもよい。
小松菜、葉もの類、ほうれん草
種を播いた後、芽が出るまでに、かんれいしゃ、布をかぶせると虫の害が少なくてよい。
堆肥
- 生ゴミや米ぬかの山を作る。
- 発酵すると70度になり、よい微生物は繁殖し、悪い虫や病虫の卵は死ぬ。
- 切り返しを2〜3回して、3ヶ月〜1年でよい堆肥のできあがり。
生ゴミは水分が多すぎるので、間に水分を吸収するものを挟む。
EM菌は低温菌であり、温度が70度まで上がらない。
- 好気・・空気が多いところ
- 嫌気・・密封したところ(EM菌)
連作
- 同じ作物ばかりを好む病原菌が増えてくる
- 分泌物が蓄積する
- 吸収するものは同じものと偏る
病気の予防法
- うどん粉病が出ると時期を遅らせる
- キュウリが生育しているときは大丈夫
- 早期発見でその葉を捨てる→広がりが遅くなる
- 作物が弱ったときに病気が来る。根が健康に育つ方法を考える。
虫の駆除
- どろどろした鳥もち、掃除機で吸う
- 人手でとる
- 早めに取って捨てる
ハ蜂の幼虫など。
キュウリは直植えもできるが、苗作りのメリットは
- ハウスで苗を作ると早く畑に植えられる
- 生えた頃から虫に食べられる
- 草を除く
有機農業の難しいのは
- 虫、肥料、草
- 土ができていないとき、収量が不安定
- 食べる人がいての有機は成り立つ
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