コ・ハウジング(co-housing)、エコ・ヴィレッジ(eco-village)
コ・ハウジングとは、暮らしやすい住環境(共同体)を構築すること、また、その住環境のことである。普通、20〜30世帯の住宅が、歩道や中庭に沿って建ち並んでいる。特徴は、個人の住居に加えて共同施設を設けていること。共同の建物には、大食堂、台所、ラウンジ、会議室、娯楽施設、読書室、作業場、保育室などがある。そこに住む予定の住民が主として参加する草の根活動から成る。1960年代、デンマークで Jan Gudmand-Hoyer らが始め、1980年代に北アメリカに広まった。
一般に、1)共同施設を設けて近隣の交流を深め、現代の住宅に多い疎外感を無くしたり、2)住宅街付近への車の乗り入れを禁止し、交通事故を減らしたり、3)広い農地を確保し、大地との繋がりを深めたり、4)自然を残し、自然や動植物とのふれあいを大事にしたり、5)新エネルギーの使用割合を高くし、ゴミの減量や循環に工夫を凝らし、地球環境にやさしくしたり、というような村を目指している。
一例として、ニューヨーク州イサカ(Ithaca)市において試みられている、コ・ハウジングから成るエコ・ヴィレッジを構築するプロジェクトを紹介する。規模は、住民500人、広さ約700000m2。
開発における指針(抜粋)
近隣
- 個人のプライバシーを守りつつ、近隣や村全体の共同体意識を高める。
- 住民同士の交流関係を支援する。
- 住民と、動植物がふれ合う場を設ける。
- 歩行や自転車での交通を奨励し、車の住宅街への乗り入れを禁止する。
- 自由空間を最大限確保する。
ヴィレッジ・センター街(Village Center Complex)
ヴィジターズ・センター(Visitor's Center)
エコ・ヴィレッジ教育・研究センター
農業
- 食料や果物を豊富に栽培する。
- オーガニック栽培など、持続可能な技術や手法を開発し実践する。
- 食料を供給することで、住民の生活に余裕を与える。
- 共同体の活動を通して、また、土地との繋がりを通して共同体を活性化させる。
輸送と流通
自然資源
- 湿地や森なども含む自然地域の保護、修復、創造に努める。
- 動植物を育てる。
- 歩行者が自然資源と充分にふれ合うことのできる小道を設ける。
- 野生動物保護区域を侵さない。
- 植林によって森を再生する。
- 住宅街の近くに遊ぶための広場を設ける。
- 住民のプライバシーを損なわない程度に、他地域を受け入れられるよう設計する。
- 自然地域の情報を収集し整理する。
水と汚水
- 用途ごとに適切な種類の水を供給する。
- 可能な限りリサイクルできるシステムを構築する。
- 水の使用量を減らすための活動を実践する。
固形ゴミ
- ゴミの減量に努める。
- 再利用、リサイクル、コンポストを推進する。
エネルギー
- 持続可能なエネルギーを使用するにあたり、分かりやすい手段を示す。
- 効率的な輸送システムを採用し、エネルギー消費を減らす。
- エネルギー消費を最小限に抑えるための活動を実践する。
- 最も環境にやさしい資源、特に太陽光、風、バイオマスを使用する。
- 再生可能なエネルギー資源にスムーズに移行する。
- 快適で便利のよい環境を維持する。
建築資材
社会性
- 地域の多様性を反映した住居と就職先のある共同体を作る。
- 文化を維持、創造できるグループを含める。
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