GAIA(ガイア)


生きている地球

「生きている地球に、ギリシャ人が大地の女神を呼んだ<ガイア>という名前ほどふさわしいものはない。」

地球が生きているという考えは、1972年、ラブロック博士によって提唱された。

「生きているということは、ある物が外部から栄養を摂取して、外部に汚物を排泄することと引きかえに、自分自身の秩序を維持することができている状態である。それができなくなることが死ぬということであり、その物は崩壊していく。」

地球のように、大き過ぎて一見無機物に見える物が生きているなどという考え方は受け入れにくいかもしれない。例えば、アメリカ杉の巨木は生きていると言っても、その99パーセントは死んでいる。地球もこのようなものとは言えないだろうか。地底深いマグマの岩石を構成する多くの原子が、かつてわれわれすべての生命の源であったことを忘れてはならない。

地球のような不安定な大気(*)が、その構成ガスの反応時間と比べものにならないくらい長い期間安定した組成を維持してきたことは、ガイアという一つの制御システムで、フィードバックが働いていると考えなければとうてい説明がつかない。

(*)不安定な大気:大気中に存在するメタンや酸素は、太陽光線を浴びると化学反応により分解するため、それらの組成を一定に維持するためには、それぞれ年間十億トン、二十億トンもの量が大気中に投入されなけばならない。

ガイアの進化

生命と環境とはきわめて密接に絡み合っており、進化は個々の生物や環境そのものに起こるのではなくガイアに起こると言える。

環境問題

二酸化炭素をはじめとする温室ガスによる急激な温暖化とそれに伴う大規模な影響は、ガイアにとっては取るに足らないことである。苦しむのは主に人間であって、ガイアではないのだ。環境について論じるとき、現在の人類の社会を支える基盤としてのガイアを考えがちであるが、ガイアの健康と人類の繁栄は一致するとは限らない。

ガイアの心

人間は血液循環や体温調節だけをしているのではなく、心理的・精神的な働き、さらには霊的な働きをあらわすように、ガイアも惑星生理学的な基礎代謝の上に<地球の心>ともいうべき精神作用を発現させているに違いない。ガイアが、私たちの意識や、地球に生きるすべての生物の心を含んだ大きな心を持っていないという確証はないのだ。

もし、この巨大なガイアに心があるならば、地球に生きるすべての生物の心を含んだ計り知れない大きさの心であり、それこそ私たちが古来より探し求めてきた神、創造神なのかもしれない。


参考文献
James Lovelock 著、星川淳 訳、「ガイアの時代」、工作舎


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