感想
少食を知ったのは今年(1998年)3月、大阪で開かれた「医・食・農共生ひろば」全国フォーラムで甲田先生の講演を聞いた時でした。「機会があったら体験してみたいな」と考えていたところ、私の家に近い場所で少食を体験できる合宿があることを知りました。噂では、「断食は苦しくて脱走者も出る」と聞いていたので、未経験の私は、「よほどの覚悟で参加せねばなるまい」と意気込んでこの合宿に挑んだのでした。
合宿は、98年8月22日(土)〜24日(月)にわたり、山根農園いこいの家(兵庫県姫路市)で催されました。商売にしていないという畑ゆえ、たくさんの種類の野菜が育てられていました。朝は、その畑から草(私には草にしか見えない)をむしり取って来て青汁にして飲みました。青汁とは野菜と水を混ぜてミキサーですりつぶしてできた液体で、想像通りの草の臭みがあります。他の人は味がどうのとか批評していましたが、私には苦味しか分かりませんでした。とにかく、幾種類もの穫れたての新鮮な生野菜を食べれば健康になることは間違いなさそうに感じられました。昼は、上手に炊けていておいしかった玄米と、豆乳ににがりを加えて自分たちで作った豆腐を食べました。お茶は、畑から柿の葉を取って来て、蒸して乾かして、お茶を作って飲みました。柿の葉にはビタミンCが多いとのことです。断食にもメニューがあって、澄まし汁断食用のお澄まし汁も飲んでみました。自然の良い食材を使ったという出汁は最高の味でした。
参加者の話では、この他、生菜食という食事もあるそうです。こういう食生活を長年続けると、ほとんど食べなくても生きているという現代の栄養学では信じられない人もいるらしいです。本当でしょうか?
朝晩には、小林さんの指導で操体法と呼ばれる健康体操を実践しました。お年寄りでも体を痛めている人でも、本当に誰にでもでき、その場ですぐに効果が感じられたのが素晴らしかったです。無料でできるこれこそ本物です。
こういう具合にして、色んなことを学び、参加者たちと交流をして和やかな時間を過ごしました。年輩の方が多かったですが、私より若い人もいたし、一人一人が色んな分野で活躍されているという凄い人たちの集まりでした。内容的には私の想像とは違ったものでしたが、私にとっては初めて体験することが多かったので、この方が良かったのではと思います。なぜなら、断食の効果が現れる、つまり宿便を出し切って健康になるにはもっと長い日数が要ることを知りましたし、さらに「断食する時はいつでも言って来なさい」と山根さんには言って頂いているからです。合宿を終えて、私の中では、参加する前に抱いていた修行のような苦しい断食のイメージから健康のための良い断食のイメージに変わりました。ひょっとしたら私が断食をする機会は案外早く訪れるかも知れません。