ヴェーダの教え


1.ヴェーダを学ぶ理由

私たちは、幸福や喜びを得るため、また、苦痛や諸々の問題から解放されたいために働いています。幸福を求めるには、物を揃えて快適さや喜びを得るやり方、あるいは、精神的に進歩するやり方があります。

最大の幸福は、人々が愛し合うことによって得られます。怒りや不満は、物から喜びを得ようとして、それがうまくいかなかったときに湧き上がってきます。

私たちの肉体は、現世で、数多くの目標を達成するための道具(乗り物)に過ぎません。これは、本当の自分は肉体を超越しているということを意味します。

2.ヴェーダの目的

ヴェーダ文献は、自己実現を確立させ、苦しみから解き放つ道を教えてくれます。

3.ヴェーダの歴史

紀元前2000年頃、インドに侵略したアーリア人が、インド文化とヴェーダ文献を創りました。

この世界は最高神ヴィシュヌによって創造されました。このとき、エネルギーの波動が、OMという音を立てて広がります。それから、ヴィシュヌからブラフマーが生まれました。ヴィシュヌはブラフマーにヴェーダの知識を教え、ブラフマーは他の神々にこれを言い伝えました。こうして、リグ、ヤジュル、サーマ、アタルヴァの四大ヴェーダが誕生したのです。

4.真の自己:魂

肉体と魂は別々のものです。魂が肉体を去ると、肉体は滅びます。しかし、魂は、運命に従って次の世界に旅立ちます。魂は永遠に不滅です。魂は目では見えないので、意識で感じとるしかありません。その資質は、愛すること、愛されること、愛するものに奉仕することです。

私たちは、脳や感覚という物質的な肉体、心や知性やエゴという微妙な肉体(霊妙体)、それに、自己()の三つから成り立っています。そして、自己を統一し、肉体と霊妙体を調整するものが超魂です。

物質的な幸福と不安は常に隣り合わせにあり、一方、魂はそれを超越した所にあります。だから、恐れを無くし自由になるためには、魂を実感し、超魂とつながりを持たなければなりません。

5A.輪廻とカルマの法則

輪廻(りんね)とは生死のサイクルに縛られていることを言います。

現世にいる間、考えや行いによってどこまで精神を高められるかが、死後の運命を左右します。

カルマの法とは、良い行動には良い反応を伴い、悪い行動には悪い反応を伴うことを言います。この反応は、来世に訪れるかもしれません。

5B.悪いカルマを避ける行動

道徳的罪を冒した人は、恐ろしい地獄で何年も過ごし、罪があがなわれた後、動物に生まれ変わります。

正直であり、うそをつかない率直なことで大切です。さらに、人間だけでなく、動物、鳥、虫などに対してもやさしくするのが慈悲の心です。これを意識するとヴェジタリアン(菜食主義者)になります。

6.本性:未来の存在を決定するもの

本性には、善、情熱、無知の三つの状態があります。これらは、心に宿り、行動はすべて、これに左右されます。

善の状態は、輝きを放ち、あらゆる罪から解放され、幸福になります。情熱の状態は、限りない欲望や願望が源となり、物質的な実りのある行動に駆り立てられます。無知の状態は、妄想を描いたり、狂ったり、怠けたりします。

これらの三つの状態を超越すれば、生、死、老、迷いから解放され、この世にいながらにして至福を味わうことができます。現世においてこれを成し遂げることが、人間としての義務です。なぜなら、人間として生まれている今だけ、その能力が与えられているからです。

7.天国と地獄、宇宙の基本構造

天国や地獄は存在します。宇宙は、14の世界から構成されていて、地球は上から7番目に位置しています。

8.人生、死、それを越える魂の進化

人間の魂が進化する過程は次の5段階に分けられます。1)食物を求める。2)生存のために自衛する。3)願望や人生の価値を求める。4)精神的な知識を発展させる。5)自由になる。

死を迎えるとき、普通、魂は肉体から離れたがらないので抵抗しますが、高熱が襲ってきて死にます。そのとき、魂は肛門や他の穴から追い出されます。それから肉体は冷たくなり硬直し始めます。

悪い行いをしたならば、地獄に入るか、下等生物に生まれ変わります。良い行いをしたならば、より上位の天国に生まれます。多くの人生を経験して、進化の頂点である真理に到達することが目標です。そのとき、神の世界に仲間入りできるので、二度と今までの世界には生まれて来なくなります。

9.存在の理由

物質世界が存在する理由は、物質的な欲望を満たしたい人がいるためです。

無数の魂が存在する理由は、最高神は無限小かつ無限数の魂が集まって初めて完全になるからです。

10.神格を持つ神、持たない力

神は二つの資質を持ち、一つは、神格があり、それに対して、我々が祈り、瞑想し、相互のつながりを期待するものであり、もう一つは、空(くう)あるいは白い光です。後者はブラフマンと呼ばれています。

11.神の存在の認識

神を認識するためには、私たちは清くなければなりません。神は、物質的なものではないため、肉体の目でなく、修行によって開眼する精神の目で見る必要があります。全宇宙は、絶対神の体そのものです。

12.精神世界

精神世界は、すべての精神的な知識や修行の頂点に位置します。そこにいる人は神と同じ資質を備えています。そこでは、人々は苦痛から解放され、美、喜び、幸福、知識、愛が無限に広がっています。


参考

Stephen Knapp, The Secret Teachings of the Vedas - The Eastern Answers to the Mysteries of Life, Jaico Publishing House


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