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患者番号:876
患者名:ハチ(ラブラドール・リトリーバーの女の子)

病名:脂肪腫

経過

2007.10.13 右手の付け根、脇に卵大のしこりを発見。痛がりもせず、本人も気にしていない。いつも体を触っていたはずなのに、ここまで大きくなっていたものに気づかなかったのはショック。
2007.10.15 獣医さんに相談。切除を勧められたが、踏ん切りがつかず、抗生剤を処方してもらい、よく考えることに・・・。
2007.10.18 日に日に大きくなっている感があり、セカンドオピニオンに相談し決心。無理言って急遽手術してもらうことに。
2007.10.18 【獣医】麻酔ついでに各種検査と、唇の黒い腫瘍らしきものと腫瘍切除手術。脇の腫瘍は大小のひょうたん型になっており、小さい方は筋肉との癒着があり、筋膜を超えて筋肉も一部切除したため痛みが出ている。唇にあった黒い腫瘍は悪性のメラノーマの恐れが高く、検査の結果如何で今後の治療計画を立てることとなった。その他血液検査、心電図検査、血圧検査、病理組織検査(ヒストベット社に外注)。
帰りに鎮痛剤の注射を打ってもらった。
車に乗り込むとき、家について部屋に行くときこそ歩いたものの、左後ろ足がほとんどつけない状態で、その対角線である右手の脇を切っているためその後は立ち上がることもできず、伏せたままの状態で寝てしまった。
夜になって、まだ動けなかったが、おなかがすいたようで少しご飯を食べた。
2007.10.19 夕べはぐっすり寝ていた。朝ごはんも通常量食べた。今日も良く寝るが、立ち上がって、よろけながらも歩くことができた。順調に回復しているようだ。傷口もきれい。夕方には濃いおしっこができた。踏ん張れたのがうれしい。
今回のハチは回復力が早く、とても元気がいい。
2007.10.20 朝から体調はよさそうだったが、大嫌いな花火を聞いて震えまくってしまい、食事もとれず失禁するなどストレスをためまくっていた。こんな時だからこそ気分的にだけでもリラックスさせてやりたいのに。。。
2007.10.21 今朝も花火で震えまくり。傷の回復にも影響しないかと心配。
2007.10.22 すっかり元気。脇に少しリンパ液がたまっているようで、ぷよぷよしている。元気もいいし、食事もトイレもちゃんとできる。順調な回復振り。
2007.10.25 あごと口をしきりに痒がって、床で擦りつけたり手で掻こうとする。治りかけてる証拠だろうか。
2007.10.29 夕方獣医へ、検査結果判明。病理検査の結果、問題なし。よかった。抜糸もおとなしくできて、ほめられた。

Materials

手術中(右腕脇部) 手術中(唇部) 右腕脇部腫瘍
唇部腫瘍2つ 右腕脇部縫合状態 唇部縫合状態
検査結果

病理診断の結果:皮膚腫瘤(大):脂肪腫、皮膚腫瘤(小2個):線維性ポリープ・毛包の過形成

顕微鏡検査所見:皮膚腫瘤(大):標本内には、周囲を皮膜で覆われない境界不明瞭な腫瘤が観察される。腫瘤を構成する細胞は、少量の線維性組織を伴い、密なシート状に配列している。これらの細胞は、個々の境界明瞭、大型で類円形、豊富な空胞状の細胞質を有し、正常な脂肪細胞に類似している。
皮膚腫瘤(小2個):標本内には、表層に向けて隆起したポリープ状腫瘤が存在する。腫瘤は明確な輪郭を有せず、上皮では経度から中程度の角化亢進を認め、真皮内には中程度の交叉した線維性コラーゲンの増生が見られる。また、部分的に毛包は過形成を呈している。間質には散在性に少量のリンパ球、形質細胞、茶褐色微細顆粒(メラニン)を含有したマクロファージの浸潤が見られる。

判定:良性

コメント:皮膚腫瘤(大)は、脂肪腫の所見です。一般的に脂肪腫は外科的切除により再発は見られません。今回の標本からは、明らかな浸潤性は認められていません。しかし、一定期間は切除部分の経過観察が必要と考えられます。
皮膚腫瘤(小2個)では、線維性ポリープと毛包の過形成の所見を認めます。いずれも非腫瘍性病変であり、外科的切除により問題ないものと考えられます。今回の標本からは、外科的マージンをとって完全切除されているようです。

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