すると、何とクロコ(シロコの子)がいるではないか!?シロコが動管へ連れて行かれてからずっと姿を消していたクロコ。いつ帰って来たの?シロコが呼んだの?それともシロコが帰って来るのを身をひそめてここで待っていたの?
 クロコは体こそ大きくなっていたが、ガリガリに痩せてしまっていて毛艶も悪かった。”きっとシロコもこの近くにいる”そう思った私たちはしばらくクロコの動きを遠くから見ていた。15分くらいするとシロコが現れた!首には噛みちぎったリードが10cmほどぶら下がり、腹には包帯が巻かれている。"シロコ、何で出て行っちゃったの?"涙が出そうになった。とにかく早く保護しなければと思いジャーキーを見せて何度も呼びかけた。ところがシロコはクロコとともにすごい勢いで私たちの前から走り去ってしまった。
 その後も必死に探し、近所の人たちにも見つけたら連絡をもらうようお願いした。しかし、あれからシロコたちを見かけることはない。
     
 第17章  抵 抗
 次の朝食餌を持っていくと、シロコの姿はなかった。布製のリードが途中から噛みちぎられている。”しまった!”しかし、もう遅かった。あのときまた噛まれてでもワイヤーロープ一本にしておけば・・・。悔やんでも悔やみきれない。絶望的だった。すぐさまAさんに連絡し事情を話すと、「何で私があげた鎖にしなかったの?布のリードなんか噛みちぎることぐらい分かるでしょ!」とひどく叱られた。そのとおり。そんな事分かっていた。分かっていながら、付け替えることができなかった自分が情けなく腹立たしかった。「見つけたらエサでつって呼び寄せるしかないけど、もうあなたたちには寄りつかないだろうね。」と言われた。返す言葉もない。Aさん始めどれだけの人がシロコ一人の保護のために力を貸してくれていたか、その人たちに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
 Aさんに深くお詫びをし、おやつ用にと用意していたジャーキーを持ってシロコを捜しに出かけた。とりあえずシロコが捕獲器で捕まった畑を見に行った。