■ 紅楼夢の色々な用語のメモ集です。
■ ただし『紅楼夢』は時代設定が明示されていないので官職などは清朝のものを参考にしています。
■ 用語は項目ごとに分かれています。
−官職及び組織−
栄国府の組織 二門外 外界との対応などを行う公的な場所。男性が中心。 総管房 主人の指示や「祖宗の旧例」に従って栄国府を運営する。 頼大 大総管として栄国府の運営を統括する。 林之孝 帳房を司る。 呉新登 銀庫を司る。 単大良 各種の雑役を司る。 帳房 林之孝 栄国府の財政を司る。お金を扱うため、有力な部署。 銀庫 呉新登 お金の保管、支払い。 買弁房 銭華 物品の買い出し。 糧倉 戴良 食料の保管、出し入れ。 厨房 主人や来客から召使いまでの食事の差配。 茶房 お茶や茶器を司る。 古董房 古董を司る。 金銀器皿房 金銀器や皿を司る。 薬房 賈菖、賈菱 薬を司る。 外門房 各所にある門の管理。 正門 十数人が常駐 正門の管理。 角門 正門以外の門の管理。 二門 八人(四人×二班) 「うち」と「そと」を分ける重要な門。 二門内 日常生活を送る私的な場所。女性が中心。 総管房 頼大の妻 二門内に住む主従の生活を管理、運営する。 林之孝の妻 呉新登の妻 単大良の妻 庫房 王熙鳳 二門内にある物品の保管、出し入れ。家事を取り仕切る者が庫房の鍵を預かる。 漿洗房 洗濯。 針銭房 張材の妻 針仕事。 戯房 賈薔 梨香院の小女役者の管理。 厨房 柳の妻 大観園内の主従の食事を差配。 邸外 栄国府外の諸々の施設や場所。 南京の邸宅 鴛鴦の父母等四、五家 寧国府との共同管理。 鉄檻寺 賈家の菩提寺。寧国府との共同管理。 饅頭庵 寧国府との共同管理。 水仙庵 寧国府との共同管理。 荘田 栄国府の主要な財源。 林之孝 各所の家や田地の管理。 周瑞 春秋二季の地代を徴収。 烏進孝の弟 八カ所の庄田の荘頭。 参考文献:陳大康「論栄府的管理機構与制度」(『紅楼夢学刊』1986、3)
六部 (りくぶ) 吏部 (りぶ) 文官の任命等の人事を担当 戸部 (こぶ) 戸籍管理、徴税、貨幣鋳造等を担当 礼部 (れいぶ) 儀式、教育、科挙等を担当 兵部 (へいぶ) 軍事を担当。 刑部 (けいぶ) 法律、刑罰等を担当 工部 (こうぶ) 土木建設、水利等を担当
中央官庁の階級 尚書 (しょうしょ) 各部の長官。吏部尚書。兵部尚書など。 侍郎 (じろう) 各部の次官。漢代に宮中の近侍のような意味で設けられた。 郎中 (ろうじゅう) 侍郎の次。漢代に設けられた。隋から清まで各部に置かれた。 員外郎 (いんがいろう) 郎中の次。元々は定員外の官職のこと。南北朝以降は員外散騎侍郎の略称。
明清以降に正規の官となった。また、員外はお金持ちの意にも用いられる。
<例>2回 賈政が員外郎にまで昇進した。主事 (しゅじ) 員外郎の次。北魏に尚書主事令史が置かれ、隋になって主事と称した。明以降に正規の官となった。
地方組織―清朝 省 総 督 そうとく) 1省から数省を治める大官。兵部尚書と都察院右都御史を兼ねて軍事と監察をも司った。
清朝では8人の総督がいた。巡撫とほぼ同格。巡 撫 じゅんぶ) 省の長官。兵部侍郎と都察院右副都御史も兼ねて軍事、監察を司った。総督とほぼ同格。 布政使 ふせいし) 省の民政、財政長官。 按察使 あんさつし) 省の司法長官。 道 道 員 どういん) 道の長官。 同
格府 知 府 ちふ) 府の長官。州県を統括する。明に入ってから正式の官名となった。 −同知 どうち) 知府の属官。 −通判 つうはん) 知府の属官。 <例>24回,35回 直隷州 知 州 ちしゅう) 州の長官。 −州同 しゅうどう) 知州の属官。 −州判 しゅうはん) 知州の属官。 同
格県 知 県 ちけん) 最小行政単位の県の長官。明に入ってから正式の官名となった。 散州 知 州 ちしゅう) 州の長官。 −州同 しゅうどう) 知州の属官。 −州判 しゅうはん) 知州の属官。
緑営 (りょくえい) 漢族からなる部隊。緑色の旗を印にしたため緑営という。もとは正規軍たる八旗の補助であったが、八旗が弱体化すると主力部隊となり治安を司った。最高官は提督。 提督 (ていとく) 清代緑営の官名。従一品官。緑営の最高官、だいたい一省に一人置かれる。 総兵 (そうへい) 清代緑営の官名。正二品官。提督の下。 副将 (ふくしょう) 清代緑営の官名。従二品官。総兵の下。 参将 (さんしょう) 清代緑営の官名。正三品官。副将の下。 遊撃 (ゆうげき) 清代緑営の官名。従三品官。参将の下。 都司 (とし) 清代緑営の官名。正四品官。遊撃の下。 守備 (しゅび) 清代緑営の官名。正五品官。都司の下。 <例>長安守備(十五回)
−科挙−
状元 じょうげん 殿試に一番で合格した者 榜眼 ぼうがん 殿試に二番で合格した者 探花 たんか 殿試に三番で合格した者
「探花」の由来
唐代に新進士のうちで最も年齢が若い者が長安城内で
最も美しい牡丹の花を手折ってくる習慣が有ったことによる
第一甲 成績最上位で合格した三人。進士及第という 第二甲 成績上位で合格した若干名。進士出身という 第三甲 残りの合格者。同進士出身という
進士 しんし 殿試に合格した者、高級官僚になる資格を持つ 貢士 こうし 殿試を通過し会試を受けるまでの者 挙人 きょじん 郷試に合格した者。
それほど高くない官にならば就くことができる生員
秀才せいいん
しゅうさい府学、県学等の学生
ただし実際は学校で勉強することは無い
官員に準じる資格を持ち郷試を受ける資格を持つ童生 どうせい 生員の志願者
生員(秀才) 生員の資格はいくつかの階層に分けられる。下記のものはその一部 監生 (かんせい) 国子監(国立大学)の学生。
生員より身分が高いと見なされ、官職に就く可能性もある
賈宝玉や、賈蘭のように金で買うことも出来る貢生 (こうせい) 生員から抜擢されたもの。官職に就ける可能性がある。
抜貢、歳貢、恩貢などがある廩膳生 (りんぜんせい) 政府から若干の学資を受ける者。廩生とも言う 付生 (ふせい) 生員になったばかりの者
殿試 でんし 会試に合格した者の順位を決めるための試験
皇帝が試験官となる会試 かいし 進士を選ぶための試験
首都で行われる郷試 ごうし 科挙の第一段階の試験三年に一度、省ごとに行われる
科挙中最難関と言われる童試 どうし 生員になるための試験
県試、府試、院試がある
−親族呼称−
伯父・伯母 父母の兄・父母の姉。
叔父・叔母 父母の弟・父母の妹。
嫂 (sao3) あによめ、老婦人の称、(既婚の)ねえさん。 <例>五嫂さん(二十三回)
[女審]母 (shen3 mu3) おば(叔父の妻)。自分の母親と同世代で母親よりも若い婦人。
舅 (jiu4) 母の兄弟。おじ・妻の兄弟・夫の父。
舅母 (jiu4 mu) 母の兄弟の妻。おば。
少婦 (shao4 fu4) 既婚の若い女性。
姑 (gu1) 父の姉妹、おば。夫の姉妹、こじゅうと。しゅうとめ。尼、仏門に入った女性。
姐 (jie3) 姉(姐姐)、親戚で自分と同じ世代の年上の女性(通常は嫂<>と呼ぶべき人を除く)若い女性に対する呼称。
−邸宅−
四合院 (しごういん) 中庭の周りを四つの棟が取り囲む中国の伝統的な建築様式。
廂房 (しょうぼう) 正房の前方左右にある脇部屋。
正房 (せいぼう) 主屋、主人の住まいや冠婚葬祭などに使われる。
庁房 (ちょうぼう) 正房のうち公的なことにも使われる建物。
耳房 (じぼう) 正房の左右に建てられる小部屋。
倒座 (とうざ) 正房と向かい合った門長屋、使用人の部屋、応接室などに使われる。
抱厦庁/倒庁 (ほうかちょう/とうちょう) 家屋にさしかけて継ぎたした部屋。 母屋の後ろの小さな建物。
大門 (だいもん) 通りに面した門、四合院が南向きに建てられた場合南東隅に造られること
が多い。
院子 (いんし/ユアンズ) 四つの棟に囲まれた中庭のこと。
進 (しん) 中庭を中心とした建物群の量詞。一進、二進等。
影壁/照壁 (えいへき/しょうへき) 目隠しのための壁、大門の奥にみられる。 <例>第6回「周瑞の妻女は…自分だけさきに影壁の所を通り、中庭の門から入ってゆきましたが」
二門 (にもん) 大門の次の門、公私を分ける。
垂花門 (すいかもん) 二門のうち花の彫刻を垂れた飾りのある門。
後罩房 (こうとうぼう) 奥に造られた棟、使用人の部屋、倉庫などに使われる。
腰房 (ようぼう) 倒座と二門の間に造られる建物、控え室や乗り物をおくことに使われる。
−京劇行当<ハンタン>(役柄)−
老生 (ラオション) 成人男性役
小生 (シャオション) 青年役 <例>宝官
武生 (ウーション) 立ち回りを主とする男性役
旦 (タン) 女性役
小旦 (シャオタン) 小女役
正旦 (ジェンタン)/青衣 (チンイー) 歌と台詞を主とする女性役 <例>玉官
武旦 (ウータン) 立ち回りを主とする女性役
老旦 (ラオタン) 老女役
浄 (チン) 隈取り役
正浄 (ジェンチン)/大花臉 (ダーホアリエン) 歌を重視する隈取り役
丑(チョウ)/小花臉(シャオホアリエン) 道化役
武丑(ウーチョウ) 立ち回りを主とする道化役
−お酒−
千紅一窟 (せんこういっくつ) 放春山の遣香洞で採れる品を仙花霊葉にむすんだ朝露で沸かしたもの。 <例>5回
楓露茶 (ふうろちゃ) 賈宝玉が「今朝、楓露茶を一杯いれたろ。あのお茶は三、四煎目あたりから、やっと持ち味が出はじめるといっておいたのに」と言った。 <例>8回
普ジ茶 (ふじちゃ/プーアルちゃ) 団茶の一種。雲南省のラオスに近い普ジで生産。薬効があるという。 <例>63回
女児茶 (じょじちゃ/ニューアルちゃ) 音が近いため、普ジ茶のことを賈宝玉がこう呼んでいる。 <例>63回
六安茶 (りくあんちゃ) 安徽省六安に産するお茶。 <例>41回
老君眉 (ろうくんび) <例>41回
龍井茶 (りゅうせんちゃ) 緑茶の一種。浙江省の西方西湖山区一体が産地。名前は龍井と言う名泉に由来している。 <例>82回
−お酒−
万艶同杯 (ばんほうどうはい) 百花の蕊と万木の汁に麒麟の髄のもろみと鳳凰の乳の麹を合わせて醸したもの。 「同杯」の「杯」は「悲」の意を寓したもの(脂注)。 <例>5回
恵泉酒 (けいせんしゅ) 甘口の黄酒。江蘇省無錫産。太湖のほとり恵山の山中にある恵泉の水を使用している。アルコール度18度。 <例>63回
黄酒 (こうしゅ/ホアンチュウ) 中国で昔からある伝統的醸造酒。色が黄褐色のものが多いので黄酒という。古いものが喜ばれたので老酒ともいう。アルコール度は15−20度くらいで白酒より低い。 <例>31回,38回,41回
焼酒 (しょうちゅう) 白酒のことをいう。 <例>38回
白酒(はくしゅ/パイチュウ) 無色透明の蒸留酒。歴史は黄酒より浅く1000年くらい前から作られたと言われる。アルコール度は50−65度くらいで黄酒より高い。茅台酒、汾酒などが有名。
紹興酒 (しょうこうしゅ) 黄酒の代表的なもの。浙江省の紹興産。老酒ともいう。アルコール度15−20度。 <例>63回
−宝石類−
金星玻璃 (きんせいはり) 砂金石または梨子地(梨の実の皮の小さな斑点に似せて、蒔絵に金銀の粉をまきうるしを塗り、みがいたもの)ガラスのこと。 <例>52回,63回
−武器−
鴛鴦剣 (えんおうけん) 二本で一つの刀。中華街で似たようなのがよく売っている。 <例>66回
−時刻−
初更 (しょこう) 宵8時−10時
二更 (にこう) 夜10−12時
三更 (さんこう) 夜12時−2時
四更 (しこう) 夜2時−4時
五更 (ごこう) 明け方4時−6時