俳人森澄雄さんに学ぶ潜在意識の有効活用方法

森 澄雄さんの文章

　日経新聞に「私の履歴書」という各界の著名人が半生を綴る連載があります。２００７年８月３１日に俳人 森 澄雄さんの興味深い文章が載っていましたので、御紹介します。
　以下は、森 澄雄さんの文章の抜粋です。

　ぼくがいくらでも俳句ができるのは、頭を使わないからである。
向こうにある大きな自然からそのまま句をもらい、ああだこうだと考えない。
それは自分のいのちを包んでいるもの、宇宙と言ってもいいし、虚空と言ってもいいが、その大きいものからもらう。
ぼくは心に光が見えたのと同時に書く。
板画の棟方志功さんが板木を彫っている状態と同じで、それは向こうからやってくる。
(抜粋終わり)

潜在意識に関係する言葉

　森 澄雄さんの文章に私なりの解釈を加えてみます。

頭を使わない

意識的にあれこれ考えずに、無念無想の境地に自分を置く。
その中で自然と湧き上がってくる想いを言葉にする。
顕在意識で考えずに潜在意識を使うことの例え。

向こうにある大きな自然

向こうとは潜在意識の世界のことで、こちら側とは顕在意識の世界である。
大きな自然とは、人智の及ばない潜在意識を象徴する比喩である。

それは自分のいのちを包んでいるもの

自分の命を包んでいるものとは自律神経である。
自律神経は本人の意思とは無関係に、心臓を動かして血液を送り込み、呼吸を行わせ、その他の臓器の機能を調節する。
自律神経は無意識の働きであり、言い換えると潜在意識のことである。

宇宙と言ってもいい

宇宙は無限で、果てし無い空間である。
潜在意識を、果てし無い宇宙に例えている。

虚空と言ってもいい

虚空は何も無い空間であり、一切の事物を包容してその存在を妨げないものである。
潜在意識を際限の無い虚空に例えている。

その大きいもの

潜在意識が無限であることの例え。

心に光が見えた

自分の思考や意識が昇華して、無意識の状態で潜在意識が生み出す指令とつながった状態。

それは向こうからやってくる

無意識の状態で、自分の求めるものが自然と導き出されることの例え。

潜在意識を有効活用する方法

　潜在意識の働きを活用すると、自分が求めるもの、自分が探しているもの、自分が出会いたいものに辿り着き易くなると言われています。

目標を明確に設定する

　古来より、偉業を成し遂げた人は自分の目標を設定し、その目標を紙に書き出し、頻繁に目標を書いた紙を眺め、目標を口に出して唱えていたと言われています。
　目標や希望、願望は設定した時点では頭で考えたものであって、顕在意識の世界のものです。
　しかし、目標や希望、願望を書き出したものを繰り返し見て、唱えていると、次第に顕在意識の世界から潜在意識の世界に引き渡されて、刷り込まれます。

潜在意識は休み無く働く

　潜在意識の世界に引き渡された目標や希望、願望は、本人の意思とは無関係に働き始めます。
　潜在意識には制約や障害、限界はありません。潜在意識は疲れて休むということがありません。２４時間、３６５日、休み無く働き続けます。

牽引の法則

　潜在意識には牽引の法則があると、ジョセフ・マーフィーは著書で述べています。
　潜在意識は検索エンジンの様に、目標や希望、願望に関するあらゆる情報を集め、目標の達成、希望や願望の実現に向けて働き続けます。
　画期的な発明をした人が夢の中でアイデアを得たという話を聞きたことがあります。その人は起きている間は四六時中、食事をしている時でも発明に関することを考えていました。
　潜在意識は寝ている間も働き続け、それまでの研究や思考を無意識の中で、関連付け、再構築を行い、探し求めていたアイデアなり、新しい発想を導き出したということです。

　潜在意識を有効に活用することは、学業、仕事、スポーツ、その他の日常生活において、目標の達成、希望や願望の実現、人生における成功に近づく為の有効な手段であると言えます。