Nepenthes ampullaria  Jack




独特なころころした形の袋が可愛いです

ネペンテス アンプラリア  本種の捕虫袋は、楽器のティンパニーのような独特な壷形をしており、他の種と間違えることはないでしょう。N.rafflesiana と同じで、栽培は容易です。小型室内温室にも向いていて、日陰でも袋をつけてくれます。
 それほど大型にはなりません。他の種のように、(形や色彩が面白くない)上の袋を着けさせないために、剪定する必要はありません。
 茎の根元から葉のない袋が出てきて、用土の上に並べるようになるので、出来るだけ幅の広い鉢で栽培すると良いでしょう。このようにして出来る袋は、葉の先に着かないというだけで、普通に茎に着く袋と同じような形をしています。。
 袋全体が緑色のものが一般的ですが、淡緑色の地に美しい赤斑の入った袋を着けるものもあります。これなどは、野鳥の卵のようにも見えます。
 しかし、最も素晴らしいフォームは、北ボルネオのジャングルで Robert Cantley によって発見されたものでしょう。このフォームが発見されたときのエピソードが面白いです。ある日、Robert Cantley 達がジャングルを探検していると、遠くに毒きのこがいっぱい生えているのが見えました。ところが、近づいて良く見てみると、何とそれが N.ampullaria のコロニーであったというのです。それらは、輝くばかりの深紅色で、わずかに緑の斑点がある程度であったといいます。これは、発見者にちなんで "Cantley's Red"というバラエティー名で呼ばれており、現在でも人気が高いものです。

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 本種は分布範囲が広く、最も独特な種のひとつである。本種には、本当の意味でのシノニムは存在しない。この事は、この種がその広い分布範囲にもかかわらず、形態的に均一であることの証明となっている。
 低地のピート湿地林や低木林では最も一般的な種で、そのような場所ではしばしば地面の上に大きなロゼットが見られる。通常非常に湿った土壌に生育し、時には大量の腐葉土に埋もれるようにして生えている。川の近くの定期的に洪水に見舞われるような砂地や、人手の入っていないピート湿地林の周縁部にも生育する。ロゼットは激しい雨の後では、水浸しになってしまう程である。
 時には開けた場所にも見られるが、低木の茂みの中をよじ登って、3m 以上にもなることがある。
 本種は、その分布範囲内で、上に挙げたような植生の場所なら簡単に見つけることが出来る。

 花は一年に一度か二度咲くが、これが季節に関係あるのかどうかは分かっていない。本種の袋は、初めて見たときでさえ、他の Nepenthes のものとは間違えることがないほど、独特なものである。小さな壷が乱雑に積み重ねられたように、地面の上に沢山集まって 並んでいるからである。
 いくつかの変種がこれまでに記載されているが、最も新しいのは N.ampullaria var.racemosa である。この変種は、サラワク産で、総花状の花茎を持つ。これ以外の変種には特に重要なものはない。

 葉の色は淡緑色であるが、茎の色は通常淡褐色である。本種をフィールドで観察する人がまず第一に興味を持つのが、ボルネオで見られる顕著な色の多様性である。
 最も普通に見られるのは、全体が緑一色のものである。もっと魅力的な変種は、袋の外側に赤や紫色の斑点があるものである。もう一つは、赤い袋に緑の斑点が付いていて、襟も緑色のものである。
 一番素晴らしい変種は、ブルネイで発見されたもので、袋の全体が鮮やかな赤色で、袋の外側には緑色の斑点がわずかに付いている。このフォームのものは、ほんの一握りほどしか知られていないのだが、生育環境が絶え間なく破壊されており、重大な危機に瀕している。この変種が、本種の中で最も美しいものであることは疑いようも無いし、全ての Nepenthes の中でも最も魅力的なもののひとつなので、万が一絶滅することになったら非常に悲しいことである。

 ロセットの袋を別にすると、本種はあまり袋を付けない。ロセットの袋は、基部だけではなく、茎の色々なところに出来て固まりになっている。そのため、茎のあちこちに袋が房のように付いているのが見られる。
 同じような袋は、茎に付いた葉の先にも出来るが、それは茎の長さ 0.5m のところまでで、これを越えると袋が着くのは稀である。また、上によじ登っている茎から出たロセットや節から伸びてきた茎には、袋は付かない。
 上の袋が観察されることは少ないが、これを説明するために2つの仮説が提案されたことがある。一つは、観察された植物は高電圧線の下にあったとはっきり分かっており、この非常に苛酷な環境が植物にストレスを与え、上の袋を作らせてしまったというものである。
 もう一つは、上の袋は実際にはもっと多く存在するのだが、樹冠の上に特に多く、地上からは見えないだけというものだ。しかし、最近の観察によると、どうやら2番目の仮説が真実に近いようである。

 本種は近くに生育している他の種と容易に自然交配種を作る。こうした自然交配種のうち、N.x hookerianaN.x trichocarpa は、長い間交配種であることが分からず、原種であると思われていた。
 本種は花の時期が数週間続く上、他の Nepenthes と同じ時期に開花することが多いので、交配種が日常的に作られている。

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