Nepenthes bicalcarata  Hook.f.



ふたの付け根に、2本の下向きの牙が生えているのが特徴です

ネペンテス ビカルカラタ  本種は丈夫で、非常に大きくなります。背も高いし、葉も大きいです。本種の特徴は、何といっても、蓋の付け根のところに牙のような2本の突起があることです。
 この"牙"の役割ですが、袋の中身を横取りしようとする動物から身を守るためという説もありますが、どうでしょうか。
 捕虫袋はオレンジ色で、きれいなものです。

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 この種は色々な点で注目に値する植物である。ふたの下に2本の鋭いとげがあれば、直ちに他の種ではなく本種であるということが出来る。

 本種は、Nepenthes の中でも最大のもので、20m 近く伸びてついには森の一番上にまで達し、基部からは多くの脇芽を生ずる。袋は最大級とは言えないが、決して小さくはなく、特に下の袋では1リットル以上の容積を持ち、高さ 25cm、幅 16cm に達するものも幾つか見つかっている。上の袋は概して下の袋より小さい。しかし、大きくて重い袋が付いたら、その植物は高さ数メートル以上には育てないであろう事を考えれば、不思議ではない。
 茎と葉は緑色であるが、若い葉にはしばしば しわ のような薄い黄色の網目模様が付いている。下の袋の色は、ライムグリーンからオレンジ色、あるいは暗赤色と幅が広い。襟は緑色で、時に赤いこともある。ふたの上側は、通常は袋と同じ色であるが、下の面は概して赤い斑点で覆われている。
 花は淡褐色から紫色である。上の袋の色は、概して黄色からオレンジ色であるが、緑色のこともある。
 フィールドにおいて、例え袋が付いていなかったとしても、本種を他の種と混同することはないだろう。なぜなら、共生する他の種と比べて、植物体が巨大であるからである。

 この種の主な生育地は、人の手が入っていないピート湿地林である。このような場所では、植物体は最大限にまで大きくなるが、ピート湿地林の周辺部や低木林にも普通に見られる。この種があると、必ずといっていいほど近くに N.ampullaria も見つかるものである。
 本種は、ボルネオ北西部のみに自生する。

 本種の円筒形の茎は、他のどの Nepenthes よりも太くて、直径 3.5cm にも達し、節間は 40cm にも達する。
 本種の葉は有柄で、皮質である。葉身は倒卵形から披針形で、巨大になり、長さ 80cm、幅 12cm にも達する。茎に沿ってわずかに沿下し、幅の狭い翼を形成している。葉身には不明瞭な長さ方向の脈と、無数の羽状脈がある。つるは長さ 60cm、幅 8mm に達する。つるは捕虫袋近くで中空となり、膨れている。

 本種は植物体の各部が非常に大きいが、捕虫袋だけは N.rajah などのライバルではない。本種を有名たらしめている 2本の牙は、ふたの下部に着いていて、長さ 3cm にも達する。2つの明瞭な房飾りの着いた翼は、幅 15mm? で、下の袋の前面に着いている。これらは、上の袋ではリブ状の痕跡となっている。幅 20mm? の襟は、平らで内側に向け曲がっているのが特徴である。縁歯は短いが明瞭である。ふたは腎臓形から心臓形で、付属物はない。距は分岐せず、長さ 15mm? に達し、ふたの基部に着いている。

 本種の花は、円錐花序である。花柄は長さ 40cm に達し、花軸は 100cm にも達する。雌の花序は通常雄のそれよりも短い。花茎の枝は 40mm に達し、最大 15個の花を着ける。萼片は倒卵形または披針形で、長さ 4mm に達する。
 成熟した個体は、ほとんど無毛である。脱落性の毛が、植物体の若い部分や花序に存する。

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