Nepenthes bongso  Korth




スマトラ産の高地性種です

ネペンテス ボングソ  本種はスマトラ中央部産で、N.aristolochioidesN.diatasN.densifloraN.ovataN.singalanaN.spathulata などと非常に近縁です。
 上の袋は完全にロート型で、口の下で急に狭くなり、N.densifloraN.ovata と共に、本種の特徴となっています。
 N.dubiaN.inermis が、本種のシノニムとされたことがあり、N.inermis の標本が本種と言われたこともありました。

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 本種の種小名の bongso は、“Putri Bungsu”というスマトラの名前に由来していているが、これは“最も若い娘”と訳され、その地方の良く知られた伝説に出てくる語である。彼女の精神は、Merapi山の頂上に宿っているといわれている。そこは、“Bongsu Crater”として知られているうちの主たる噴火口である。Korthals は、本種のタイプ標本をその噴火口の近くで採集し、同じ名前を与えた。本種は、焼けた岩の塊で覆われた尾根の上に自生しているといわれている。それに続いて行われた研究では、このような産状は本種にとって特殊なものであることが示された。実際に、本種は Merapi山の高い斜面には生育していない。これは、Merapi山がスマトラで最も活発な火山であることからうなずける。最近の噴火で、Korthals が訪れたころの“Bongsu Crater”周辺の植生の大部分が破壊された。そこでは、本種と N.singalana との中間の外観を示す植物が若干残存していたが、数も少なく強いストレスを受けていた。

 本種は主に、低山地帯の低い森林に着生するが、低山地帯の高い森林でも見られ、その場合は、着生地生の両方が見られる。典型的な自生地では、茎は良く攀じ登り、長さ 5m 以上になることもしばしばである。下の袋は、全体的に楕円形、あるいは、下部が楕円形で上部が大体円筒形である。襟は広いが、幅の変異はとても大きく、Singgalang山のものは、比較的幅の狭い襟を持つ。空中の袋は、つるから急に上がり、全体的に徐々に広くなるが、口の下でわずかに狭まる。上の袋の襟も広いが、下の袋のものと比較すると狭い。

 Danser は、本種から N.carunculata を分離したが、それは、よりがっしりとした花序を持ち、ふたの下面の先端に鶏冠のような付属物があるからである。しかしながら、これらの特徴は極めて不安定なものである。それゆえに近年、N.carunculata は本種のシノニムとされた。Merapi山のタイプ標本と、Singgalang山の個体群は、全体的に本種の典型例とは言い難い。他の山々の多くの個体群は、よりがっしりしていて、卵形の下の袋を持ち、襟の幅も広い。その結果、アマチュアの趣味家の中には、本種の中には 2つの異なる種を含むという意見もある。そのもう一つの種とは、N.carunculata である。将来の研究で、この二つめの種が本種からはっきり分離されることはありそうだが、現在ではその証拠に欠いている。Danser によって示された N.carunculata との違いも重要ではない。それゆえに、二つめの種が区別されたとしても、Danser の N.carunculata とは同種ではないかもしれない。

 本種と最も近縁なのは、N.densifloraN.ovata であるが、後者とは袋のふたの下面のフック状の付属物によって区別できる。しかし、この特徴も不安定なもので、いつでも両者が容易に区別できるとは限らない。N.densiflora は、全体的に本種に極めて良く類似しているが、花によって容易に区別できる。それは、雄花と雌花でがく片の形が異なるが、本種では同一であるからである。N.talangensis が本種のシノニムであるという説もあるが、両種の間には大きな違いがあり、別種とすべきであろう。

 本種の自然交配種は稀である。本種と遺伝的に分岐した種は Merapi山には存在しないし、本種の典型的な自生地に他の種が自生するのは稀である。N.bongso × N.singalanaN.bongso × N.pectinata(=N.bongso × N.gymnamphora とも解釈される) が記録されているが、一般的ではない。

 本種は、ボルネオの N.fusca と生態学的には同等であると考えられる。非常に広範囲に分布する種であるが、発見されるのは稀である。なぜなら、ほとんどの植物が着生しているため、地上から観察するのが困難だからである。いくつかの山では、その存在する証拠は地面の上にわずかに落ちている枯れた袋のみであり、その上方の木に植物が生えているのである。これらはとりわけ Tujuh山で印象的で、袋の長さは 30cm にも達し、非常に幅の広い襟を持つ。比較的容易に本種が見られる山の一つが、西スマトラの Gadut山の山頂付近で、鮮苔林の地面近くで自生している。これらの植物は、N.carunculata var. robusta という名前で記載され、非常に大きくてカラフルな袋を持つ。

N. bongsoN. dubiaN. talangensisN. tenuisの形態的な相違点
特徴 N. bongso N. dubia N. talangensis N. tenuis
上の袋の形 管状 - トランペット形 下部は管状、中央部から上はトランペット形 下半分は管状から幅の狭いトランペット形、上半分は卵形 幅の広いトランペット形で、口の下で狭まる
ふた 円形 幅の狭い楔型 幅の広い卵形 非常に細長い楕円形
上の袋の 長さ/幅 の比率 3.3 1.9 2.3 1.75

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