Nepenthes flava  Wistuba, nerz & A. Fleischm.




スマトラ北部の高山性の新種です

 2007年に記載されたばかりのスマトラ北部産の新種ですが、記載される前から栽培はされていました。N.ovataN.inermis との中間的な存在で、N.jacquelineae とも似ています。

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 本種は、植物体がロゼットの状態である期間は短く、早い時期に上に攀じ登るようになる。そのような植物は高さ数m に達する。
 シャクナゲの仲間などの森林の、より開けた場所を好み、通常、周りの樹木が高さ 4 - 5m を越えることはない。本種は、この地域に産する、N.mikeiN.ovataN.rhombicaulisN.spectabilis と共生する。
 N.flava x N.ovataN.flava x N.rhombicaulis のようないくつかの自然交配種が観察されている。しかし、多くの交配種は、まだロゼットのステージの幼い植物である。N.mikeiN.spectabilis との交配種は観察されていない。

 本種と他のスマトラ北部産の Nepenthes との比較
 N. flava N. inermis N. ovata N. jacquelineae
ロゼットの袋
袋の形と大きさ トランペット形、口に向けわずかに狭まっている。高さ 7cm、幅 4cm に達する。 トランペット形、口に向けわずかに狭まっている。高さ 5cm、幅 2cm に達する。 卵形。高さ 25cm、幅 9cm に達する。 トランペット形から卵形。高さ 6cm、幅 4cm に達する。
襟の形と大きさ 細かいリブがあり、外側の縁はしわが入っている。幅 8 - 10mm。 平らで非常に細かいリブがある。幅 3 - 4mm。 側面から背面にかけて広くなり、幅 4cm に達する。 わずかにリブがあり、平らで、非常に良く水平に広がっている。幅 10mm に達する。
ふたの形と大きさ 細長い卵形から線形に伸び、腺突起がある。3.5 × 2cm に達する。 細長い楔形から卵形。2 × 7mm に達する。 卵形で、基部に大きな線突起(0.5cm に達する)がある。6 × 4cm に達する。 卵形で心臓形ではない。1 × 8mm に達する。
ふたに分布する腺 腺は直径 0.3mm で、全体に分布するが、中肋と腺突起に集中している。 目立たない。 小さな腺は全体に分布し、大きな腺は中肋と付属物に集中している。 腺は直径 0.5mm で、中肋と頂点に集中している。直径 1mm の腺が全体に分布している。
上の袋
袋の形と大きさ 下部は管状、上部はトランペット形。8 × 6cm に達する。 下部は管状、上部は大きく広がったトランペット形。8 × 5cm に達する。 下部は管状から細長いトランペット形、上部はトランペット形から卵形。20 × 5.5cm に達する。 下部は細長いトランペット形、上部は幅の広いトランペット形。15 × 10cm に達する。
襟の形と大きさ 円筒形で、細かくリブが入り、外縁には明瞭なしわが入る。幅 15mm に達する。 ほとんどない。 幅の広い円筒形で、明瞭なリブがある。幅 10mm に達する。 わずかにリブがあり、平らで極めて水平に広がっている。幅 3.5cm に達する。
ふたの形と大きさ 細長い卵形 - 心臓形から線形で、先端はわずかに截形、基部には腺突起がある。4 × 2.5cm に達する。 非常に幅の狭い楔形。5 × 4mm に達する。 卵形。6 × 4cm に達する。 細長い卵形。5 × 2cm に達する。
ふたに分布する腺 腺は直径 0.3mm で、全体に分布するが、中肋と線突起付近に集中している。 目立たない。 小さな腺が全体に分布するが、大きな腺は中肋付近に集中している。 腺は直径 0.5mm で、中肋と先端に集中している。1.5mm の腺が全体に分布している。

 類縁関係に関していうと、本種は非常に興味深い種である。スマトラで普遍的な種である N.ovata や、目立つ存在である N.inermisN.jacquelineae と関係があるようである。本種は、N.inermis と多くの特徴を共有しているが、それは、袋がトランペット形であること、ふたが細長いこと、未熟な段階では葉が短く、長い節間でまっすぐ上に伸びる傾向があることである。本種の実生苗の袋は、N.inermis のものに類似している。本種はまた、N.jacquelineae との類似点もあり、それは、下の袋も上の袋もトランペット形であること、リムが良く発達していること、そしてふたが細長いことである。
 本種は、スマトラ北部産の N.ovata と スマトラの山地の西部に産する風変わりな N.inermis との中間的な存在である。そしてそれは Danser の仮説を裏付けるものである。その仮説とは、彼が馴染んでいる N.bongsoN.carunculataN.singalana と、独特な種である N.inermisN.dubia を、低山地帯産の亜属としてまとめたことである。N.ovataN.jacquelineae などは彼の時代には知られていなかったが、彼なら低山地帯産の亜属としてまとめたであろう。

 本種の種小名 ‘flava’ の由来は、上の袋とほとんどの下の袋が明るい黄色をしていることによる。上に攀じ登るようになった植物体は、特に黄色い植物として印象深い。

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