Nepenthes inermis  Danser




とても変わった形をした稀少種です

ネペンテス イナーミス  袋は緑色で、褐色の縞の入ることがあります。ふたには赤っぽい斑点があります。
 近縁種の N.dubia とは、とてもよく似ていますが、襟が無いことが異なります。両種は共にスマトラに自生します。

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 この魅力的な種は、襟が全くない小さなトランペット形の空中の袋をつけることで、容易に他の種と区別できる。袋の下の部分の壁は平らで、横につぶされた形で、壁の間にほとんど隙間がない。袋にたまっている少量の液体は、非常に粘度が高く、本種の袋がどのように機能するのか思案させるものである。下の袋は滅多に形成されず、つい最近まで知られていなかった。空中の袋と比較して、襟を持ち、上の部分が球形である。中間の袋はトランペット形で、襟はほとんどない。

 本種は、ほとんど完全に着生種である。低山地帯上部の木の股の高いことろなどに自生する。その結果、時に観察するのは困難で、Talang 山と近くの Gadut 山を訪問する人の多くは、どこにあるのかわからない。ジャンビの Belirang 山の西側の斜面には本種は非常に豊富に産し、そこでは地生している。袋の形成に関して言うと、本種は多産で、成熟した茎では常時 5 つかそれ以上の機能する袋を着けている。小型であるにもかかわらず、袋は非常に美しい。

 本種には、2つの自然交配種が記録されている。そのうち一つが、N.inermis × N.talangensis で、Talang 山の山頂付近に産し、N.dubia とされたこともある。この解釈はここでは採らないが、それは、この交配種とはまるで似ていないからである。

 本種は、ジャンビと西スマトラの山々で一般的であるが、Singgalang 山、Merapi 山、Sago 山、Tujuh 山、Masurai 山など、この地域のいくつかの火山には全く自生しない。Kerinci 山では記録されたことがあるが、山頂の小道に沿っては自生しない。本種は、Bukit Barisan の火山でない山々で進化し、その地域の幾つかの火山の斜面に分布するようになった可能性もあるし、長い間に絶滅したのかもしれない。

 本種と間違われるとしたら、それは N.dubiaN.tenuis であろう。しかし、これらの空中の袋には明瞭な襟があるので、その点で容易に区別できる。また、本種の袋は通常緑色であるが、N.dubia の袋は黄色からオレンジ色のものが多い。

 本種の消化液は極めて粘度が高い。袋がひっくり返ると、粘度が高いために消化液が何m も糸を引くほどである。袋の内表面全てが、粘液でフィルム状にコーティングされている。本種の袋は落とし穴式の捕虫をするだけではなく、粘着式の捕虫もする。消化液の上の内壁についた粘液が飛んでくる昆虫を捕らえるのである。消化液は、潤滑液の役割も果たし、獲物が容易に袋の底に落ちるようになっている。

 本種の上の袋は、大雨のときには頻繁にひっくり返る。袋にたまった雨水は流れ出すが、極めて粘度の高い消化液は、横から押しつぶされたようになった袋に助けられ、流出することはない。重い雨水をためることがなくなると、袋は元通り上を向く。
 同様の捕虫方法は、近縁の種である N.dubia にも見られ、非常に粘度の高い消化液を持っている。
 本種の袋は飛んでいる虫を捕らえることが多いが、とりわけ Nematocera や Brachycera の亜目のハエが多い。しかし通常、無脊椎の動物を捕らえることはない。

 ふたに分布する腺は、麻酔性の物質を分泌し、それによって足場を失った昆虫を捕らえると考えられている。

 本種は、スマトラの低山地帯に自生する、非常に近縁な Nepenthes のグループに属する。その中には、N.dubiaN.flavaN.jacquelineaeN.jambanN.talangensisN.tenuis が含まれる。これらの種は、上の袋がトランペット形で、消化液の粘度が高いという特徴を持っている。


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