Nepenthes jacquelineae  C.Clarke, T.Davis & Tamin




非常に幅の広い襟を着ける新種です

ネペンテス ジャクエリネアエ  本種は最近記載されたばかりで、注目の的となっています。非常に幅の広いフリルのついた襟をつけます。袋と襟の色は、緑色、黄色、オレンジ、そして濃赤色と様々です。斑点のついたタイプもあります。
 組織培養苗が出回っていますが、まだまだ高価です。

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 このような珍品の Nepenthes がスマトラで長い間発見されないできたのは注目に値する。本種が最初に新種として発見されたのは、2000年の 7月で、その発見者のうちの一人の奥さんの名前 Jacqueline に因んで命名された。本種は、西スマトラのブキティンギ北部の Barisan 丘陵の山々に産し、深い鮮苔林に自生している。概して着生だが、地生するものも普通に見られる。

 本種は、通常は着生していて、地生するものもある。
 典型的な自生地は深い鮮苔林で、そこは常に霧に覆われていて、毎日降水がある。結果として、湿度は常に高く、冷涼な気候である。日照のレベルは低く、日光は霧や植生であまり届かない。
 本種はタイプ標本の産地では比較的普通に見られ、実生苗や若い植物は少ししか観察されていない。これは、本種の繁殖率が低いことを表している。加えて、その特異な外見から、自生地での盗掘も心配される。

 本種に最も近縁なのは、N.flavaN.inermisN.jambanN.talangensisN.tenuis である。これらの種は共通の特徴を持っていて、内面がほとんど全部消化腺帯であるトランペット形の袋を持つこと、苞葉がある花序を持つこと、葉が無柄であることである。これらの Nepenthes は非常に粘度の高い消化液を持つ。
 N.flava とは、卵形で傾いたふたと、円筒形の襟で区別できる。
 これらの中で、本種が最もがっしりしていて、大きな袋を着けるが、形の上では、袋の主要部分は N.talangensis に似ていて(ただし、口は水平)、一方ふたは N.tenuis に類似しているが、全体的に幅が広く、基部で明瞭に狭くなっている。本種は、N.tenuis とは、その卵形からへら形の葉身で区別できる。後者は、線形から披針形である。

 襟はこれらのどれとも違って、非常に幅が広くて水平で、前部を除いて、かろうじて認識できる程度のリブを持つ。これは、上の袋では襟が退化してしまった N.inermis と好対照を成す。若い袋では、その組織は厚くて柔らかい。同じように幅の広い襟を持つ唯一の種といえば、ボルネオ産の N.platychila であるが、この 2つの種に他の類似点はない。

 ふたの下面に多数の蜜腺があるのも、スマトラ産の種の中ではユニークである。これらは大量の蜜を作り、凹形の表面に集まって大きなしずくとなる。N.jamban もまた、非常に大きな蜜腺(0.5mm?)を持っているが、長くて 1花性の花柄を持ち、ふたが狭いことが異なっている。
N.inermis のように、ふたは狭くて口の方向に向かって、その一部を覆っている。袋の中の消化液は極めて粘度が高いが、その上には多量のより粘度の低い液体がたまっている(おそらく雨水がたまったもの)。この 2種類の液体を合わせると、捕虫袋の 2/3 〜 3/4 を占める。袋は近縁の種に比べると非常に大きく、ゴキブリやハチ、ガなどの、大きな飛翔する昆虫をしばしば捕らえる。本種の袋は、もう一つの近縁の種と思われる N.aristolochioides と同じような方法で獲物を捕らえることが可能である。幅の広い襟と、トランペット形の袋の組み合わせが、袋の穴を幅の広い暗い色のつばで囲まれた明るい円盤のように見せている。これによって昆虫が袋へ誘われるのである。幅の広い襟は、ふたの腺から出ている蜜を食べようとする昆虫に足場を与える。それによって昆虫を袋の口の危険な場所に誘導するのである。

 ロゼットの袋はしばしば作られるが、小さくてあまり目立たない。それらは、コケや岩屑の中に埋もれているか、着生する植物では空中にぶら下がっている。空中の袋と違って、比較的幅の広いふたは、雨水が袋に入るのを防ぎ、中の消化液を極めて粘度の高い状態に保つ役割があると思われる。N.inermis のように、消化液は袋の壁の内面を覆っていて、小さな昆虫も捕らえられるようになっている。

 下の袋は概して明るい緑色で、赤い襟を持つ。上の袋は、明るい緑色から全体が深赤色のものまでさまざまである。最も一般的な色彩のパターンは、袋が緑色で、襟とふたが赤いものである。

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