Nepenthes mikei  B.Salmon & Maulder




スマトラの鮮苔林に生える高地性種です

ネペンテス ミケ  本種はスマトラ産の高地性種で、N.angasanensisN.tobaica と非常に近縁です。
  N.tobaica と良く似ていますが、距がたくさん束生することなどが異なります。

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 この可憐な種は、美しい袋をつけるが、その独特な色彩から、簡単には他の種と間違えることはない。下の袋は明るい緑色であるが、黒い縞模様が強く入っている。襟も概して全体的に明緑色であるが、時に黒い色素で覆われる。形の点では、N.tobaica に非常に近縁である。花序は本種を区別する上での最も信頼のおける情報を提供する:N.tobaica の花序では、花柄に 2つの花が着くが、本種の花序はもっと短く、小花柄しか着けない。本種を N.angasanensis と区別するのはもっと難しいが、それは、両種共に同じ花序の構造を持ち、N.angasanensis の袋も叢生の距をもつからである。それゆえに、両種を区別するには他の特徴を使う必要がある。

 本種の上の袋は、通常下の袋と同じ色彩を持つが、黒い色素の密度は小さい。距は、叢生か、シンプルか、分岐している。本種の葉は、線形で非常に細長く、それに対して、N.tobaica の葉は概してもっと幅が広く、N.angasanensis の葉は両者の中間である。本種の茎は非常に細いが、強くてフレキシブルで、4m もの長さに達することが普通である。ロゼットは小型で、しばしばぎっしり詰まった塊を作り、短い匍匐根茎から無数のシュートが出ている。ロゼットから攀じ登る茎への遷移は、本種の場合非常に早く、密集したロゼット(節間は非常に短く、 2-3mm)から長い茎(節間は 10cm)になるには、一つの節間があれば足りる。この成長様式は、N.tobaica でも見られるが、もっと制限された長さにしかならない。本種はもっぱら地生し、着生しているのが観察されたことがない。

 本種は信頼できる情報では、2001年現在、2つの山でしか産出が確認されていない:北スマトラの Pangulubao 山と アチェの バンダーラ山である。海抜 1,900m の程度の高度に自生しているので、これら 2つの山の間の山々には自生していないということは驚きである。おそらく本種には土壌の質が重要で、上記 2つの山は 2つとも火山ではなく、それらの間にある山は全て活火山か最近まで活火山であったものである。バンダーラ山より北では、本種は N.angasanensis に取って代わられる。

 本種は、ほとんど常に、低山地帯上部の開けた植生の場所に自生する。バンダーラ山では、2,400m の尾根の頂上に普通に見られるが、樹木もまばらで、高さ 5m を超えることは稀である。通常他の Nepenthes と共生し、いくつかの自然交配種が記録されている。

 本種の分類については、近年議論のあるところである。本種の名前は、Salmon & Maulder によって 1995 年に、彼らの友人である Mike Hopkins に因んで命名された。彼らの記載は、Pangulubao 山で採集された標本に基づいている。その直後に、レーセル山、Goh Lembuh、Kappi 地域の植物も本種の中に編入され、それに従って記載も修正された。しかし、Salmon & Maulder は、後者を新種である N.angasanensis として独立させた。本種と N.angasanensis の間の相違点の安定性はまだ知られておらず、またそれらを種のレベルで分けるのを保証するだけ重要なのかという疑問も残る。ここではこの問題を解決することはしないが、現存する標本がこれらの分類群が示す形態的な変異の安定性や程度を決定するのに充分なものではないからである。また本種は、一部の人の間で N.minutissima という名前で知られてきたが、この名前は発表されてないので無効である。

本種と近縁の種との比較
  N. mikei N. tobaica N. tentaculata N. adnata
葉の基部 急に狭くなっている 円形かわずかに抱茎 非常に傾いていてほとんど沿下、心臓形 短く沿下
長さ方向の葉脈 葉身の外側 1/2 に 1 ないし 2本 時に 1本、稀に 2本 葉身の外側 2/3 - 3/5 に 2 - 8本、通常 4本 各々の側に 3 - 4本
叢生、下の方は 2 - 3倍に分岐、上の方 糸状、分岐しない 平ら、分岐しない -
花序 1花性 2花性 1花性 1花性
小花柄の苞葉 小花柄の半分 苞葉はない 苞葉はない -


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