Nepenthes ovata  Nerz & Wistuba



N.bongsoに近縁で、波うった襟を持ちます

ネペンテス オバタ  本種は、スマトラの Pangulubao 山に産します。標高 1,800m の開けた湿った鮮苔林に、木々の間をよじ登るか着生種として見られます。
 N.bongso に非常に近縁ですが、大きな、しばしばより波うった襟と、ふたの基部に大きな腺のでっぱりがあることで区別できます。
 N.bongsoは、本種よりもっと南の、パダン周辺の山々でしか見つかっていません。

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 本種は素晴らしい下の袋をつけ、その幅の広い襟は、ボルネオ産の N.veitchii を連想させる。しかし、N.veitchii と比較すると、本種の襟は長い明瞭な縁歯を持っている。空中の袋は上品であるが、外観は比較的質素で、全体がトランペット形で、襟は下の袋のものよりも短い。本種は、N.bongso に非常に近縁で、Danser は Lubukraya で採集された標本を後者に含めたが、両種の間に明瞭な差異はないと考えたと示唆している。後に本種は、明瞭な(しばしばフック形の)付属物がふたの下面にあることから、N.bongso とは区別された。しかし、この付属物が存在するかどうかや、その形は、非常に変異が大きく、これは両種共に言えることである。N.bongso が見せる異常なほどの形態的な変異は、この基準を使って本種をその種から区別するのを躊躇するが、他に良い分類基準がないのも事実である。しかし、確実に言えることは、N.bongso で、ふたの下に腺の出っ張りを持つフォームは少数で、それが本種ほど発達することは稀である。

 本種は、N.densiflora とも非常に類似している。この場合には、本種のふたの下の付属物は、区別する上で信頼できる特徴となる。なぜなら、それは N.densiflora にはないからである。N.densiflora の下の袋の口は長く伸びて明瞭な首を作っており、それは本種より比較的長い。最後に、N.densiflora のがく片は、雌花のものと雄花のもので形が異なっているが、本種ではどちらも同じである。本種の分布は、トバ湖の周辺の山々に限られるように思われるが、N.densiflora はアチェの Gayo Lands に固有である。

 本種は、N.singalana とも比較される。本種は、漸尖形の葉身の先端を持っているが、N.singalana では先端は円形である。この 2つの種は、ふたの下面の蜜腺の分布も異なっている。本種では、中肋付近に無数の腺が分布し、フック形の付属物の上や周辺にも腺が密にある。一方、N.singalana では、中肋付近にまばらに腺が分布するのみで、ふたの先端付近には腺がない。
 N.rigidifolia も本種といくつかの類似点があるが、厚い葉とつるの着き方、そして上の袋が卵形であることが異なっている。

 本種は、スマトラ北部のいくつかの山の尾根の頂上や水苔に囲まれた鮮苔林の低い植生の場所、とりわけトバ湖周辺に豊富に産する。Pangulubao 山では通常地生しているが、Lubukraya 山では主に着生している。Simanukmanuk 山での自生も確認されている。茎は良く攀じ登り、着生しているものでも、宿主となる樹木の枝を攀じ登っていくが、N.veitchii とは異なる生育パターンを持ち、葉やつるが枝にきつく巻きつくことはない。

 Pangulubao 山では、本種は、N.mikeiN.spectabilisN.xiphioidesN.rhombicaulisN.tobaica と共生している。また、他の自生地では N.flava とも共生している。N.tobaica を除いて、本種とこれら全ての自然交配種と思われる植物が記録されている。
 

本種と、N. carunculataN. singalana との比較
  N. ovata N. carunculata N. singalana
ふたの頂点の突起   通常、ふたの頂点近くに不規則な腺突起  
ふたの基部の突起 腺、ふたの基部付近に鉤爪状の突起    
葉の頂点 漸尖形、頂点で急に狭くなり明瞭な三角形となる おう形 - 盾状、葉の先端は丸い 円形
ふたの腺 中肋付近に腺、鉤爪状の突起の上と周辺に腺が濃集 ふたの中肋付近に腺が濃集、付属物と周辺に明かに大きな腺 中肋付近に腺が乏しく、頂点には腺がない
袋の内側の消化腺帯 常に襟の直下で終っていて、小さな三角形の消化腺のない部分を残す 円筒形の消化腺のない部分が通常良く確立されている 円筒形の消化腺のない部分が常に良く確立されている
ふたの付着状態 襟は内側に曲がり、ふたは口の中央の上に付着している 襟は明瞭に曲がっておらず、ふたは口の上には付着していない 襟は明瞭に曲がっておらず、ふたは口の上には付着していない
襟の縁歯 口の内側の縁に明瞭に見られる 袋の内壁に向いているためにかろうじて視認できる 口の内側の縁に明瞭に見られる


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