Nepenthes pectinata  Danser



N.gymnumphora に似た希少種です

ネペンテス ペクチナタ  本種は、スマトラ中央部の、開発されていない深い森林、湿った鮮苔林の尾根の頂上などの、標高 950 - 2,750m の範囲に自生します。
 本種は、N.gymnamphora に良く似ていますが、いくつかの点で異なっています。本種では、上の袋が着くとは限りませんが、N.gymnamphora では必ず着きます。下の袋は明確なつぼ形で、口のところでわずかに細くなって、幅の広い襟には、長くてぺらぺらの縁歯が内側に向って着いています。上の袋では、この縁歯は 1cm を超える長さになります。

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N.gymnamphoraN.pectinata

 N.gymnamphoraN.pectinata という分類群の間に N.gymnamphora にかかわる分類学上の主たる問題点がある。Danser の研究の前は、N.gymnamphora は、スマトラ、ジャワの両方に、低山地帯の植物として広く分布すると考えられていた。ジャワの個体群の方がよく知られていたが、それは当時、ジャワ島の方が植物学的な探検がよく行われていたからである。それによって、多数のよい標本がもたらされた。後に Danser は、N.pectinata を記載したが、それは(後に分かったことであるが) N.gymnamphoraN.singalana の両方の断片からなる標本によってであった。それを踏まえた上で、全てのスマトラの個体群をジャワ島の個体群から区別するために、スマトラ産の方が N.pectinata とされた。その基礎となったのが、西スマトラのタラマウ山とパダン高原の標本である。N.gymnamphoraN.pectinata の違いは以下のとおりである。

 本種の葉は、基部で徐々に漸尖形になり、茎を沿下する。葉身の縁は通常、下に濃い軟毛が生えており、植物帯全体が軟毛で覆われている。上の袋はいつも形成される訳ではない(Malintang山)が、N.gymnamphora では規則的に形成される。下の袋は明瞭な壷形で、わずかに細くなった口は、幅の広い襟を持ち、内部に長くて紙質の縁歯がある。上の袋では、これらの縁歯は 1cm 以上にもなる。葉身のサイズの変異は、N.ampullaria で見られるものと同じで、同じ植物体から得た標本でも非常に異なる面を持つ。

 更に本種は、いくつかの特徴から、N.gymnamphora と区別できる。全般的な構造では、上の袋を滅多に作らないという点で異なる。上の葉は、基部に向かってもっと徐々に漸尖形になり、幅の広い翼のある認識しがたい葉柄を持ち、茎を沿下している。N.gymnamphora ではこれと異なって、基部は短く抱茎している。袋はもっと丸い壷形で、幅の狭い口を持ち、襟は長くなり首を作る。本種は通常、毛が密生していて、襟の内側の縁は長い縁歯を持つ。

 ジャワでは、N.gymnamphora は概して、低山地帯低部の茂みの下に自生している。それはしばしば、近くに水が流れている、常に湿った場所で生育している。茎はよくよじ登り、20m 以上の長さに達することも稀ではない。ひとつの植物体は通常、地下の根茎から、いくつかの茎を伸ばす。下の袋は、N.ampullaria のように、植物体の基部の短い葉柄に塊を作って着く。それらはしばしばロゼットの葉にも形成される。中間の袋は、長さ 0.5m を越えた茎のほとんどに形成される。上の袋はしばしば形成されるというが、ジャワの全ての自生地で見られるわけではない。

 N.gymnamphora の下の袋は、概して壷形だが、ヒップの上でやや長くなることもある。それらは通常淡緑色で、袋の中と外の表面にさまざまな量の赤斑がつく。ふたと襟は通常淡緑色である。襟の縁歯は独特で、長くて紙質で、基部できわめて広くなっており、先端に向かって先細となる。中間の袋は下の袋と同様であるが、全体的に細長いこと、ヒップの上の伸張の程度が大きいことが異なっている。上の袋は一番下の部分がトランペット形で、上部は幾分円筒形で、幅の狭い襟を持つ。

 スマトラの N.gymnamphora の個体群は、ジャワと同じような場所に自生していて、成長の様子も幾分似ている。中間あるいは上の袋をつける固体はわずかである。ひとつの例外は、Singgalang山の斜面に自生するものである。これらの植物の上の袋を観察した結果、全体的におおむね円筒形で、明瞭なヒップがあり、非常に長い紙質の縁歯を持つ。その 5年後、再び自生地を訪れたが、上の袋が最近作られたという証拠は得られなかった。Merapi山(と、Alhanpanjang から Sirukam への道路)付近の北向の斜面の個体群では、上の袋は作られていたが、明瞭な縁歯には欠けていた。

 西スマトラ産の N.gymnamphora は、ジャワ島のものよりも濃い毛が生えている傾向がある。しかし、ジャンビと南スマトラでは、毛の生える密度の変異が大きい。スマトラ産の植物は、葉の基部が茎に沿下する傾向があるが、ジャワでは一般的ではない。

 N.gymnamphora のスマトラでの典型的な自生地は、低山地帯下部の森林の日陰の地面の上で、通常稜線の上かすぐ下である。地滑りや火山活動の結果二次植生の場所の尾根にも普通に見られる。これらの自生地では、シダや竹などの低木の深い茂みを茎が攀じ登るが、5m 以上に達することは稀である。

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