Nepenthes rafflesiana  Jack



ふたを支える長い首を持つ大型種で、二型性が顕著です

ネペンテス ラフレシアナ  本種は、ボルネオ、スマトラ、マレー半島、シンガポールなど非常に広範囲に自生します。また、変異が非常に大きく(N.mirabilis に次いで 2番目)、無数のフォームと変種が記載されています。ボルネオだけでも、少なくとも 4つの変種が存在します。
 丈夫で栽培が容易です。下の袋上の袋共に美しいうえ、日向でも日陰でも良く袋をつけます。背は高くなりますが、大き目の室内温室なら何とかなります。というのは、剪定によく耐えるので、大きくなり過ぎたときは切り戻して、挿し木で新しく作り直せばよいのです。
 襟の後ろの部分が急に立ち上がって首のようになり、蓋を支えています。このことと、前に向いた2列の鋭い翼が、本種の主な特徴となっています。
 自生地では、Nepenthes の王と呼ばれる N.rajah と同じくらい大きな袋を付けるフォームもあります。
 典型的な袋は淡緑色で、深紅色の斑点が多くあります。他にも色の異なる素敵な変種がいくつかあります。
 var. nigropurpurea
特に濃い紫色をしており、緑色の斑点 (特に翼の部分) を持つこともあります。
 var. nivea
nigropurpurea とは正反対で、淡いクリーム色の袋です。
 var. nivea elongata
色は nivea と同じですが、袋の長さは2倍位になります。

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 本種は極端に変異が大きい。ボルネオには、全く異なる4つの変種があるが、そのうち2つは正式に記載されてはいない。
 まず、文献に取り上げられているものに着目すると、本種の変種としてあげられているものの多くは、色や毛の生え方の違いを根拠にしたもので、あまり重要ではない。
 最近、alata という変種が記載された。それは つる に明瞭な翼が見られるという点で、タイプとは異なる。これはそれほど変わった特性ではないが、常にこの特徴を表わしているものは多くない。
 本種の典型的な個体でも、ロセットを形成しているようなごく若い段階では、つる に翼が着くことが少なくないので、var. alata と間違えやすい。そのため、成熟した個体でもこの特性が安定して表れているかを観察することが重要である。

 本種には、色によってたくさんの変種がある。典型的なフォームは全体が淡緑色である。下の袋は緑色またはクリーム色で、赤色または紫色の斑点が沢山着いている。上の袋はクリーム色で、下の袋ほど斑点は多くない。
 下の袋全体が濃紫色のフォームもあり、nigropurpurea という変種名が付けられている。一方、襟の縁歯の上に淡赤色のストライプが入っているだけで、他は真っ白という変種もあり、nivea という変種名で呼ばれている。
 こういった変種は、園芸的には意味のあるものであろう。

 ボルネオで最も普通に見られるのは、典型的なフォームで、スマトラやマレーシアのマレー半島部でも同じである。
 しかし、あらゆる点において背が高くて、もっとほっそりとした変種がある。それは、ボルネオ西部のツツジ科の低木林やピート湿地林のあちこちに稀に分布しているもので、これらの林の周辺部に立っていることもある。
 この変種は、通常典型的なフォームよりも濃い緑色をしている。下の袋は、純緑色または白色から斑点の付いたものまであり、他の変種と違って、腰がある。上の袋は、純緑色または白色、あるいはわずかに紫色の斑点があるかのどちらかである。袋は典型的なフォームのものより幅広にはならないが、長さは最大4倍にまでなる。
 組織は非常に柔らかで、きゃしゃなものである。茎と葉は、幅は典型的なフォームのものと変わらないが、長さは非常に長い。
 この変種のさく果は、成熟すると明るいオレンジ色になり、バナナの房のミニチュアのようである。花茎は、花の数が少ない他は、典型的なフォームのものと同じである。
 栽培下においても、これらの特徴は全て見られる。栽培家の間では、この変種は N.rafflesiana "var. elongata" の名前で知られている。また、N. sp."elegance" という名前で流通していることもある。

 記載はされていないが、タイプと比べて巨大な大きさになるフォームがある。葉の長さは通常、典型的なフォームの 2.5倍にもなり、下の袋は、長さ 35cm、幅 15cm にもなる。色は、赤い斑点を持つ白色から、濃紫色のものまであり、袋の容積は 1リットル を越えるほどである。
 上の袋は、トランペット型で、緑色または斑点があり、上の部分がピンク色に染まっていることがある。植物体は非常に たけ が長く、時には 15m までよじ登ることもある。
 花茎の長さは 1m 以上で、多くの濃赤色の花を付ける。それぞれの花は、直径 1.5cm にまでなる。この変種がもっとも人目をひきつける Nepenthes のひとつであることは、疑いようもない。このような大きな袋を付ける種は、他にはわずかしかない。

 ジャイアントフォームを見分ける上での手がかりとなるのは、ごく幼い段階にある時の葉の色である。展開前のジャイアントフォームの葉の色は、赤褐色をしている。しかし、他の変種では、ほとんどの場合白色である。
 この特徴は、栽培下においても変わらず (他の変種でも同様)、単に周辺の環境が異常であるために、植物が巨大化するわけではない。それは、ツツジ科の低木林の濃い茂みの中、とりわけ境界付近で見付かっている。
 このフォームは、ボルネオの北西海岸に一握りほどがまばらに生えているのが知られているだけだが、クチン西方の Sematan でも発見されたようである
 これらの地域のいくつかは、開発の脅威にさらされており、この変種にも絶滅の危機が忍び寄っている。

 本種の典型的なフォームは、人間によって切り開かれた場所ではごく普通に見られる。生育場所の土壌は、砂質またはピート質であることが多い。しかし、二次的な植生の濃いところで厚い腐食層を伴う粘土質土壌に見られることもある。
 N.gracilis 同様、ボルネオ西部ならほとんどどこでも見ることが出来る。しかし、変わった変種となると、見られるのは稀である。
 N.ampullaria との自然交配種 ( N.hookeriana ) は、場所によっては普通に見られるところもあるが、N.gracilis との交配種はそれよりも稀である。

 本種は熱帯の低地に産する。2つの異なった袋を着け、獲物を捕らえて殺し、栄養分としている。下の袋は概して丸く、ずんぐりしていて翼がある。一方、上の袋はもっと基部が細くなっている。本種は変異が大きく、形や色彩の違いから、多くの変種が存在する。多くは、緑色、白色、栗色の模様がある。全ての Nepenthes には、遠い親戚である ハエトリグサ と違って、動く部分はない。本種は獲物を待ち伏せして袋の中に入れるが、その襟からは甘い蜜が出ている。一度獲物が中に入ると、袋の壁を見つけるが、這いあがろうとしても滑ってしまい、消化液におぼれてしまう。消化酵素が分泌され、消化液は獲物を分解し、栄養分として溶解し、袋の内壁から植物に吸収される。Nepenthes が食虫習性を持っているのは、養分に乏しい土壌に生えているからである。通常の植物が栄養分を吸収する主たる方法(根)では、こういった土壌から養分を吸収するだけでは不充分で、植物が進化して、養分を吸収する他の方法を取得したのである。結果として、Nepenthes や他の多くの食虫植物の根は、わずかでもろいのである。そのため、植え替えの際には注意が必要である。全ての Nepenthes は雌雄異株で、それぞれの個体は、雌または雄のみの特徴を持つ。

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