Nepenthes spathulata  Danser



スマトラ南部産の高地性種です

ネペンテス スパスラタ  本種は、スマトラ南部の標高 1,500 - 2,100m の森林から山頂にかけて自生します。
 本種は、N.singalana と非常に近縁ですが、以下の点から区別できます。本種のほうが、茎がもっと角張っていること、襟がずっと幅広で、肋が低く紙質ではないこと、ふたが卵形であること、ふたの腺が少なく N.gymnamphoraN.pectinata と同様に分布すること、です。この最後に挙げた 2種は、本種と同系であるとされています。
 本種の種小名は、葉身がへら(spatula)形であることに由来します。

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 本種は、Danser が 1928 年にモノグラフを出版した後に記載された 2種のうちの 1種である。もう一方は N.densiflora で、彼は本種に非常に近縁であると考えている。本種の分布範囲は広く、タイプ標本の産地である Tanggamus 山(スマトラの南端)からはるか北のジャンビのケリンチ湖まで分布し、そこでは N.singalana の分布範囲とオーバーラップしている。本種と N.singalana の典型的なフォームは比較的簡単に区別できる。本種の下の袋の襟はユニークで、口の前部では幅が狭いが、後ろに向けて極めて幅が広くなっている。リブは盛り上がるが、N.singalana ほど大きくなく、縁歯もより短い。本種のふたは卵形で(対して N.singalana では円形)、ふたの下面の腺の数は少なく、中央部に集中している。本種と N.singalana の空中の袋は、下の部分が卵形で、上部が円筒形であり、他の近縁の種である N.bongsoN.ovataN.densiflora と容易に区別できる。

 本種は魅力的な種である。下の袋はとりわけ非常に印象的である。色彩的な変異は、暗紫色の襟を持った緑色から、明るい赤色の襟を持った黄色からブロンズ色のものまである。上の袋はあまり形成されず、目にもつきにくい。それらは概して、全体に黄緑色で、襟に赤い色彩を持つ。本種と N.singalana のタイプ標本の相違点は、かなり明白である。

 本種は、インドネシア領のジャンビ、南スマトラ、ベンクール、ランプンで自生しているのが記録されている。垂直分布も広く、海抜 1,100 - 2,900m までに及んでいる。

 鮮苔林と、下部低山地帯に通常は着生しているが、尾根の頂上の背の低い上部低山地帯に自生しているものは概して地生している。本種はまた、海抜 1,100m のケリンチ湖の高高度のピートの湿地の森林に地生しているのも知られている。その自生地では、本種は、N.ampullariaN.gracilisN.mirabilisN.reinwardtianaN.tobaica と共生している。そこでは 3つの自然交配種が記録されている。その自生地の Nepenthes の原種と交配種では高いレベルの移入交雑が見られる。本種のその他の交配種は比較的稀で、それは共生する Nepenthes が少ないからである。その植生は、ランやシダ同様、シャクナゲ属と Melastoma が優勢である。そこは非常に背の低い密林で、木の高さが 3m を越えることは滅多にない。ボルネオのサラワク周辺の高地性の低木林を思わせる場所である。
 ジャンビでは、両種の分布範囲が重なっていて、N.singalana の南限の個体群と、本種の北限の個体群が共生している。とりわけ、Masurai 山に産する個体は、両種の中間の性質を有しており、どちらとも決めがたい。これらの植物は、顕著な形態学的変異が見られ、他の N.singalana や本種に似て、特に襟の発達に関して変異が大きい。この地域では、ある種が他の種とブレンドする可能性があると言われている。

 本種と類縁関係にあるものには、N.densiflora もあり、Danser の後者の記載で述べられている。しかしながら、本種が、N.densiflora よりも N.bongso に似ていると考える学者もいる。N.densiflora は本種とは、上の袋の基部が異なり、それは円筒形というより、典型的なトランペット形である。しかし、ケミリ山の N.densiflora の多くが、普通とは違った、円筒形の空中の袋を着ける。それでもやはり、これらの種は、トランペット形の下の袋をつける点で本種と異なっている。

 N.junghuhnii というラベルが付けられている植物標本館の標本を見ると、本種(N.bongsoN.singalana とも)と良く似た袋を持っている。しかし、N.junghuhnii はあまりよく知られていないが、これらの種とは葉の茎にはっきりとした葉柄があることで区別できる。
 本種の上の袋は、下の部分が卵形で、上部が円筒形であり、他の類縁の種である N.bongsoN.carunculataN.ovata と区別できる。
 2004年に発見され、ジャワ島の固有種である N.adrianii は、非常に本種に似ているが、両者が同種であると考える学者もいる。

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