Nepenthes stenophylla  Mast.



上の袋も美しい高山種

ネペンテス ステノフィラ  小型でほっそりした下の袋もいいですが、角のような形をした上の袋はなかなかのものです。色もきれいだし、かなり大きくなります( 28cm にも達する事があるそうです)。
 色はとても薄い黄緑色で、紫色の斑点や縦方向の縞模様があります。
 ヨーロッパ方面では、低地性 Nepenthes 用の温室で栽培しても、高山性の条件で栽培しても、生育はあまり変わらないようです。冬季の最低温度は 13℃以下にならないようにしたほうがよいでしょう。

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 本種は、記載されて以来、種としての地位に関しての混乱が続いている。その一因として、本種のタイプ標本が、自生地で採集されたものではなく、英国の温室で種子から育てられたものだということがある。この種子は、Curtis によってボルネオで採集されたのだが、具体的な採集場所は不明である。
 また、タイプ標本には花茎がないため、他の Nepenthes との比較が困難である。
 Beck が記載した N.fallax が本種のシノニムであるとする説がある (それとは違って、N.fallaxN.maxima のシノニムとする説もある) が、この説は植物学者の間で広く受け入れられている。
 しかし、最近になって、本種と N.fallax の地位に関する議論が再燃している。

 ひとつの説として、次のようなものがある。
 本種のタイプと N.fallax のタイプには、重大な相違点があるので、後者は独立した種に戻されるべきである。
 この議論の根拠になっているのは、袋のふたの構造である。本種のタイプのふたが細いのに対して、N.fallax のふたは円形である事が観察されている。
 また、本種のタイプを実際に見たことのない人が、N.fallax のタイプ標本を基に、本種の説明をした文献もあるそうである。

 また、上記とは対照的な説として、下記のようなものもある。
 これらの種には相違点はなく、N.fallax は本種のシノニムとしておいて良い。
 これら2つの議論は、フィールドでの観察に基づくものではなく、タイプ標本の解釈に関するものであることは明らかである。
 しかし、最近、この問題は徹底的に見直された。その結果、以下のような解釈がなされている。

 本種と N.fallax のタイプの間の相違点を議論する際には、前者のタイプの本質を考慮する必要がある。それは、未成熟で、人工的に栽培されたものであり、出所も明らかではないのである。
 生育条件が理想的なものでない場合、Nepenthes は栽培下においては、自生地で見られるものとはまるで違う袋をつけることもある。
 この事が必ずしも本種のタイプに当てはまるわけではない。しかし、このように答えが見付からないということから、フィールドでの正しい採集と、詳細な地理的、生態学的な情報を集めることがいかに重要であるかを思い知らされる。

 本種は独特な種ではあるが、多少の変異はあるので、N.pilosa と間違えてしまう可能性もある。両種を区別する方法として、袋のふたの下側にある蜜腺の構造を観察することが挙げられる。
 本種においては、蜜腺の形は、平らか、わずかに丸くなっているか、真ん中が窪んでいるかのどれかである。一方、N.pilosa の場合は、フックのような形である。
 その他の相違点としては、襟の構造、袋の形、表面の毛の生え方、花茎、それに生態環境の違いが挙げられる。
 本種は、ボルネオ北西部の高地に広く分布している。山の尾根や山頂 (蘚苔林が多い) で、地生しているものや、着生しているものが記録されている。高地のツツジ科の低木林の中で地生するものも見付かっている。
 ツツジ科の低木林においては、しばしば N.veitchii と共生するのが見られ、両種の交配種も比較的普通に見られる。

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