Nepenthes tenuis  Nerz & Wistuba



スマトラ原産の希少種です

ネペンテス テニュイス  本種はスマトラ原産で、1957年に西スマトラの Taram 付近の Tjampo 川の辺鄙な砂岩地帯で発見されました。それから、1994年まで記載されず、2004年になってやっと自生地で再発見されました。それまでは、1枚の写真と乾燥した植物標本でしか知られていませんでした。標高 1,000m の尾根に自生し、低地性種と高地性種の中間的な種と言えるでしょう。
 本種は、N.jacquelineaeN.talangensis に非常に近縁で、N.dubia のシノニムとされたこともありました。

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 本種のタイプ標本の産地は、西スマトラの Sungai Tjampo 付近で、唯一知られている個体群は、標高約 1,000m の砂岩の尾根に産し、鮮苔林や明るい亜低山地帯の森林と言われている。この地域の多くの尾根の標高は 1,000m 以下であるが、ほんの少しの尾根だけがわずかにそれを超える。Tjampo 山地の急な尾根や谷を超えるのは困難で、この地域は辺鄙な場所である。

 本種は地生種で、一部分がコケに埋もれて育つ。茎の下の部分もコケの層の下に覆われているため、自生地で本種を見つけるのは困難である。
 自生地では、本種は N.adnata と共生し、N.albomarginataN.ampullariaN.eustachyaN.gracilisN.longifoliaN.reinwardtiana も近くに自生している。それにもかかわらず、本種の自然交配種の記録はない。

 最近になって、近縁種である(そして構造的にも全く同じな) N.jacquelineae が、Tjampo 地域の北部で発見され、本種や他の近縁な分類群がこの地域の山々により広く分布している可能性が出てきた。本種の近縁と推定される種は全て、低山地帯上部に産し、本種のタイプ標本の産地の植生も、低山地帯上部の森林の特徴の多くを持っているが、尋常ではない低い高度に産している。それゆえに、本種の自生地が、Tjampo 山地の砂岩地帯のみではないという可能性がある。

 Sungai Tjampo 周辺の多くの山々がまだ全く探検されておらず、Nepenthes が放置されている。これは不運なことで、N.jacquelineae の発見が、このグループの種が、以前考えられていたよりも、より異なるもっと広範囲に分布している可能性が示された。本種と N.talangensisN.jacquelineae の明白な類似が、最近の放射線の適用で示唆され、将来の議論の重点に、Barisan 丘陵の火山でない山々が、スマトラの Nepenthes の形態的な多様性の主たる源であることが加えられよう。

 本種が、若干の躊躇を持って、N.dubia のシノニムとされたこともある。この解釈は、袋の形態と植物体の大きさを基にしたもので、両分類群はよく似ている。しかしながら、本種の袋は、より短い、幅の広いふたを持ち(それは 180°以上反り返らない)、襟はそれほどしっかりとした円筒形ではない。本種の種内でのバリエーションがどの程度あるのかは知られてはいないが、Talamau 山に固有の N.dubia は、非常に均質な種と言える。それゆえ、ここでは本種を独立した種として扱う。

 本種は最も小さな Nepenthes の一つで、N.argentii に次ぐものだと考えられる。また、良く攀じ登る。茎と葉の構造から、本種は、垂れ下がる(崖に生えている種に期待される)よりも攀じ登る(あまり急でない斜面に生育している種に期待される)性質があると考えられる。

 本種は、N.jacquelineae と間違えられるリスクが若干あると言える。しかし、現在の知識に基づけば、これらの主はそれほど困難なく区別できる。N.jacquelineae は、本種と比べると巨大で、より幅の広い平らな襟を持つ。N.jacquelineae はまた、袋のふたが、基部で顕著に狭まっており、ふたの下面にある腺が非常に大きい。本種にはこのような性質はない。最後に、N.jacquelineae の葉身の形は、卵形に近いへら形であるが、本種では線形に近い披針形である。

本種と、N.talangensisN.bongsoN.dubia との比較
  N. talangensis N. tenuis N. bongso N. dubia
上の袋の形 下半分は管状から細長いトランペット形、上半分は卵形 幅の広いトランペット形、口の下でくびれる 管状 - トランペット形 下の部分は管状、中央から上はトランペット形
ふた 幅の広い卵形 非常に細長い楕円形 円形 細長い楔形
上の袋の 長さ/幅 の比率 2.3 1.75 3.3 1.9


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