Nepenthes tobaica  Danser



色の美しい小型の高山種

ネペンテス トバイカ  スマトラのトバ湖周辺に自生している事から、この名前が付けられました。
 袋は一般的には黄色っぽい緑色で、赤い斑点があり、襟は赤みがかっています。しかし色の変異は大きく、赤い斑点が非常に多いものや、ほとんど真赤なものもあります。
 N.gracilis のようにほっそりとした小型種です。
 N.angasanensisN.mikei と非常に近縁です。

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 本種はおそらく、北スマトラで最も普通に見られる Nepenthes である。最近まで、その分布範囲は、南は Tarutung から、北はアチェの Gayo Lands までと思われていた。しかし、Tarutung の南東 150km の Sorik Merapi 山でも発見され、更に、Sorik Merapi 山から350km 南東の ジャンビのDanau Kerinci の高高度のピート湿地でも発見された。本種を代表する植物は、Bukittinggi と Danau Maninjau の間にある Singgalang 山の下部の斜面でも観察されている。

 本種は通常、急斜面の開けた場所に自生している。トバ湖周辺に無数の道路が建設されたために、コロニーを作る場所が多数できた。実に、本種はトバ湖周辺で非常にありふれていて、目に入らないようにすることが困難なほどである。主に道端に生えているが、どぶや切り通しの斜面にも生え、そこではしばしば多数の茎を持つ巨大な植物に発達している。また、地滑り地や湖の周辺の山の斜面の崖にも見られ、そこが本種のオリジナルの自生地と思われる。Sibolga 付近では、海抜 380m の低地にも自生するが、高い方の自生地の限界は、Pangulubao 山の標高 1,800m 付近である。ジャンビでは、ピート湿地の平らな地面に自生しているが、そこは年中湿っているところである。日陰の場所では非常に稀である。

 本種は、N.reinwardtiana と非常に近縁で、がっしりとしたフォームのものはそれと混同されることがある。本種は葉腋に白い毛を叢生し、葉の基部は沿下しない。これは、N.reinwardtiana では、ないことである。N.reinwardtiana の葉の基部は、茎に沿って沿下するが、本種ではそれはない。これらの種を区別するのに一般的に使われるもう1つの性質は、茎の形で、本種では断面が丸いが、N.reinwardtiana では角張っていると言われる。しかしながら、これは常に信頼できるわけではない。なぜなら、本種の成熟した個体は、しばしば角張った茎を持つが、それは、節間に沿って明瞭な溝があるからである。ある個体群、とりわけ Sorik Merapi 山のものは、つるの付着点が頂点からわずかにずれており、葉身には明瞭な縦方向の溝があるが、これは N.mirabilisN.eustachya と同様である。N.reinwardtiana と本種の花序の構造は、非常に類似していて、両方とも、全体的に 2つの花を着ける花柄を持つ。

 N.reinwardtiana は、本種とは、袋の内表面の後側にある、2つの明瞭な目玉模様によって、区別されてきた。しかし、Sorik Merapi 山と、Sibolga から Tarutung に至る道路沿いの植物は、これらの目玉模様を持つため、この性質はこれら 2種を区別するには適当ではない。

 本種は、N.mikei とも非常に近縁であるとされたが、N.mikei の叢生の距と短い花序(2つの花を持つ花柄ではなく、小花柄を生じる)は、それらを区別するのに役立つ。最近記載された、Pucuk Angasan 産の植物である N.angasanensis は、本種とも N.mikei とも類似している。N.angasanensis の袋は、本種のものに非常によく似ているが、花序はより短く小花柄を生じる。N.angasanensis の中にも、本種や N.reinwardtiana のような目玉模様を持つものがあり、N.angasanensis がこれらの種と非常に近縁であることの更なる証拠となっている。他のいくつかのスマトラ産の Nepenthes 同様、N.angasanensisN.mikeiN.reinwardtiana、そして本種の関係は非常に複雑で、現時点で解釈するのはいくぶん困難である。

 本種は、N.gracilis とも混同される恐れがある。とりわけ Tarutung または Danau Kerinci (両種が共生する)で懸念されるが、後者は葉の基部が沿下し、常に袋の目玉模様がなく、より狭い襟を持ち、花序には小花柄を生じることから区別できる。

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