山の道具箱



上高地小梨平キャンプ場の夜明け
テント
IBSウルトラライトU2〜3人用
IBSウルトラライトTゴア1〜2人用
僕が山に登る最大の目的はテッペンに立つことではなく、緩やかな風の流れる自然の懐でくつろぐ事。だから普段の山行の時は他の単独行の人よりも一回り大きく2〜3人用を使用している。そのために荷物が重くなり、テッペンに立てないならばそれもまたよし。山麓のキャンプ場に幕営してのんびり散歩するのも楽しいものである。ゴアの1〜2人用は、基本的に荷物を軽くしたい時の長期縦走用だ。
【選び方】基本的には実際の人数よりもひとり分大きいテントを選ぶ。カタログに表示された人数には荷物の容量が含まれていないからだ。また前室の有無も選択の条件のひとつになる



ザック(縦走用)
左:Lowe alpine ConfourV85L
右:TATONKAアクシス60L

ザック(日帰り)
左:Mountain dax Cassis30L
右:Karrimor ridge20L
ザック(アタック)
左:LowAlpine Contour Runner 30L
右:JackWolfskin Fusion 28L
力の無い僕は、出来るだけ山には必要最低限の物しか持っていかないようにしている。そのため使用しているザックの容量は普通の人が使用しているものに比べて意図的に一回り小さくしている。こうしておけば余計なものを持って行こうとしてもザックに入らないからだ。Lowe alpineは同じサイズでも実際には他のメーカーに比べて一回り大きめ。TATONKAは登山具メーカーの中では一流のイメージがないかも知れないが、リーズナブルな上に背負ってみるとフィット感が良く、機能的にも充分で気にいっているザックのひとつだ。
【選び方】山の店でザックを膨らませた状態で実際に背負ってみる事。身体にフィットしないザックを背負うと山行での疲労度は倍増する。肩、背中、腰に重みが分散されるかを見極めるのがポイント。
日帰り山行用には、背負いやすさとパッキングのしやすさを考えて、縦型のザックを使用している。Mountain daxは日本を代表するメーカー。シンプルな作りだが機能的で背負いやすい。Cassisは内部を2気室に分ける事が出来、パッキングもぐんと楽になる。宿泊まりならば1泊2日でも使える。右のカリマーはイギリスが誇る老舗メーカー。質実剛健というイメージのシンプルなザックだが、さすがに背負いやすく機能も充分だ。使いこなすほどにザックに味が出て、自分の山の歴史がザックに刻み込まれるような錯覚を覚えて、一生手放す気にならないであろうザックのひとつである。
【選び方】手軽に、且つ長く使うのものだから、背負いやすさと共に、デザインも選択する際のポイントのひとつとなる。背負って楽しいザックを選ぼう。
僕はザックが好きである。山のバーゲン、ふらりと寄った山の店・・・目に付くとすぐに欲しくなってしまう。そんな訳で小型ザックにはずいぶん無駄遣いをしてしまったが、このふたつはその中でもお気に入りの一品である。LowAlpineの大型ザックは、日本人の背中にはいまいちフィットし辛いと感じるのが僕の正直な感想だが、小型ザックは使いやすい。背面部の曲線が程よく背中にフィットして、ハイキング時に疲れを感じづらいのはさすがだ。ジャックウルフスキンは可もなし不可もなしというところだが、とにかくこのメーカーは狼の足跡のデザインが可愛く、店で目にするとついつい手に取ってしまう。
【選び方】軽さ、背負い易さ、機能と共に、大型ザックへの収納のしやすさも考慮にいれて選びたい。



   
登山靴(軽・重)
左からザンバラン・ヌーボフジヤマ
TARAS BOULBA/ゴア ARMONDグリグナ
アプロージ・シューズ
TIMBERLAND SLATE Low
Caravan FUGIKURA

アイゼン
EX'PERT SCM卍−8P

窮屈なのが嫌いな僕はキッチリした靴も苦手。さすがにアルプスのテッペンまでテントを背負い上げるときは皮製登山靴を履くが、それ以外はほとんど布製の軽登山靴で歩き回っている。そんなわけでザンバランの皮製軽登山靴は夏山用テント山行時に使うくらい。一番履いているのはタラスブルバの布製軽登山靴である。一番右はイタリアの登山メーカーアルモンドのネパールレザー製重登山靴。ワンタッチアイゼン装着可能の冬山用だが、本格的な冬山はやらないのでほとんど出番がない。
【選び方】山靴を購入する場合は実際に山で履く靴下を履いて店に行き、遠慮せずに試し履きして店の中を歩いてみる。街で履く物よりワンサイズ大き目の靴を選ぶのがポイント。下山時につま先を傷めないためだ。
僕は何かに身を縛られるのが大の苦手。実を言えば足首を保護するハイカットの登山靴も好きではない。従って里山などのハイキングの時は、どうしてもローカットの靴に足を通してしまう。鮮やかな赤のハイキングシューズはカモシカスポーツのバーゲンで手に入れたもの。派手な色だが、恥ずかしげもなくけっこう気に入っていて、MTBのペダルを踏む時も使っている。ティンバーランドは塩尻の店で手に入れたが、実は一度履いただけでソールが剥がれてしまった不良品。自分で道具を買って貼り直した。いい加減である。
【選び方】ハイキングとは言えソール(靴底)のしっかりした物を吟味して選びたい。実際に歩いた時の疲労度が違ってくる。
以前はシャルレの10本爪を使っていたのだが、歩き方の下手な僕は、年中スパッツを傷つけたり躓いてしてかえって危なっかしいので買い換えた。本格的な冬山はやるつもりはないし、歩くとしてもせいぜい残雪期程度なので、出歯(前に突き出した歯)も省略した。「いざという時のためには出歯付き10本以上の爪の方が良い」と言う山の店のアドバイスに対して「この道具で登れなければ引き返しますから」と僕が答えると「なるほど。アイゼンで自分に足かせをかけるわけですね」と店員さん。なるほど上手い事を言う。
【選び方】自分がどういう条件の山で使うかをよく考えて選ぶ。大は小を兼ねないし、小は大を兼ねないのがアイゼンである。アンチスノープレートも同時に購入しよう。



オーバージャケット
THE NORTH FACEゴア(グリーン)
marmot サーモス(ブルー)
レインウェア
ヘリテイジ・ゴアテックス上下
フリースジャケット
mont-bell(モスグリーン)
トラッド(ブラック)

本格的な雪山はやらない僕だが、冬の低山や早春の上高地を歩く時などとても重宝している。モーマットの裏起毛ジャケットはメーカーのサンプル品。定価40000円の物をバーゲンで5800円で買った。縫い目の粗さなど欠点もあるが、保温力は抜群である。春まだ早い奥上高地横尾の冬道でスリップし、梓川まで転げ落ちた時に作ったカギ裂きの跡が懐かしい。ザ・ノースフェイスのゴア・ジャケットは「コンバット」のサンダース軍曹をイメージして購入したが、僕が着ると唯のだらしないオッサンである。
【選び方】冬の山に登るのならオーバージャケットは必需品のひとつになる。防寒防風対策は万全にしたい。個人的には、ヤッケのように被るタイプより、前ボタンのシャツタイプの方が着脱が楽なのでお勧めだ。山を登っていると天候や体温による衣服の着脱は思いの他多いのである。高価なのでバーゲン等でオーバーパンツといっしょに購入するのも手である。
レインウェアが最も活躍したのは数年前の夏の立山。珍しく山小屋の個室を予約した僕はキャンセルするのが心苦しくて台風直撃の中、室堂から雷鳥平を目指した。視界1メートルもなく雨は突風と共に下から石つぶてのように飛んでくる。みくりが池の辺りを過ぎた頃にはまともに立っていられない程の暴風雨になり、あやうく室堂の遊歩道で遭難などという情けない事になるところだった。這うようにして辿り着いた立山連峰ロッジで飲んだビールの味は今でも忘れない。
【選び方】雨の多い日本の山において必需品である。時には生死に関わるので、良い素材の物を選びたい素材は色々あるが、やはりゴアテックスが一番良い。人間の出す蒸気を外に発散しつつ外からの雨水はシャットアウトするという防水透湿素材は、山登りに打ってつけで、高価だがぜひ手に入れたい。雨具はたとえ晴天の山でも、必ずザックに入れて出発する習慣をつけること。
これもバーゲン品。基本的に僕の持っているフリースジャケットは全てカモシカスポーツの我楽多市で手に入れたものだ。フリーマーケットが開けるほどフリースの数は増えてしまったが、それでもバーゲンに行くとついついまた買ってしまう。最近はペットボトルのリサイクルなども進んできてフリースもずいぶん安価になってきた。モンベルのジャケットには裏地がついていてフリースの唯一の弱点である風に対する対策もきっちり取られており、お気に入りの一着になっている。
【選び方】「ちょっと寒いな」と思ったときに、サッと羽織れるフリースジャケットは、秋から春にかけての山歩きに都合が良い。ただし、材質的に風を通してしまうので、他の上着との併用になる。フリース素材は「ポ-ラテックス」が世界的に有名。ロゴの後ろに付く100、200、300といった数字は素材の厚さを示している。使う季節を考えて選択しよう。



速乾性素材Tシャツ
NORTH FACE&HARD WEAR他

山シャツ
上:ムッシュ・クイックロンシャツ
下:ムッシュ・ウールシャツ
山パンツ
EDIR・ダクロンストレッチパンツ

オーロン、ダクロン、クィックロンといった速乾性素材のTシャツが普及して、山歩きは飛躍的に快適になった。何しろ血圧のせいもあり、僕は大変な汗かき。普通のTシャツでは、あっという間にビショ濡れになり、一息ついているうちに今度は冷えて風邪を引く。それでなくてもザックを背負った背中の不快感は相当なものだ。僕は日帰りの山行でも予備も含めて最低2枚はザックに放り込んでいる。
【選び方】山においては綿のシャツは、山小屋やテント内で寛ぐ時の着替え用に限定するべきである。綿シャツは着心地は良いが、一度濡れると乾き難くい。また、綿が吸った汗が風に当たって気化する際、体温を奪い、たとえ夏山でも悪天時には致命傷になりかねない。速乾性の素材にはいろいろあるが、どれも性能に大差はないので、気に入ったデザインの物を選ぼう。
山シャツって何で何時まで経ってもチェック柄ばかりなのだろう。定番というよりこれはもう制服のようだ。これだけ山用具の機能が充実したのだからデザインにも進歩があっても良いと思うのだが。それにしても最近は速乾性の素材のものがすっかり一般的になって、山歩きも格段に快適になった。夏山に登る時は速乾性のシャツが圧倒的に快適である。ただし秋から春に掛けては気温が下がるので、ウール地の物を使用している。
【選び方】僕はかぶり物のシャツが苦手なので前開きの山シャツを多様しているが、機能的にも充実した昨今、上着は何も山シャツにこだわる必要はないと思う。ラガーシャツ、ポロシャツ等、色々な形態の山用上着が店に並んでいるから、自分のスタイルにあったものを選べば良いと思う。但し、夏山でも長袖を選ぶ事。虫除け、怪我避け、日焼け避け等、半袖では対応が不充分になるからだ。
山用ストレッチパンツ。素材は速乾性ダクロン。だいたいこのパンツに夏は薄手の速乾性ソックスを履いて山をうろついている。汗をかいてもすぐにサラリと乾いて快適だ。以前は秋から早春にかけてウールのニッカを履いていたが、足の短い僕には見事なまでにニッカが似合わない。何度か履くうちに、やはりニッカはスマートで足が長くお尻がキュッとしまったヨーロッパのアルピニストが一番似合う履物だなと実感した次第である。今はその時期、インナータイツに厚手のウールソックスを履き、その上にストレッチパンツといういでたちが多い。厳冬の場合、さらにオーバーパンツが必要になる。
【選び方】シャツと同じ理由で山を登るならばジーパンなどの綿製品は避けるべきである。雨に濡れるとジーパンは極端に重くなりそして乾かない。山の店に行ったら、パンツの裾を持って軽く引っ張ってストレッチを実感してみよう。山パンツの場合、ウエストサイズは通常の街着のパンツよりもワンサイズ大き目を選ぶ。



   
ヘッドライト
中:パナソニックリチウムHEADランプ
右:PETZLジプカ
テントライト(ランタン)
ナシュナルミニランタン(BF-125B)

グローブ
JackWolfskinフリースグローブ
marmotハードグローブ他
左側が1989年に買ったナショナルの山岳用ヘッドライト。単三乾電池4本で連続投光時間2時間。中央は1988年頃に買ったパナソニックのリチウムヘッドランプで、連続投光時間は8時間。そして一番右が2002年に購入した、単4電池3本を使用するペツルの高輝度LED(発光ダイオード)ヘッドランプ。1.5mの照射範囲ならば連続投光時間はなんと150時間である。こうやって並べてみると大きさ、機能共に格段の差があるのがよくわかる。テント山行において、ヘッドランプは必需品であるが、一般の山行でたとえ日帰りでも、ヘッドランプは必ず携帯する。1000m以下の低山においても山でのアクシデントは常に頭に入れておくべきである。
【選び方】バッテリーは何を使うか、投光時間はどのくらいかを確認して購入する。乾電池、ボタン電池、リチウム電池などバッテリーにも数種類ある。山の店の多くはサンプル品を置いているので、実際に頭に装着してフィット感を実感してみよう。
テント内の照明用に、僕は電池式の小型ランタンを使っている。ランタンといえば、カートリッジ式のガスランタンが一般的だが、僕のようにだらしがない人間が、テント内でガスランタンを使うのは実に危険である。最近のテントは高性能で気密性が高く、うっかりベンチレーターを開けずにガスランタンを点けたまま寝入ってしまったら、簡単に一酸化炭素中毒を起してしまう。実際、それが原因の死亡事故もテント場で何件か起きている。電池式はガス式より重いが、命には代えられない。テント泊を始めた当初はガスランタンも使っていたが、今はオートキャンプ時の虫除けに点灯しているのが実態だ。
【選び方】最近は荷物を軽くするためにテントライトを持たず、ヘッドライトを兼用でテントに吊るすことの方が多い。そのため、ヘッドライトのバッテリーは予備を持っていく。ガスランタンを使いたいなら換気、火災に充分注意する事。
装飾品に限らず、物を身に付けるのが嫌いな僕は、普段の生活でも手袋は滅多にしない。大体、手袋を一度もすることなくひと冬過ごしてしまう。そんな訳で、ザックには季節に応じた手袋が入っているのだが、身につける癖がついていないので、ついついそのまま過ごしてしまう。これではいけないと思うのだが・・・。サングラスも同じだ。20代の後半に立山の雪の斜面でサングラスなしで1日過ごし、雪目になるという酷い目にあった経験があるにもかかわらず、ザックから出すのをついつい億劫がってしまう。普段、まったくと言って良いほどサングラスを使わないからだろう。皆さんは真似しないように。(^^)
【選び方】ひと口に手袋と言っても、山の場合、用途が数種類に分かれるので購入時は注意する。普通に使うのならばハイキンググローブだ。手首の裾が長いのは冬用のオーバーグローブ。インナーグローブの上に重ねて装着するものだ。



ストック
LEKI コンパクト MAKALU
LEKI MAKAKU SUPER SHORT他
ピッケル&ピッケルバンド
SIMOND CAMARO(64cm)
ピッケルバンド GRIVELショルダータイプ
スパッツ&簡易アイゼン
スパッツ/IBS・オリジナルゴア
簡易アイゼン/モチズキミニ5
以前は使っていなかったが、病気から復帰してからは積極的に使用している。と言うより今は使わないと登れない。特に膝痛持ちの僕は、下山時での膝への負担が軽減されてとても楽チンである。一応、使う時は自然に配慮して石突き(ストックの先端)には保管用のゴムをつけてガムテープで止めてある。ただし、岩稜帯や鎖場ではしばしば邪魔になり、どうしたものかと思案に暮れている。ストックはあると便利だが、使うタイミング、しまうタイミングを誤るとただの邪魔者になってしまう。
【選び方】山道具を選ぶ時の基本だが、購入する時は、実際に使用する状態にして手にする。ストックの場合も使用する長さに伸ばして地面を突いてみる。長さだけでなく重量にも色々あるからだ。軽く降ってみてストックの先にあまり重みを感じないものを選ぶ。
これもアイゼンと同じく買い換えた。以前はCAMPのアルミ・シャフトを使っていたが残雪期の徳本峠で傷んでしまった。僕はチカラがないのでピッケルに限らずついつい軽いものを選びがちだが、やはり軽すぎるのも良し悪しである。といってもこのピッケルも680gだからやはり相当軽いのだが・・・。シャフトは超々ジュラルミン・グジラル。やはりアルミ合金よりもしっかりしている。
【選び方】ピッケルは雪山で使うもの。ストックではないのだから選び方も違う。立った状態でピッケルのネックを持って、先端部が自分の足のくるぶしの辺りに来る物が一般的に適正と言われている。初めて購入する時は、なんとなく短く感じるかもしれないが、ピッケルを使うのは雪山の斜面。長いと取り回しに苦労する。ピッケルバンドはショルダータイプとリストタイプがあるが前者の方が扱いやすいし安心感がある
歩き方のだらしない僕にとってスパッツは必需品。特に雨上がりのヌカッた山道や梅雨時の山歩きでは、これを着けないとズボンの内側がビチャビチャになってしまう。しかしそうは言ってもズボラな僕のこと、2回に1回はスパッツを着けるのをおっくうがって結果、ズボンを汚して下山後の街で道行く人に白い目で見られている。簡易アイゼンは夏の雪渓歩きや冬の凍結した低山でとても役にたっている。着脱も簡単で頑丈。ザックの中に常に放り込んでいる。
【選び方】ナイロン製、ゴアテックス製など素材にも何種類かあり、また長さも脛(すね)辺りまでのショートタイプと膝の下まであるロングタイプがある。ハイキングや夏山の縦走程度ならば、そんなに神経質になって選ぶ必要はないと思う。予算に合わせて、自分の気に入ったデザインの物を選べば良いだろう。



シュラフ(寝袋)
イスカ・コンパクトライト3シーズン
マーモット・ダウン4シーズン
テント・マット
カスケードデザイン・ウルトラライトL

シュラフカバー
マッテンベル・ゴア・シュラフカバー
正直言ってマミー型のシュラフは嫌いである。しかしまさか3000メートルの稜線に、大きくて重たい封筒型のシュラフを持っていくわけにもいかず、仕方なくシブシブ使っている。僕は窮屈なのが大嫌い。だから冬でもよほど寒い時でないとシュラフのファスナーは全開で、その結果、朝になるとシュラフから飛び出し、おまけにヘソまで出して凍えている事もしばしばである。シュラフの素材は、主にダウンか化学繊維。その内容量によって、夏季用、スリーシーズン、冬季用にわかれる。当然ながら、低温用になればなるほど内容量は増え、大きくなる。夏も冬も山をやるのなら、それぞれの季節にあったシュラフを用意する必要がある。
【選び方】テント山行は夏しかやらないというのであれば、質の良い化学繊維の物でも大丈夫。その分コンパクトになる。しかし、春や秋の2000メートル以上の山では辛い。お勧めはダウン混のスリーシーズン用。圧縮して収納する事が出来るコンプレッションバックをいっしょに揃えるとパッキングも楽になる。しっかりした山の店で購入しよう。
シュラフの下に敷くテント用の敷布団。テント山行の必需品である。テントマットの素材には、ポリエチレンにアルミ蒸着した物が一般的で安価だが、快適性と耐久性を求めるならば、このタイプのサーマレストマットが絶対お勧めだ。何しろバルブを開いてテントの中に放って、後は外でビールでも飲んでいれば、勝手に中のウレタンが膨らんで広がり、しかもクッション性は抜群。収納もコンパクトで僕にとっては良いことずくめの魔法のマットである。快適に眠りたいので全身用を使用しているが、寝相の悪い僕は、朝になって目が覚めるとマットから落っこちて、結露したテントの内壁にホッペタをくっつけて顔面に霜が下りていたりして、実際にはあまり役に立っていない。
【選び方】ポリエチレン性の物よりかなり値が張るが、テント泊をやるのならば、ぜひ揃えたいアイテムである。快適さを求めるならば、全身用のロングタイプ。コンパクトさを求めるのならば、半身用のショートタイプを選ぶことになる。価格は1万円前後が一般的。
雨天時や雪山のテント泊行で、テント内の結露からくる濡れや湿気からシュラフを守るためにカバーとして使用する。保温効果もある。1日歩き通し、疲れた身体を包み込んでくれるはずのシュラフが湿気ていては、疲れも取れないし、第一気分が悪い。そういった意味で、透湿性のゴアテックスシュラフカバーはその性能を最も発揮するアイテムと言えるかもしれない。睡眠中に身体から出る汗もさっぱり放出してくれる。またゴアテックスのシュラフカバーには本来の使い方の他に、雨や汗で湿った衣類を中に突っ込んで、一晩放っておけば翌朝にはほぼ乾いているという便利な使い道もある。
【選び方】どんな天候でも快適なテント生活を送りたいなら揃えておきたいアイテムである。揃えるのならばちょっと奮発してゴアテックス性を購入した方がよい。夏ならばシュラフ代わりに使える場合もある。他の素材の物は保温効果はあるが、防水機能はさほど高くない。



バーナー&コッフェル
プリムス・バーナー2243&2263オート
モチヅキチタン他
武器(食器)
snow pesk和武器 奈良井漆器他
ナイフ
ビクトリノックス ピクニカーNL
写真左上のプリムス・バーナー2243は、もう10年近く使っているが全然へこたれない元気物。さすがにあちこちサビが出たりひん曲がったりしているが、火力だけは手に入れた当時のままである。250リットルの水ならば2分で沸騰する。右上の2263は2002年に手に入れたコンパクトタイプのバーナー。ソロならばこれで充分である。畳めばガスカートリッジといっしょに、コッフェルの中にスッポリと収まる。火力も2243と変わらない。コッフェルはいろいろ買ってみたが、どうもパッキングがシックリとかないので全てバラにして、コンパクトに収納出来るように組み合わせた。従って材質はアルマイト、ステンレス、チタンとバラバラである。
【選び方】初めてバーナーを購入するのであれば、ブタンガスを燃料にしたカートリッジ式の物が扱いやすさ、携帯のしやすさなどから一番のお勧めだ。店に行ったらパッケージで火力データを確認し、実際に手に持って重さを比べてみよう。山行形態、人数などによって選択する。ガスランタンを使うのなら同じメーカーの物を選び、ガスを併用できるようにする。
通称「武器」と呼ばれるカトラリー。つまりは山で食事をする時の食器である。これを武器と呼ぶところに、山ヤ達が山での食事をいかに楽しみにしているかが伺い知れて微笑ましい。とは言ってもテント泊の食事は豪勢にとは、なかなかいかないものだ。僕は食いしん坊なので、食事が粗末ならば、せめて武器で楽しみたいので、セット物のカトラリーは使わず、箸、スプーン、フォークとも気に入ったものを集めて使っている。箸はweb仲間からプレゼントされた携帯用。軽くて使いやすい。スプーンは旧中山道の奈良井宿の伝統漆器。何もここまでこだわる事もないのだが。そこまでこだわっていながら、フォークは100円ショップで手に入れたキャラクター物である。
【選び方】僕はこんな選び方をしているが、やはりセットになっている物を選択した方が、収納性や使い勝手がよいかもしれない。素材はチタン、アルミ等色々ある。チタンは軽くて丈夫だが、他の素材に比べて高価。使用後の掃除のし易さを考慮して選ぶ。
常にザックの雨蓋に入っている小さな便利者である。ビクトリノックスとは小さな道具箱という意味。スイスのナイフメーカーだ。ナイフだけのシンプルな物から20種類以上の機能を持つタイプまで種類も豊富である。このモデルは機能数12。ブレード、コルク栓抜き、カン切り、マイナスドライバー、栓抜き、ワイヤーストリッパー、穴あけ、ピンセット...etc。しかし、実際に利用している機能はこのうち4つくらいだろうか。テント泊の度に常時使っているのはナイフとコルク栓抜きだけである。日の落ちた後、テントの中でワインのコルク栓を抜き、サラミソーセージを切る・・・。これだけである。
【選び方】山に限らず、アウトドアの世界でコンパクトナイフといえば、ビクトリノックスが圧倒的に信頼を得ている。ずらりと並んだナイフを見るとどうしても多機能なナイフに目が行き勝ちだが、使う機能は限られるので、出来るだけシンプルなものを選んだ方が後で後悔しないですむ。機能が多すぎるナイフは重いだけだ。



テントシューズ
イスカ テントシューズ・ゴア

トレッキング用傘
mont-bellトレッキングアンブレラ
カメラ
CANON-IOS1000/PENTAX ESPIO115
Nikon-coolpix4300
通称「ゾウ足」と呼ばれるテントシューズ。どちらかというとオプション的な装備だが(厳冬期は別)、これひとつあるだけで、積雪期や残雪期のテント生活は格段に快適になる。素材はダウンが使われている事が多く、足元はポカポカだ。また、シェル部分(靴底)にはゴアテックスが使用されているのでトイレなどでテントの近辺に出る時に、いちいち登山靴に履き替えずにそのまま歩く事が出来る。テントからの出入り時に、靴を履いたり脱いだりするのは非常に面倒臭いものである。とは言ってもやはりあくまでもテントシューズだから調子に乗ってゾウ足のまま歩き回らない事。谷川の天神峠でゾウ足のまま歩き回り、調子に乗って尻セードまでやった僕は、途中で転倒してゾウ足が脱げてしまい、雪の斜面で裸足のままゾウ足を回収するという失態を犯した。
【選び方】雪上でのテント泊や非難小屋泊まりはやらないというならば必要ないかもしれないが、冬も登りたいという人は揃えておきたい装備である。価格は4000円程度。ロングタイプとシュートタイプがある。また別の使い方として、冬の登山で、前日駐車場で車中泊する場合のインナーにすると快適である。
山に傘と思われがちだが、持っていると意外と重宝する。登山口までのアプローチ、林道歩きなどで、雨の中を歩くのは辛いものだ。そんな時は雨具を着込むより傘を差してしまった方が楽である。雨天時のテントからちょっと外に出る時も便利だ。また、僕の場合、山行を中止して山麓の街歩きや温泉巡りに方向転換・・・なんて事が頻繁にあるので、1本持っていると融通が利く。山行を中止する理由は、やはり雨が一番多いからだ。周りの人間がみんな傘を差して歩いている中で、ひとり雨具を着込んで歩くのは辛いものだ。山用の傘は非常に軽く出来ていて、撥水性も抜群。また素材も丈夫な物が使われているので長持ちする。写真のモンベルの傘は8本骨。かなりの風が吹いてもオチョコになる事はない。
【選び方】自分の山行スタイルを考えて、必要と思えば揃えれば良いと思う。あまりこだわらなければ、普段、町で使っている折り畳み傘でも事足りる。ただ、山用の傘を一度使ってしまうと、その軽さに驚いて、町で使っている物を使う気にはならなくなってしまう。価格は3000円くらいから。
山とカメラを同時に趣味としている人は多い。時には重いカメラ用品一式と山行装備をザックに詰め込んで、山を登る登山者の後ろ姿を見ることもあり、そのパワーにはただただ驚かされるばかりである。5、6年前までは、僕も一眼レフの重いカメラを持って山を登っていたが、最近はデジタルカメラだけという事が圧倒的に多い。綺麗な写真を撮りたいのならば、一眼レフにリバーサルフィルムの組み合わせがやはり一番秀でていると思うが、撮った写真をwebに載せる場合は通常のスキャナではリバーサルフィルムの色を忠実に再現するのは難しく、フィルムスキャナが欲しくなる。PENTAXのコンパクトカメラは夏の燕岳で一度使っただけである。やはりシャッタースピードや絞りを操作できないオートフォーカスは使っていて物足りなくなる。
【選び方】山で使うカメラを購入する時に見落としがちなのがレンズの明るさ。木々の茂った山の中でシャッターを押すたびにストロボが発光してしまっては、撮りたい色が撮れない。使用目的を店員に説明してアドバイスを貰おう。



ツェルト
IBSスーパーライト1〜2人用
&ツェルト用ポール
ザックカバー
GOUP SPORT/Mountain dax他

ラジオ
Panasonic RF-ND200R

緊急ビバーク時などに使用する簡易型シェルター。ベンチレーター(通気口)にロープを通し、立ち木に結んで簡易テントのように使用したり、身体に被って緊急時の体力の消耗や体温の低下を防ぐ。山行時のビバーク用に購入し、どんな簡単な山でも必ず携帯しているが、幸い一度も使用せずにすんでいる。数年前の正月休みに帰った実家の庭で、試しに設置して寝てみたが、酔っ払って夜中に乱入して来た従兄にポールを折られて涙を流した。「飲みに行く時は必ず持参すべき」との家族からのキツイ忠告あり。
【選び方】オプション的なアイテムのように思われ勝ちだが、山では何時何があるかわからない。これから本格的に山を始めたいと思うならば、ポールは別にして、ツエルト本体はぜひ持っておきたい。勿論、山行時に携帯する癖を付ける。
雨天時にザックに被せて、雨からザックやザックの中の大事な山用具を守るために使う。どんなに高価なザックでも、残念ながらザック自体に防水性はない。雨に打たれて、ザックの中の大事な着替えやシュラフが濡れてしまっては、せっかくの楽しい山行が最悪のものになってしまう。自他共に認める雨男の僕の場合、ザックカバーは常にフルスロットルの大活躍だ。モノグサな僕だが、山でザックカバーを使った場合、家に帰ったら面倒臭がらずに必ず干して乾かす習慣を付けている。耐久性が全然違ってくるのだ。
【選び方】ザックとザックカバーは必ずセットと考えよう。ザックと手に入れたら必ずザックカバーも購入して常にザックの雨蓋に入れておく。ザックカバーにはサイズがあるので自分のザックのサイズを理解した上で購入する事。
ソロ山行が好きな人間には、実は寂しがり屋が多いという。なるほど僕も夜のテントの中で、ひとりぼんやりとシュラフに包まっていると、何だかとても切なくなってくる事がある。そんな時、小さなラジオがひとつあるだけで、雰囲気がずいぶん違ってくる。ちなみに僕は、静まり返ったテントの中で、ラジオのボリュームを下げて落語の放送を聴くのが好きである。シュラフに包まってウトウトしながら、ラジオから聞こえて来る、いにしえの名人の声にひとりクスクスと笑っている。勿論、山にラジオを持っていく一番の目的は気象情報を聞くためなのだが。
【選び方】コンパクトで高性能なラジオが数多く出ている。周波数が地方毎にあらかじめセットされているタイプが便利である。天気図を引くならば短波が入る物を選ぼう。



マスコット
二代目山ちゃん&山音
ソロ山行が多い僕の大切な同行者。ザックに乗って僕と同じ景色を眺め、僕と同じ空気を吸う山の仲間である。数々の山をいっしょに歩いた初代山ちゃんは、甲斐駒北沢峠で遭難。落ち込む僕のためにweb仲間が二代目山ちゃんとそのお嫁さんの山音(やまね)をプレゼントしてくれた。

山でこのマスコットを連れて、だらしない格好をして歩いているのが潤平です。見かけたら一声掛けてくださいね♪



登山用具メーカーLINK
TARAS BOULBA KARRIMOR mountainDax ARMOND ISUKA mont-bell VICTORINOX
EVERNEW Jack Wolfskin THE NORTH FACE PRIMUS HERITAGE SIMOND EX'PERT