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10年ほど前のお正月、ある山に登った時のことです。
その年は例年になく雪の多い年で、腰から胸ほどまでのラッセルが続きました。
そのため2時ころに着く予定が大きく過ぎ、6時ころにようやく
頂上まで1時間くらいのところにある無人の小屋に到着しました。
ラッセルでへとへとになった体を休め、食事を取って
ようやく人心地がついたのですがあまりに寒いので、
小屋の中にツエルトを張って夜の10時過ぎに眠りにつきました。
小屋の外はあいかわらず雪が降り続いていました。
他にだれも登山者のいない静かな小屋で、ウトウトしていると、
突然小屋の扉がガタガタと音を立てました。
なんだ?とツエルトから顔を出して見てみると
雪まみれになった人が転がり込んできました。
お互い「こんばんは」と一言声をかけあうと、
その人は慣れた様子でツエルトを張って
その中に入りこんでしまいました。
時計をみると夜の11時を過ぎていました。
どうしてこんな夜中に?と思いながら眠りにつきました。
翌朝、あまりにも寒いのでシュラフの中でうだうだしていると、
その人はさっさと準備をして出ていってしまいました。
私もとりあえず朝食はとらずに荷物も置いたままで頂上へ行こうと思い
シュラフから抜け出し、装備を着け小屋の外へ出ました。
外へ出ると風は強かったのですが雪は小康状態で
雲の間からほんの少しだけ青空が覗いている状態でした。
でも、30分ほど前に出たと思っていた人のラッセルの後はどこにもなく、
頂上への往復でもすれ違うことはありませんでした。
その時は、彼はそのまま下山して、ラッセルの後は風で消えたのかと
思っていましたが、あんな夜中にやってきて頂上も踏まずに帰るのは
変な人だなと思っていました。
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このように、無理して考えればどうにかつじつまが合うという事はたくさんありました。
しかし・・・
紅葉でも楽しもうと思い、ある秋の金曜日、会社が終わった後
そのまま車で長野方面のある山へ向いました。
21時には登山口に着くだろうと、途中のコンビニでビールとつまみを買いこみ、
金曜日としてはめずらしく空いている一般国道を快調に走っていました。
ところが途中で集中工事とやらで10分走れば10分停止という状態になり、
予定よりずいぶん遅れて結局登山口に到着したのは午前0時に近い時間でした。
登山口付近は、標高があるため一面に霧がまいて、
車のライトだけが真っ白な霧の中にまっすぐに伸びていました。
車を止めるところを探そうとゆっくりと車を進めていると
リュックを背負った軽装の2人連れをライトがとらえました。
「どうしてこんな夜中に?」と思いながらも
路肩に車が1台ようやく止まれる空き地を見つけたので
左にハンドルを切り車を停めました。
車のライトは2人連れの姿を避け、いくつかの木々と風に舞い落ちる木の葉を
照らしていました。
「ふー、到着」などと言いながら車から降り上を見上げると
回りは霧に包まれていたのですが、霧の隙間からぼんやりとした月が
顔を出していました。
林の中は風が吹きぬけて、木々がゆっくりと揺れ、
ざわざわという小さな音と共に木の葉が舞っていました。
私の車はワゴン車ですので後ろの座席に寝床を作って一杯やろうと思い、
後ろの引きドアを開けそこから後部座席に乗りこみました。
ドアは少し引くと自動的に閉じる車ですので、
ちょっと引っ張るとピピピという音と共に閉まり始めたのですが、
突然途中で止まってしまいました。
「あれ?故障か?調子悪いな…」
しかたなくエイヤッとドアを閉めて、寝床作りをはじめました。
寝床ができたので車の中からオートロックをかけて、
カギを運転席横のコンソールボックスの上に置き
「よし、一杯やるか」とビールとつまみを出したその時です。
先ほどかけたオートロックが突然、「バチッ」と解除されたのです。
「えっ?」と思いコンソールボックスの上を見ると
カギはそのままコンソールボックスの上にありました。
ドアは先ほどのロックが解除されていました。
近くには車も、人家もなく何かの誤作動ということはありません。
あの2人連れといい、ドアの故障といい、しかし一番いやだったのは、
何もやっていないのに文明の利器である車のロックが何かの力によって
解除されたという事です。
これまでの経験は錯覚か、あるいは無理をして考えるとどうにか
説明できることでしたが、今回のドアのロックが解除されたという
目の前で起こった出来事はどうにも説明ができません。
もちろんその時は一杯もやらずに
そのままシュラフへもぐりこんでしまいました・・・。
群馬県 山に行きたいさん
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