思いつくままに (2019/5月)


    5月になります。

    4月が花咲き鳥啼くと表現されるとしたら、5月は、若葉薫る月でしょう。

    若葉の季節の俳句と言えば、直ぐ思い出される句の一つが、江戸中期の俳人・山口素堂(1642〜1716)の

    “目には青葉 山ほととぎす 初鰹”

    でしょうか。

    目にも鮮やかな「青葉」、美しい鳴き声の「ほととぎす」、食べておいしい「初鰹」と、

    春から夏にかけ、江戸っ子が最も好んだものを詠んで有名な句ですね。

    この句を読むと、ほぼ同時に思い出されるのが、

    “目に青葉 耳に鉄砲ほととぎす 鰹は未だ口に入らず”

    という狂歌です。

    元歌の素堂の俳句では省略されていた、ほととぎすの鳴き声を聞く耳と、美味しい初鰹を食べる口を入れながら、

    高値になってしまって食べられない初がつおに庶民感覚を込めた秀歌ですね。


    狂歌と言えば、江戸時代には大田南畝や宿屋飯盛など有名な狂歌師から無名の庶民に至るまで、

    大勢の人たちによって、風刺の効いた作品が沢山創られていたのに、最近は殆ど見ることがなくなってしまいました。

    同じように風刺や可笑し味を表現している川柳は、未だに沢山の人に創られ続けているのに。

    この違いは何なんでしょうね。

                                              2019/04/30




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