勝手論その4

 

 

@ アメリカのテロ事件について(その1)
NYで起きたテロ事件はあまりにも残酷かつ悲惨なものだった
犠牲者の方々には本当に心からお悔やみ申し上げたい
ところで,このテロ事件はわれわれ日本人にとっても対岸の火事とは言えない
それは,被害者の中に日本人がいたという事だけではなく
日本経済に決定的なダメージをもたらしたことからも分かると思う
日経平均株価が1万円を割り込むというのは実に17年ぶりだそうだ
しかし,今回の日本政府の国内対策はなかなか早かった
えひめ丸沈没の時に比べると,現内閣の危機管理はどうやらかなりよくなったようだ
というか,今回の事件に関する限りその迅速さはほぼ満点といえるのではないだろうか?
ただし,それは国内に向けたものに限定すればの話だ
はっきり言えば
外国に向けた対策は完全に不合格
まず,政府の見解の第一報の発表が総理ではなく官房長官によるものだった
英国,フランスは言うに及ばず,PLO(パレスチナ解放機構)ですら,トップが早急に声明を出した
外国,特に米国から見たら果たしてこの状況はどのような目に映っただろう?
きっとパウエル国務長官の会見を見ても分かる通り,米国には軽く見られていることは
ほぼ間違いないだろう
(国務長官は記者会見時にテロ対策に協力している国の中に日本を入れてなかった)
それは当然である
では,それはなぜか?
その1 日本は
共にに血を流してくれる相手ではない
その2 日本はちょっと外圧をかけたらすぐに
金だけ出してくれる
その3 日本政府は国際情勢に詳しい人材に欠けている
その他 アーミテージ国務副長官来日の際に外相との会談が事実上キャンセルされたなど・・・
つまりは,米国にとって
日本とは極東に存在する金だけ出してくれる小国でしかないのだ
いや,それならまだましなほうで,日本はアメリカの一州くらいにしか思っていないかもしれない
特に,一緒になって血を流すことがない限り,米国からみれば日本が重要国であるなどとは
思われないだろう
極端な話,
米国にとっては日本よりもイスラエルなどの国々のほうが信用できるのである
日本が米国,言い換えれば
国際的に信頼されるためには早急に憲法改正を行い
集団的自衛権を行使できるようにならねばならない
それが出来ないうちは,米国は日本のことを同盟国だとは思っていない
どう思っているかと言えば,
日本は米国の保護国だと思っている
共に戦い,血を流してからでなければ,絶対の信頼を得ることなどないだろうし
日本が同盟国だとは思ってくれないだろう

 

A アメリカのテロ事件について(その2)
今回のテロ事件に対しては,イラクを除く全世界から,米国は支持を取り付けた
ここに,21世紀型の戦争がこのようなものであるということが証明されたように思える
はっきりいえば,21世紀には大国同士の戦争は起こり得ない
では,21世紀の戦争とは何かといえば,それは
非政府過激組織と国家の戦争である
非政府組織が国家を揺るがすためには,テロ行為によるゲリラ戦が中心になると言うことだ

全世界が,宗教,思想,人種,国家体制の枠を超えて米国を支持したのはこの点にある
どこの国家も外国が攻めてくるなどとはほとんど思わない状況になっている
そういう世界の中で最も恐ろしいのは,テロである
そして,現在最も恐ろしいテロの主役はイスラム原理主義者である
確かに,20世紀にも彼らによる戦争は絶えなかった
しかし,それは小規模なものであることが多かったりして,大国を揺るがすものではなかった
そして場合によってはその背後には必ず大国がいて,その大国の代理戦争みたいなものだった
21世紀に入るとそう言ったイデオロギーによる大国の影響がなくなり
それと共に
大国による抑えもきかなくなった
これは恐ろしいことである
ただでさえ無秩序な国際社会は,冷戦期には二つの超大国によってある程度秩序を保ってきたが
これが終わった瞬間から,
無秩序状態が加速されたと考えてもよい
しかも,今回の場合,ウサマ・ビンラーディン氏の組織は生物兵器や核兵器まで使用可能という
情報をどうやら英国のMI6は掴んでいるようだ
(注:MI6とは英国の対外諜報機関で,中東などの情報に関しては非常に詳しい)
このような兵器を扱いかねない組織に攻撃をかけようとしているのだから
米国としては当然のことながら,大規模な軍事行動に出るだろう
もしその実力を見誤るようなことがあれば,ベトナムの二の舞は避けられないからだ
だからこそ,米国は国際的な支持を得るために奔走しているのだ
そして,世界各国はほとんどの国でテロに手を焼いているために,米国を支持したのだ
今回の米国の報復攻撃を狭い目で見てはならないのである
そして,今回軍事行動が行われた場合,絶対に米国はベトナムのように負けてはいけないのだ
ここで米国が負けることは,それイコール無秩序状態を承認
することになり,全世界が殺戮の脅威にさらされることになる
ことは間違いない
のである
だからこそ,ロシアのSVR(旧ソ連のKGBを引き継いだ諜報組織)も米国CIAに協力した
米国が,持てる諜報力,捜査力,軍事力,外交力,経済力をフルに稼動して今度の戦争を戦うことは
このような理由により間違いないことといえるだろう
だから,もし仮にアフガニスタンのタリバン政権がウサマ・ビンラーディンを差し出すことがあっても
米国は決してそれで納得しないだろう
戦闘が始まればそれは第二次大戦以来の大軍隊が動くことが考えられる
日本の政治家がいくら外交オンチだとはいえ,このような背景を知っているだろうに
なぜ日本は積極的な行動に出ないのであろうか?
下手をすれば,
日本はテロに対して甘い国というイメージが全世界のテロ組織に染み付いてしまい
日本国内の外国の公館が攻撃対象になりかねない
そしてその際には,多数の日本人が犠牲になりかねないのだ
憲法を改正してでもその危険性をつぶしておく義務が為政者にはあるのではないだろうか?

 

B Kennyがテロに関して厳しい理由
Kennyは実は,このテロの脅威を身近に感じる出来事に遭ったことがある
確か1992年のロンドン観光中の話なのだが,MI5か何かの情報によりテロ情報が入ったのだろう
スコットランドヤード(ロンドンの警視庁にあたる)の警官が集団で走ってきて
“Keep Out”とプリントされたテープが道を塞ぎ,市民はそのエリアから排除されてしまった
そしてどのくらい時間がたっただろうか?
ドーン!がらがらがら・・・という音が遠くで聞こえた
そして一度宿に戻ってみてテレビを見てびっくり!
爆弾によって破壊された商店が映っていたのだ
しかも,ちょうど例のエリアの中であった
そして,次の日になってその店のところに行ってみると見るも無残な光景がそこにはあった
Kennyが初めて見たテロの恐ろしさであった
ちなみにこのときに犯行声明を出したのはIRA(アイルランド共和軍)と呼ばれる組織で
北アイルランドのアイルランド共和国帰属を目指す組織だ
北アイルランド問題も宗教をめぐる問題で,未だに解決されていない問題である
(昔アイルランドを征服したプロテスタントの英国は,カトリック住民が多い南アイルランドは
 独立を認めたが,英国から移住したプロテスタントが多数派である北アイルランドだけは英国
 からの独立を認めなかったことから,北アイルランド国内のカトリックがプロテスタントと対
 立する構図が過激な形で現れたもので,カトリック過激派がテロという手段に訴えた)

英国は,国内にもこのようなテロ問題を抱えているため,今回のテロ問題には積極的に協力するだろう
そして,このときとは比較にならないくらい悲惨な出来事となってしまった今回のテロは
Kennyにとってはとてもではないが他人事とは思えないのである

 

C 政権担当能力がないことを露呈した民主党
今回のテロの後に早くから米国の前面支持を表明したのが民主党の代表であった
Kennyはこれに対して「民主党もやるな」と思ったものだ
きっと,米国をはじめとする国際社会の,テロを絶対に許さないという強い姿勢を理解して
それに対して全面的に支持していくと思ったからだ
ところが,党内からこの支持表明にイチャモンが付くや否や,あっという間にこの表明を翻してしまった
つまり,国際社会のテロ対策への強いメッセージという広い眼でものを見たわけではなく
攻撃に対する報復という狭い眼でものを見ているということを表明してしまったわけだ
何度でも言おう
今回のテロに対する軍事力の行使を含めた対策は
ただ単に一人のテロリストを捕まえるなどと言う甘いものではない

だからこそ,日本も参加しなければならないのだ
そうしなければ,日本もテロの標的になる可能性が高い世紀になってしまった
「報復が報復を呼ぶ」などという社民党や民主党幹部の発言は
全く的を得ていないし,それ以前に宗教指導者にでもなったほうがいい
Kennyが憲法を改正してでも日本は軍事作戦に参加しなければならないと考える理由はここにある
21世紀の戦争は国家対テロ組織の戦争が主なものであって,もはや日本国憲法の唱える平和主義など
通用しない時代になったのだ
このままでは
憲法あって国滅ぶ
結果になり兼ねないことを,しっかり警告しておこう

 

D 結局は大した仕事をしなかったクリントン政権
さて,ここで情勢をいっそう難しくしている原因を一つ挙げておこう
いうまでもなく米国の前政権であるクリントンである
目立たない政権であったものの,ブッシュ政権(父親のほう,以下ブッシュ・シニア)は
なかなか有能な政権であった
失敗したのは欧州の変化に気がつかなかったことくらいである
(ただし,これは国家の土台を揺るがすものにはならなかったので,結果オーライだった)
湾岸戦争,湾岸情勢のコントロール,経済発展の土台作りの3つがブッシュ・シニアの功績だ
まず湾岸戦争は,本当はサダム・フセイン体制を破壊することも可能であった
しかし,湾岸諸国に政権までは倒さないで欲しいと懇願されたため,叩き潰しはしなかった
(湾岸の諸王国にとってはイラクに完全な民主政権が生まれて欲しくなかった
 何故なら彼らの国も所詮国王の絶対主義政権だし,イスラム原理主義派の台頭はもっとまずい
 イラン革命の二の舞だけは避けたかったわけだ・・・)

つまり,
ブッシュ・シニアは湾岸アラブ諸国の意思を非常に大切にしたのである
そして,その後も有能な国務長官,ベーカーのおかげで湾岸情勢をうまくコントロールした
イスラエル・パレスチナ問題にしても,実を取るべくして努力していた
これに対して,クリントンは名ばかりを追い求め,結果的にパレスチナの不信を買い
イスラエルに強硬派の政権を打ち立ててしまった
これと共にアラブ諸国には反イスラエル組織を数多く作ってしまったわけだ
これも,クリントンの上っ面の中東和平外交の結果だろう
次いで,経済発展の土台作りとしては,不良債権問題の解消とともに,1990年代の米国繁栄の基礎は
ITにあるとして,この点のインフラ整備に心血を注いだ
21世紀に入ってようやくこの辺りに手をつけ始めた日本政府とはえらい違いである
ちなみに,経済発展の功績はクリントンにあるといわれるが,Kennyはむしろこのブッシュ・シニア
のまいた種が,単にクリントン時代に花開いただけだと思っている
結局,女性問題や資金疑惑に明け暮れて
大した仕事をしなかったクリントンの尻拭いは
ブッシュ・ジュニアの双肩に掛かってくる
少なくともKennyはそう思っている
そして,今回のテロ事件の解決にこの大統領の行動が凶と出かねないのは不幸なことだ
クリントンはもっと親身になって中東問題を考えておけばよかったのだ
それなのに,イスラエル寄りの中東外交を行ったものだから,湾岸戦争でブッシュ・シニア政権
がせっかく築き上げた
アラブと米国の信頼関係を失ってしまったのである
それどころか,ロシアやフランスまでもが離れていってしまったのだ
クリントンの外交オンチ,ここに極まれりなのだが,ブッシュ・ジュニアはそんな泣き言を
言っていられない状態にある
幸いなことに現時点では,世界中から同情を集めているので,反米感情はさほど大きな力にならない
今のうちに,中露や中東アラブ諸国,イスラム圏国家に信頼を受けるために走り回るだろう
政権幹部やCIAの力の見せ所である

 

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