救命手当の基礎実技
救命手当とは、怪我や病気により、傷病者が突然に意識障害、呼吸停止、心配停止などの状態になったときや、大出血により生命の危機に陥った時に行われる応急処置を言います。救命手当には、心肺蘇生法と止血法とがあります。
我々指導員は、当然会員の身体生命を、お預かりしているわけですから、安全にスイミングライフを満喫できるよう、心がけています。
*心肺蘇生法の流れ
(成人、8歳以上)
(Y)yes (N)no
傷病者の発生⇒意識を調べる。(Y)→呼吸を調べる(Y)→回復体位にする
傷病者の発生⇒意識を調べる。(N)→協力者を募る→気道の確保
呼吸を調べる(N)→吹き込み2回
循環のサインを調べる→人工呼吸、心臓マッサージ
・呼吸をするか
・せきをするか
・動きがあるか
*蘇生法は、救急隊員、または医師がくるまで続行する。
(2〜3分ごとに循環のサインを調べる。)
*救急用シート
*ガイドライン2000に伴う改訂内容
*用語の定義
応急手当ー救急蘇生法を除いた一般市民の手当
救命手当ー一般市民が行う救急蘇生法
*年齢の区分の定義
・出生後28日未満ー 新生児
・出生後28日以上1歳未満ー 乳児
・1歳以上8歳未満ー 小児
・8歳以上ー 成人
*口腔内の確認
意識がなければ口腔内の確認をしないで直ちに気道確保
*観察要領
呼吸確認ー気道確保から10秒以内で呼吸の有無を判断する。必ずしも、10秒間観察するということではなく、この間に呼吸の有無が確認できれば10秒未満で次の手当に移行できる。
脈拍確認ー2回の呼気吹込み人工呼吸を行った後、呼吸があるか、咳をするか、体動のいずれかがあることによって、心停止を判断する。
*人工呼吸法
成人 ・送気量10ml/kg(500-800ml)
・送気時間は、2秒かける。
・リズムは、5秒に1回の割合
・胸が軽く膨らむ程度
小児 ・送気要領は胸が軽く膨らみ、胃が膨満しない
・送気時間は、1〜1,5秒
・リズムは、3秒に1回の割合
乳児 ・送気要領は胸が軽く膨らみ、胃が膨満しない
・送気時間は、1〜1,5秒
・リズムは、3秒に1回の割合
新生児 ・送気要領は胸が軽く膨らみ、胃が膨満しない
・送気時間は、1秒
・リズムは、1〜2秒に1回の割合
*心肺蘇生法
成人 ・1分間に100回の速さで心臓マッサージ
・圧迫位置は胸骨の下半分
・圧迫の深さは3,5〜5cm
・最初に人工呼吸を静かに2回行ない、循環のサインを観察、なければ心臓マッサージを行う
・心臓マッサージと人工呼吸の割合は15対2
・4サイクル行ったら循環のサインの有無を再確認する。以後、2〜3分ごとに循環のサインを確認する。
・一人の救助者がまず心肺蘇生法を行ない、他の人は119番通報や、二次災害の防止等を行う。
小児 ・1分間に100回の速さで心臓マッサージ
・圧迫の深さは1/3くぼむ程度で片手で押し下げる。
・圧迫位置は胸骨の下半分(剣状突起と肋骨縁でできる切痕の指1本分頭側の位置)
・心臓マッサージと人工呼吸の割合は5対1
乳児 ・1分間に100回の速さで心臓マッサージ
・圧迫の深さは1/3くぼむ程度で片手で押し下げる。
・圧迫位置は胸骨の下半分(左右の乳頭を結ぶ線と胸骨が交差する部分より指1本分足側の胸骨上)
・心臓マッサージと人工呼吸の割合は5対1
新生児 ・1分間に役120回の割合で心臓マッサージを行なう
・圧迫位置、深さ、手技は乳児と同じ。
・心臓マッサージと人工呼吸の割合は3対1
119番通報
小児、乳児、新生児では、すぐに119番通報ができないときは、循環のサインがなければ心肺蘇生を1分行ない、そのあとに119番通報等の応援、協力を求める。ただし、救助者が複数いる場合は、当然救命手当と119番通報を並行して行う。
心肺蘇生法中止基準
・十分な自発呼吸、循環が回復したと認められた場合。
・救助者に危険が迫ったり、重度の疲労により継続が困難になった場合。
・救急隊、医師等第三者に引継いだ場合。
・正当な手続きにより書面で本人が心肺蘇生法を拒否している場合。
*異物除去要領
・成人、小児の傷病者
A)咳をしている場合は、そのまま強く咳き込ませるようにする。
B)意識の有無にかかわらず、異物による窒息が強く疑われる場合には、直ちに背部叩打法および側胸下部圧迫法で異物除去を試みる。ハイムリック法は意識のある8歳以上の傷病者に推奨される。(乳児、新生児、妊婦は適用外)
C)意識がなく気道を確保して呼吸がなければ人口呼吸、入らなければ心臓マッサージを行う。実施中に、異物が視認できれば当然、指拭法でかき出す。
・異物が除去され、呼吸、循環が回復しても意識障害がある場合は回復体位をとらせ、2〜3分毎に呼吸、循環状態の観察を行う。
・異物が除去されても呼吸が十分でない場合は人工呼吸を、循環のサインが認められない場合は心肺蘇生を行う。
・乳児の異物除去要領
A)乳児に対してはまず4〜5回の背部叩打法を試みる。
B)背部叩打で除去できない場合は、次の要領で異物除去を行う。
@手掌部で左右の肩甲骨の間を5回連続して叩く。
A続いて頭を低く保ったまま仰臥位にし胸骨の下半分(左右の乳頭を結ぶ線と胸骨が交差する部分より指1本分足側の胸骨上)の胸骨を心臓マッサージの要領で、1秒間に1回の割合で5回圧迫する。
Bこれで異物が出なければ背部叩打法5回と胸部圧迫法5回を繰り返す。
*止血法
・直接圧迫法、止血帯法を主軸とし指導する。
・間接圧迫法は参考的に指導する。
・巻き包帯(巻軸帯)の項目を全部削除
・止血帯の幅を3cmとした。
*容態確認〜CORの手順
1.意識を確認する。
倒れている傷病者を見つけたら、肩をたたいて、大声で意識の確認をします。
2.119番へ通報し、AEDを準備する。
呼びかけに反応が無い場合、直ちに119番へ通報し、AED を、傷病者のそばに取り寄せます。
3.気道を確保し、呼吸を確認する。
気道を確保した状態で、・呼吸音を聞く ・呼吸に伴う胸の動き
呼吸確認は10秒以内に行います。
これらが夏季人で着ない場合は、呼吸をしていないと判断します。
4.人工呼吸をする。
人工呼吸を2回行ってください。
5.「循環のサイン」を確認する。
@正常な呼吸
Aせき
B体の動き
傷病者の様子を耳と目でよく観察し「循環のサイン」を確認します。
正常な呼吸は確認できないが、席や体の動きなど、その他の「循環のサイン」がある場合は人工呼吸のみ行います。
6.心臓マッサージをする。
「循環のサイン」を確認できない場合、または「循環のサイン」に自信が持てない場合は心臓マッサージを開始します。
心臓マッサージは15回します。
1分間に100回のリズムで15回続けて圧迫し、その後人工呼吸を2回行います。【この一連の動作を1サイクルとする】
4サイクル行い、
1.正常な呼吸
2.せき
3.体の動きの「循環のサイン」を確認します。
当スクールは、
*従来の心肺蘇生法に加え、
AEDを使用します。
