少し前に今世紀最後の大作スパイアクション映画『ミッション・インポシブル2』が公開されました。監督がジョン・ウー(代表作…ブロークン・アロー、フェイス・オフ等)に代わり、迫力もストーリーも厚みを増して期待通り出来栄えとなったと思います。…ところが、今作は前作の『ミッション・インポシブル』絶賛派には不評です、何故でしょうか?!
聞いた意見や評価をまとめるとこんな感じになります。
1.ジョン・ウー監督色が強すぎるから
2.スパイなのに情に流されすぎ、無意味に派手
3.こんなの『ミッション・インポシブル』では無い!!
4.無理して恋愛的要素を入れたから
…こうして並べてみると、ハリウッド映画殆ど否定しなくてはならない様な意見のオンパレードですねえ(笑)でも気持ちは分かる気がします。今作と前作、作った人間の個性の差や、力量の差もありますが、明らかに作ったスタンスが違うんですよね。
前作は明らかに旧「スパイ大作戦」FANを対象に作られています。ほぼ昔のままのBGMに、セリフ回し…旧「スパイ大作戦」FANなら感涙モノです。自分も映画の開始直後の「導火線に点いた火」に合わせて、あのBGMが流れた時「来た来た来た来た来た〜!!」と大喜びしました(笑)他にも「…尚、このテープは自動的に消滅する」とかネ(笑)いや…本当、旧作FANには感涙ものです♪
…所が…問題があります。この映画(1の方です)「スパイ大作戦」のネーミングやキャラクターが無かったならば、果たしてどんな評価を受けたでしょうか?!多分コレです「トム・クルーズやジャン・レノ等の豪華キャストを大量に起用した究極のB級映画(笑)」…何か敵を作りそうですね(笑)(ファンの皆様…怒らないで最後まで聞いて下さいね)
だって彼ら…娯楽作と言うことを差し引いても、一流スパイのクセにアタマ悪すぎます(涙)一応舞台は20世紀末の現在ですよね?!最初にイーサン・ハントに来る秘密司令ですが…衛星写真で人の顔が判別出来たり、一般のビジネスマンが電子メール使っている時代にカセットテープは無いでしょう(笑)子供にだって聞かれてしまいますよ。…せめてマイクロチップを使うとか、パスワード等、何十もプロテクトしてデータ化して送るとか、一度見たり、外部の者が解読に失敗したら、データが壊れて読めなくなるとかして下さい(ナノマシンが、どーこー言っている時代ですので、この考え方だって十分古いと思います)。そしてその後テープは煙を上げて消滅…って、…待て、コラ(笑)飛行機の中で煙噴いているウォークマン…さぞかし目立つでしょうね。しかも煙草許可の特別クラスでもない限り飛行機は原則的に禁煙です。そんな所に煙が上がったら…スチュワーデスが飛んでくるわ、酸素マスクは降りて来るわの大騒ぎ。何故そんなに目立ちたがるのですか…一流スパイ?!
そしてネタばれになりますが…ラストに、盗み出したCIAの機密を巡って仲間割れを起こします。その中の裏切り者が逃げるイーサンをヘリでトンネルの中まで追撃します。この時点でかなりアレですが…盗み出したデータをKGBに流そうとしている連中が情報をモバイルと電子メールで普通に送信してるのは…(汗)しかも高速列車の中で送信しているのでトンネルに入った途端に、送信失敗でやりなおしていると言う…お前らスパイ辞めて国へ帰れ(笑)…本っっ当に、もお(T-T)
そんな大事な情報を一般回線で送りますか、普通?!しかも高速列車から送信?!新幹線の中でさえ携帯電話がまともに掛からないのに(笑)そして逃げるイーサンをヘリで追撃…運んでいる中身はCIAの国家機密…ヘリの乗務員に告ぐ、すぐそんな目立つ追撃は止めなさい。さもないとアメリカ国防省が面子をかけて、大量の戦闘機で追って来て、ミサイルをたらふく御馳走してくれるでしょう(笑)自分はこのシーンで「やめてくれ〜、もうやめてくれ〜」と鬱になっていました(涙)
さて、その点に関して、『ミッション・インポシブル2』は、どうだったのでしょうか?!
前半一時間に関しては、かなり良かったと思います。変装技術や小型の音声変換装置など、『最新のスパイ戦っぽいかも?!』と思わせてくれるレベルです。もちろん詳しい人から見たら「まだこんな技術無ェ!!」とバレてしまうのですが(笑)…でも数年後は可能性有りなレベルです。凄いものを見せてくれている!!と思わせてくれるだけで、娯楽作としては及第点だと思います。自分はココで燃えました(笑)
そして後半部分ですが…良くも悪くもジョン・ウー作品です(笑)アレだけ前半で緻密な設定を見せてくれたのに、後半は完全に娯楽のみを追及した、別物の映画になっています(笑)大口径の2丁拳銃乱れ撃ちや、妙にエレガントにサマーソルトキックで敵兵士を倒したり、ある人を助けるために必要な、世界最後の血清を手に入れるために、その血清を持っている敵のいる部屋に手榴弾を投げ込むなど…アタマを抱え込まなくてはならない素敵なアクションを見せてくれます。
そして何の前触れも無く、お決まりのカーチェイスに銃撃戦、そして最後は悪党とサシで殴り合い…もお、完全にハリウッドの王道路線(^^;)…でも一番困った点は、そのアクションが無駄に格好良くて、妙に燃えている自分が居る事なんですが(笑)
結論から言えば『ミッション・インポシブル2』は「ミッション・インポシブル」の続編としては失敗だと思います。でも旧スパイ大作戦を知らなかったり、思い入れが特に無い方への現代版リメイクとしては大成功だと考えています。
分かり易く(?!)言うと「旧スパイ大作戦」が初代ガンダムで「ミッション・インポシブル」が『逆襲のシャア』、「2」はGガンダムです(笑)
逆襲のシャアは、初代や「Z」のファンにとっては感涙モノです。アムロとシャアの決着が着く!!しかも地球に、あのハマーンやザビ家の象徴であるアクシズを落とすんだって?!しかも「ZZ」の時点で、あそこまで原型が無くなってしまったガンダムのデザインが…νガンダムのデザインは初代のイメージを残している!!(さすがアムロ♪)しかもキャラデザは「Z」で魅力的なフォウ・ムラサメを作画した北爪氏だあ!!
…もお最高です。初代からのファンならば。でもコレ、ガンダム殆ど知らない人間には、かなりキツイ敷居の高さだと思います。(初代知らない人が映画見に行くか?!と言う疑問は置いといて)
まず、ニュータイプやファンネルに関しての説明がありません。サイコミュや強化人間、ミノフスキー粒子なんてもってのほか(笑)分からない単語が続くと、人間は入り込めない疎外感を感じる可能性があります。これは娯楽作としてはマズイですよね?!
「逆襲の〜」で白鳥が飛ぶシーンがあり、その白鳥がララアに変身して「ウフフフフ…」と笑い、アムロが「ララア…まだ僕を縛るのか…?!」と呟くシーンがあります。初代ガンダムで起きた悲劇のトラウマに彼がまだ縛られている事を象徴するシーンですが、コレ、分からない人が見たら…このアムロと言う青年はクスリでもやっているのか?!と言う危険な誤解を招く可能性があります(笑)
それに対し「Gガンダム」は初代のイメージは、モノアイとアンテナしか残っていません(笑)ニュータイプとか難しい単語やテーマは無く、あるのは「努力」と「根性」、「熱血」と「愛」と「必殺技」(笑)そして無意味に派手でケレン味たっぷり(笑)初代のファンに「こんなのガンダムじゃない!!」と言われてもしょうがありません。でも初代を知らなければ、敷居が低い分、こちらの方が面白いんです。
結局新しいファン向けへの完全新作に近いリメイクを要求され、古いファンをの半分位を切り捨てる覚悟で応えたのが「2」だった訳です。両方のファンに媚びる位ならその位の心意気でやった方が正しいと思いますし、だから自分は「ミッション・インポシブル2」は、それに応えた紛れも無い名作だと考えています。
え…?!両方のファンに媚びてでもファンを喜ばせるのがプロの仕事?!一理ありますが、無理して両方に応えると駄作になる事が多いんですよ。でも面白そうな気もしますね。
OK!!では一つ『逆襲のシャア』のキャラと設定、『Gガンダム』の分かりやすさと派手さを取り入れたガンダムの続編をシミュレートしてみましょう!!
「機動武闘伝逆襲のシャア」の1シーンより
シャア「悪しき地球人の巣食った地球を、このデビルアクシズ(謎)で浄化するのだ!!」
アムロ「地球人も地球の自然の一部だ!!何故それが分からない!!」
シャア「こぉの馬鹿ライバル(?!)がぁ!!所詮貴様もそこまでの漢か!!ならばこの私直々に引導を渡してくれよう!!」
アムロ「貴様はやはりクワトロにあらず!!(当たり前)ならば喰らえ!!愛と悲しみと情熱の爆熱フィンファンネル!!」
(この後、実は生きていたリュウ・ホセイが改造ガンタンク(笑)で援軍に、また2人の戦いを止めに来たセイラさんがDG細胞に侵食されたα・アジールに取り込まれる。)
全然ダメですね…二兎を追う者は一兎も得られない様です(笑)
(…個人的には凄〜く観たいのですけど(笑))