Musical"Oklahoma!"より(演出ステージ)

作詩:Oscar Hammerstein 2

作曲:Richard Rodgers

編曲:源田俊一郎


指揮・演出・構成:北村協一

ピアノ:藤田雅

照明:中川健二



・OPENING - I Can't Say No!
 (いやとはいえないの!)

・Oh, What a Beautiful Morning
 (美しい朝)

・The Surrey with the Fringe on Top
 (飾りのついた四輪馬車)

・People Will Say We're in Love
 (恋仲だと人は言う)

・Pore Jud is Daid
 (きらいなジャッド)

・Out of My Dream
 (私の夢から)

・The Farmer and the Cowman
 (農夫と牧童)

・FINALE - Oklahoma!
 (オクラホマ!)




−名作『オクラホマ!』が生まれるまで−

 『オクラホマ!』は1943年3月31日に初演された、恋の三角関係を陽気に描いたミュージカルである。作曲R・ロジャース、作詞O・ハマースタイン2世の初顔合わせの作品で、ロングラン2248回という大記録をうちたてた名作である。『オクラホマ!』の生まれた1943年といえば、第二次大戦の直中であった。戦争に嫌気がさしてきた国民の平和を望む気持ちが、ここに反映されているのであろう。
 ロジャースとハマースタインは、この『オクラホマ!』で顔を合わせる以前より既にミュージカル界の大ヴェテランとして活躍していた。2人は十代の頃から旧知の間柄だったが、一緒に組んで仕事をしたことはなかった。というのも、ハマースタインはジェームズ・カーン、ジョージ・ガーシュイン、シグムンド・ロンバーグといった一流の作曲家と次々組んでいったのに対し、ロジャースはコロンビア大学在学当時からの盟友ロレンツ・ハートとのコンビを守ってきたからである。
 1942年、ロジャース、ハートのコンビにリン・リッグスの戯曲『緑萌えるライラック』(『オクラホマ!』の原作)のミュージカル化の依頼が入った。ソフィスティケイトな都会趣味のミュージカルを好んで作ってきた2人にとって、この作品は異質なものであった。乗り気なのはロジャースの方だけで、ハートはまったくやる気を示さず、とうとう仕事を降りてしまった。若い頃からハート以外の人間と組んだことのなかったロジャースは、親しい先輩ハマースタインに協力を求めた。ハマースタインもこの原作のミュージカル化を長年念願としていたため、渡りに船とばかりに二つ返事でこれを引き受けた。2人の名コンビはこのような運命の引き合わせによって誕生した。


−物語−

 舞台はアメリカ合衆国の中央南寄りにあるオクラホマ州、時は20世紀に入って間もない頃、州が制定される少し前のことである。
 広大な農場の一角にあるローリーの家の前へ、ある朝、若い牧童カーリーは第2曲「美しい朝」を歌いながらやってくる。カーリーは美しいローリーをその日スキドモアの農場で開かれるボックス・ソシアル(若い娘の作ったランチボックスを男たちが競り売りで落とし求愛する催しの一種)に誘いに来る約束をしに来たのであった。しかし、はにかみやのローリーは内心カーリーが好きなくせに素直に好意を示しはしない。そこでカーリーは、白い2頭立てで屋根に飾りのついた四輪馬車で迎えに来ると言うことを第3曲「飾りのついた四輪馬車」に託して歌う。しかしそんな嘘はあっという間にバレてローリーは怒って家の中に入ってしまう。
 さて、カーリーの仲間の牧童ウィル・パーカーはカーネス判事の1人娘アド・アニーが好きなのだが、かねてから彼女に熱を上げているペルシャ人の行商人アリ・ハキムがウィルの留守中にアド・アニーとボックス・ソシアルに出かける約束をしてしまう。アド・アニーは男の人に優しくされるといやと言えない自分の困った性格を歌う。(これが「いやとはいえないの!」という曲で、組曲では1曲目のオープニング冒頭で歌われる。)
 ところで、ローリーに冷たくされたカーリーは意地で他の娘を誘う。それを知ったローリーはカーリーに嫉妬させようと農場に働いているひねくれ者のジャッドとボックス・ソシアルに行く約束をしてしまう。でもカーリーとローリーは会ってみるとお互い好きな気持ちを隠せない。第4曲「恋仲だと人は言う」を歌いながら、結局2人はお互いに愛し合っていることを確認する。
 ジャッドの仕事場にカーリーがやってくる。カーリーはジャッドに、「ローリーは俺とボックス・ソシアルに行くんだ。」と高らかに告げる。そして嫌われ者のジャッドも本当はいい奴だがみんなが誤解しているという意味のことを、ジャッドが自殺して村の人々に悲しまれるという情景を想像した歌で歌い、ジャッドもつり込まれその場面を目に浮かべて、ミュージカルの主題歌としては型破りの内容の第5曲「きらいなジャッド」を歌う。一方、ローリーはカーリーを想い、第6曲「私の夢から」を歌いながら、空想の世界に入って行くが、本物のジャッドが現れて現実に帰る。
 その日の夕方、スキドモアの農場はボックス・ソシアルの集いで賑わっている。農夫も牧童も一堂に会しているが、互いに言いたい放題悪口を言い合っている。第7曲「農夫と牧童」である。途中でけんかになりかけるが、エラー叔母さんが「みんなこの言葉を覚えておいてほしい。『私は他人より立派だなんていう気はないけれど、そう悪いとも思っちゃいない』」と言って騒ぎを静める。皆は歓声をあげてこれに応えて楽しく歌う。
 そしてランチボックスの競り売りが始まった。カーリーは有り金全部はたいて遂にローリーのランチボックスを競り落とす。また、アド・アニーのボックスも結婚まで考えていなかったアリが譲って、ウィルのものとなる。
 それから3週間後、ローリーの農場の裏庭でカーリーとローリーの結婚パーティーが開かれようとしている。そこに酔って嫉妬に狂ったジャッドが飛び込んできてカーリーに決闘を挑む。それを止めようとカーリーは必死に争うが、ジャッドは誤って自分のナイフの上に倒れ息絶える。大騒ぎとなるのだが、カーネス判事が臨時裁判をその場で開き、カーリーの無罪が宣告される。
 折からオクラホマが合衆国の州となった喜びを居合わせた人は現在のオクラホマ州の州歌となっている第8曲「オクラホマ!」を合唱し、カーリーとローリーも晴れて結ばれ、今度は本物の四輪馬車でハネムーンに出発する。


−第121回定期演奏会プログラムより−



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