2007年10月16日 茨城新聞

 日米共同訓練開始 騒音「いつもの百里」
胸なで下ろす住民ら
 在日米軍再編に伴う航空自衛隊百里基地(小美玉市)への日米共同訓練移転は十六日、米軍のF16戦闘機と百里のF15戦闘機による本格的な戦闘訓練を開始した。午前、午後二編隊ずつの戦闘訓練で、延べ十五機の戦闘機が離着陸。騒音は基地に最も近い測定地で「鉄道のガード下程度」(現地対策本部)だったが、戦闘機の発着を見守った自治体関係者やふだん通りの生活を送る周辺住民らは「いつもの百里と変わらない」と、胸をなで下ろした。

 ■数分で4機離陸
 戦闘訓練はF16、F15それぞれ一−二機ずつが編隊を組んで実施、一編隊が基地を離陸して着陸するまでのフライト時間はおよそ四十−五十分だった。
 午前九時二十分すぎ、第一編隊の一機目が滑走路を離れると、わずか二−三分間で四機目までが基地北方の空に消えて行った。第二編隊が離陸したのは同十時五分過ぎ。その十分後には、鹿島灘沖上空での訓練を終えた第一編隊が南方の空に豆粒ほどの大きさで姿を現し、見る見る大きくなって滑走路に滑り込んだ。午後も二編隊が同様に訓練をこなした。
 各戦闘機とも淡々と任務をこなしては戻る、といった印象を見る者に与えた。

 ■F16上回るF15
 戦闘機の離着陸時の騒音測定は、防衛省北関東防衛局による現地対策本部が基地周辺の五市町でそれぞれ一カ所ずつ、計五カ所で実施した。
 このうち、基地に最も近い(北方約一`b)小美玉市上合の上合公民館で行われた測定では、騒音の最大値はF16が九三−九八デシベル、F15が九五−一〇〇・五デシベル。機体の大きいF15の騒音がF16より大きかった。測定員らによると、電車の通る鉄道のガード下の騒音が一〇〇デシベル程度という。

 ■警戒緩めず
 戦闘機の発着状況は小美玉、鉾田、行方、かすみがうらの四市と茨城町の首長や議会幹部、住民らが基地内で視察し、滑走路間近の管制塔横の二階バルコニーから見守った。
 滑走路から浮き立った戦闘機が機種を鋭角に傾けて上昇する際には耳を突く騒音で会話がかき消されたが、数秒もすると「それほどでもないな」などの声が漏れた。第一編隊の離陸後、島田穣一小美玉市長は「騒音は日ごろの訓練時と変わらないのではないか。協定に沿って三日間の訓練が無事終わるのを願っている」と話した。
 周辺住民も「さほどでもない」「いつもより静か」と口をそろえたが、「百里基地周辺地域整備協議会」の藤田幹泰会長は「今回はこの程度で済むかもしれないが、今後どのような戦闘機が来るか、夜間・早朝の訓練が行われないか心配。治安対策も手を抜かないでほしい」と、警戒を緩めなかった。

 ■計12カ所で測定
 戦闘訓練は十七日午後からF16、F15各四機ずつの編隊へ移行する計画で、当初の予定を変更して十八日午後まで実施するという。
 現地対策本部による騒音測定も周辺自治体からの要請で、十七日はさらに七カ所増やし計十二カ所で実施することになった。米軍外出時のトラブル防止を図る同本部の基地周辺巡回は、市街地を中心に訓練終了まで終日続けられるという。