2007年10月16日 茨城新聞

日米共同訓練移転 きょう本格化 百里にF16到着
2007/10/16(火) 本紙朝刊 総合1面 A版 1頁
 在日米軍再編に伴う航空自衛隊百里基地(小美玉市)への日米共同訓練移転は十五日、三沢基地(青森県)に駐留する米軍のF16戦闘機五機が百里に到着、訓練準備を整えた。訓練は十六日から本格化し、百里配備のF15戦闘機との実戦的な戦闘訓練が十八日までの三日間、鹿島灘沖上空で実施される。米軍再編に伴う訓練移転は国内他基地で既に五回実施されているが、百里では初めて。十九日の訓練終了まで、防衛省北関東防衛局が基地内に現地対策本部を設置、騒音対策や米軍兵によるトラブル防止などの安全対策に当たる。

 訓練に参加するのは、米軍側が三沢基地駐留の第三十五戦闘航空団のF16戦闘機五機と人員約八十人、航空自衛隊側から第七航空団(百里基地)のF15戦闘機四機程度と人員、中部航空警戒管制団(埼玉・入間基地)。F16は十五日午前十時前に三沢をたって同十一時十分すぎに百里上空に姿を現し、前方三機、後方二機の編隊で上空を旋回した後、一機ずつ滑走路に着陸した。
 訓練はF16、F15の異機種による対戦闘機戦闘訓練で、百里から約六十`b離れた鹿島灘沖上空の東西約八十`b、南北約二百`bの空域で実施される。
 第七航空団司令部の佐口謙一監理部長によると十五日現在、戦闘訓練は十六、十七日の午前、午後一回ずつと十八日午前一回の計五回を計画。十七日午前まではF16とF15二機ずつの二対二、同日午後からは四機ずつの四対四で実施する予定。
 F16とF15が敵対する想定で、F15側は空域防衛のため模擬に相手を追い込んだり、攻撃したりするのが訓練の主眼という。戦闘機が基地をたってから戻るまでおよそ三十−四十分で、実際の戦闘訓練時間は十分程度。訓練後は毎回、日米双方による反省会でポイントを確認する。
 佐口部長は「実戦ノウハウの豊富な米軍機の動きは参考になる。(共同訓練は)空自のパイロットにとって貴重な経験」と話した。
 現地対策本部は総括・広報班、調達・巡回班、騒音測定班などの約四十人で構成し、騒音・安全対策に当たり、住民対応の窓口にもなる。周辺五市町で一カ所ずつ騒音測定するほか、米軍が外出時にトラブルなどを起こさないよう基地周辺を巡回する。
 米軍再編に伴う共同訓練移転は、米軍の嘉手納(沖縄県)、岩国(山口県)、三沢基地から空自の百里、築城(福岡県)、千歳(北海道)など六基地に分散移転。本年度は各基地で二回ずつ、合計で十五回程度実施される見込み。地元市町村には国から交付金が支給されることになっており、小美玉、鉾田、行方の三市は今年一月、旧東京防衛施設局と騒音・安全対策や地域振興策に関する協定を締結している。

【写真説明】
百里基地に到着した米軍のF16戦闘機=15日午前11時30分すぎ、小美玉市