2007年10月19日茨城新聞

百里共同訓練 防衛能力向上に貢献 実質終了で日米が評価
騒音、住民は冷静
 在日米軍再編に伴う航空自衛隊百里基地(小美玉市)への日米共同訓練移転は十八日、米軍のF16戦闘機と百里のF15戦闘機による戦闘訓練を実施、実質的訓練を終了した。日米双方の訓練責任者は訓練終了後、「両国の防衛能力向上へ重要なステップとなった」「騒音、治安面でも住民に理解してもらえたのではないか」などとの認識を示した。懸念された騒音に対する周辺住民の反応は比較的冷静で、米軍による治安トラブルも確認されなかった。米軍は十九日、三沢基地(青森県)に戻る予定。

 戦闘訓練はこの日、午前がF16、F15各四機ずつの四対四訓練、午後は三対四訓練を一回ずつ鹿島灘沖の上空で実施。共同訓練移転としては十六日からの三日間で、延べ四十五機の戦闘機が百里滑走路で離着陸した。
 訓練終了後、米軍側から第三十五戦闘航空団第十四飛行隊長のチャールズ・トップリカ中佐、空自側から第七航空団飛行群司令の田中久一朗一等空佐が会見。今回の訓練の意義について、チャールズ氏は「両国の防衛能力強化となる相互運用性の向上へ、重要なステップとなった」、田中氏は「日米の戦術技能向上のため有意義な訓練となった」などと話した。
 周辺住民が抱える騒音・治安面の不安については、チャールズ氏は「地元住民の信頼と支援を得ることを重視した」と、米軍としての配慮を強調。田中氏も「戦闘機の飛行方法など従来と特に変わったことはなく、治安についても大きなトラブルはなかった。住民にも理解していただいたのではないか」との認識を示した。
 防衛省北関東防衛局は訓練開始の十五日から基地内に現地対策本部を設置し、周辺五市町での騒音測定や米軍によるトラブル防止を図る巡回を実施。
 騒音測定結果は「分析後、速やかに公表する」としているが、周辺住民の間では「いつもの百里と変わらない」などとの声が多く聞かれた。米軍によるトラブルについては、一部が基地から外出したが、「トラブルはまったくなかった」(現地対策本部)という。
 米軍再編に伴う共同訓練移転は、米軍の嘉手納(沖縄県)、岩国(山口県)、三沢基地から空自の百里、築城(福岡県)、千歳(北海道)など六基地に分散移転。本年度は計十五回程度実施される見込みで、各基地二回程度ずつと見られているが、百里での二回目の実施時期は未定という。