2007年11月23日 茨城新聞

「アメとムチ」鮮明 県内5市町に6億円 米軍再編交付金
 防衛省は二十二日、在日米軍再編を受け入れた三十三市町に支払う二〇〇七年度分の再編交付金額を決定、各市町に通知した。航空自衛隊百里基地(小美玉市)への日米共同訓練を受け入れた同市など周辺五市町には、合わせて六億円が支払われる。総額は四十五億六千九百万円。再編計画に反対する沖縄県名護、神奈川県座間、山口県岩国の三市は既に支給対象の「再編関連特定周辺市町村」から外されているが、あらためて「アメとムチ」の手法が鮮明になった形だ。
 県内五市町の再編交付金額は小美玉市二億七千四百万円、鉾田市と行方市各一億二千七百万円、茨城町五千四百万円、かすみがうら市千八百万円。本年度から十年間支払われ、五年間は同額で、六年目以降は10%ずつ減額される。
 交付金の使途について小美玉市の島田穣一市長は「基地周辺地域整備協議会の要望を十分考慮しながら交付金の有効活用を検討し、事業推進に努めたい」との方針。行方市の坂本俊彦市長は「これまでの特定防衛施設周辺調整交付金に比べ、弾力運用が可能だと聞いている。議会や市民の要望を考慮して使途を決めたい」と話した。
 小美玉市では既に、基地周辺住民でつくる百里基地周辺地域整備協議会(藤田幹泰会長)が同市からの要請を受け地元要望を取りまとめ中で、近く市に要望書を提出する予定。市ではこれを基に十二月市議会で予算化する方針という。
 藤田会長は「交付金額は思っていたより多かった。今回は急きょ、要望をまとめる形だが、来年度からはじっくり腰を据え有効活用したい」と話した。
 交付額が最も多かったのは、原子力空母が米横須賀海軍施設に配備される神奈川県横須賀市の五億八千四百万円。次いで米軍のミサイル防衛用移動式早期警戒レーダーが車力通信所に配備された青森県つがる市の三億七千七百万円、沖縄の嘉手納基地から戦闘機訓練が移転される航空自衛隊新田原基地を抱える宮崎県新富町の三億四千九百万円だった。
 再編計画で対象となる自治体は四十。防衛省は十年間の支給総額について、計画に反対する三市や交付額未定の四市町村も含め、一千億円前後と見積もっている。(渡辺勝、塚本宣夫)

 再編交付金
 2007年5月に成立した米軍再編推進法に基づき、防衛省は10月末に33市町を「再編関連特定周辺市町村」に指定、再編事業の進ちょく度合いや負担の重さに基づき、自治体ごとに交付額を算出した。今月13日に米軍キャンプ・ハンセンを陸上自衛隊と共同使用することを受け入れた沖縄県の金武町、宜野座村、恩納村の3町村については、支給額を算定中。空中給油機の訓練が実施される鹿児島県鹿屋市は、具体案が決まっていないため、今回は指定が見送られた。