2002年3月7日
しんぶん赤旗

 騒音問題  全国の問題はこちらへ

2005年10月28日 しんぶん赤旗
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       爆音が年間2万回も 電話もテレビも聞こえない
2003年度
 
 情報公開制度を利用して、茨城県環境対策課から入手した測定結果を集計したものが2つの表です。茨城県は小川町与沢(滑走路南側)と鉾田町紅葉(滑走路北側)の2カ所で常時騒音測定を行っていますが、その結果を利用して対策を立てることはしていません。このグラフでは過去8年間の騒音状況を集計しました。
 小川町与沢の年間の騒音回数(70dB以上)は20,067回で、この8年間で2番目に多くなりました。1日平均にすると54.8回になります。百里で飛行訓練のある日は年間約220日ですから、訓練日の平均を出すと88回になります。これは百里基地所属の戦闘機・偵察機・練習機・救難機の総数に相当しますので、平日(土日・祝日は基地もお休み)はすべての飛行機が訓練を行っていることを物語っています。なお、鉾田町紅葉の騒音回数と合わせれば、年間約4万回になります。
 米軍普天間基地の年間約12万回(2002年度)に比べればずっと少ないですが、騒音の大きさの平均が94.9dB(2003年度)で、パチンコ店の中や大型トラック通過時並です。これが平日には88回も聞こえるのです。環境基準を大きく上回るうるささ指数が記録されているのは当然でしょう。夜の7時以降の騒音も全体の1割ほどを占めています。夜間訓練の行われる時には夜もうるさいのです。
 茨城県と周辺市町村は騒音を防止・低減するための飛行協定を基地側とすみやかに結ぶべきです。全国の自衛隊基地では協定が結ばれているのですから。

   百里基地航空機騒音の年別集計 小川町与沢・運動公園 1996年年度〜2003年年度

0時〜7時騒音回数 7時〜19時騒音回数 19時〜22時騒音回数 22時〜24時騒音回数 騒音回数(70dB以上) 年の日数 訓練日数 訓練無日数 休日飛行日数 日平均回数 実日平均回数 平均dB WECPNL
の平均
1日最大回数
1996年度 91 15880 1228 6 17205 365 220 145 44 47.2 78.9 91.8 83.7 217
1997年度 43 16495 1392 11 17941 365 220 145 39 49.2 81.2 86.3 83.8 240
1998年度 156 17184 1446 7 18793 365 224 141 37 51.5 84.6 91.3 83.8 242
1999年度 69 16129 1254 11 17463 366 222 147 47 47.7 78.7 92.7 84.3 199
2000年度 93 17645 1432 13 19183 365 225 140 60 52.6 85.3 92.5 84.4 254
2001年度 112 18625 1587 15 20339 365 220 145 47 55.7 92.5 92.4 85.2 238
2002年度   86 17171   1023   22   18302  365 218 147 41 50.1 84.0 92.0 84.2    299
2003年度 98 18573 1387 6 20067 366 228 138 47 54.8 88.0 94.9 86.9 288

*訓練日数は10回以上の日。訓練無日数は10回未満。
*平均dBは音の大きさ(dB=デシベル)の平均。
*WECPNLは、うるささ指数といい、騒音のひどさを示す数値。国の定めた環境基準は、70以下である。
*「百里基地周辺航空機騒音測定結果月報」(茨城県生活環境部環境対策課資料)より作成

 


全国の騒音問題

普天間基地 爆音なくせ 訴訟団が結成大会

2002年7月3日 新聞赤旗

 沖縄県宜野湾市の米海兵隊普天間基地周辺の住民が2日、「普天間米軍基地爆音防止訴訟団」結成大会を同市内で開き、約100人が参加しました。同基地をめぐる爆音訴訟は初めて。
 大会では、準備会の島田善次副会長(訴訟団長)があいさつ。嘉手納米軍基地爆音訴訟原告団の代表らがあいさつしました。島田氏は、「静かな環境を取り戻したいというのは、党派を超えたみんなの願い」と決意を表明しました。
 弁護団準備会の荒垣勉弁護士は、「県民の生活空間から基地の爆音を取り除くことです。支援者とスクラムを組んで勝利までたたかい抜きたい」と訴えました。
 訴訟団では今後、地域での説明会を開き、約200人の原告団を編成、今年十月初旬をめどに、提訴を予定。
 訴訟では、日本政府と米国政府に,@夜7時から翌朝7時までの飛行及びエンジン調整の禁止A市街地上空での演習・訓練の中止B昼間の騒音を65デシベルいかに制限すること。また、日本政府に、過去及び差し止めがなされるまでの損害賠償を求めるとしています。

新横田基地公害訴訟で判決 米軍機騒音の違法性認定
米国の出頭認めず、飛行差し止め却下

2002年6月15日 日本平和新聞

 5月30日、東京地裁八王子支部は、米軍横田基地(東京福生市、昭島市など)のもたらす米軍機騒音被害に対し損害賠償や夜間早朝の飛行差し止めを求めていた住民の訴えに大使、判決を言い渡しました。これについて、新横田基地公害訴訟檀徒同弁護団は、次のような声明を発表しました。(以下略)

爆音からの救済どこ?新横田基地訴訟
「米軍活動、裁判権及ばぬ」 最高裁初判断 住民の上告棄却

2002年4月13日 朝日新聞

 米軍横田基地(東京都福生市など)の軍用機騒音に苦しむ周辺住民らが米国政府に、夜間早朝の飛行差し止めと損害賠償を求めた「新横田基地訴訟」で、最高裁第二小法廷は12日、住民側の上告を棄却する判決を言い渡した。福田博裁判長ら5裁判官は全員一致で「米軍の公的活動には日本の民事裁判権は及ばない」判断した。

 

小松基地騒音3,4次訴訟判決
  救済範囲を拡大

 金沢地裁、国に8億1384万円命令
  2002年3月7日 毎日新聞

 石川県小松市の航空自衛隊小松基地周辺の住民ら176人が国を相手取り、夜間や早朝などの自衛隊機・米軍機の飛行差し止めやこれまでに受けた騒音被害に対する損害賠償21億1800万円、今後の賠償を求めた小松基地爆音訴訟第3,4次訴訟の判決が6日、金沢地裁であった。渡辺修明裁判長は救済範囲をうるささ指数(W値)75以上とし、80以上とした1,2次訴訟より拡大して精神的被害を認め、1729人に計8億1384万円の支払いを命じた。自衛隊機の差し止めは棄却。米軍機差し止めも請求を退け、自衛隊違憲論への憲法判断も避けた。
 横田基地訴訟最高裁嘉手納基地訴訟控訴審両判決い続き、W値75以上の地域の救済を認めたもので、今後の被害救済に大きく影響しそうだ。
 自衛隊機の飛行差し止めで、渡辺裁判長は第1、2次訴訟の1審と同様、行政訴訟でなくとも請求は可能とした。しかし、「差し止めるほどの被害の申告制は肯定できない」と請求を棄却した。
 騒音被害は75年、国と地元自治体が、周辺住宅地をW値75以下に低減する騒音対策協定を締結。判決は「25年以上たっても不十分」と対策の不備・放置を認定した。
 聴覚障害など身体的被害は、「客観的裏付けに欠ける」と否定。将来の賠償も「(被害に)変動の余地がある」として不適法とした。米軍機の飛行差し止めは「国が制限できる立場にない」と棄却。
 住民側は自衛隊の違憲性を主張したが、判決は「立法、行政機構によって設置・運営している組織に違憲である面があっても、国に私法上の具体的請求はできない」とした。
 小松基地爆音訴訟原告団のコメント 判決は爆音が違法状態にあることを満天下に示した。差し止めがいっさい認められず、憲法判断も示されなかったことは極めて遺憾。控訴し、闘いを継続する。
 谷村明・防衛施設庁施設調査官の話 過去分の損害賠償請求の一部が認容されたことは残念。今後も周辺の生活環境の整備に一層努力していく。