お気に入りの本10選 (読み物編)

最近のテレビやネットの「やっすーい感動」にうんざり・・・。20代や30代にもなって、こんなものでよく泣けるな、と世代間格差を感じることしきりです(ただし、僕も『はじめてのおつかい』だけは必ず大号泣してしまう)。もっとみんな本を読もうよ。本当の感動はモビーディックにあるのだよ。

しかし一方で、読書をする上でもネットの力はすさまじく、何年も読みたくて買えなかった絶版本も、amazonのマーケットプレイスで1円で買えたりするので、それはそれですごくヨイ! ま、僕の場合、「すごく読みたい本」が局地的すぎて世間で全く流行っていないというニッチェメリットがあるわけですが・・・。

オールタイムベストを選べば、レイ・ブラッドベリとか筒井康隆とか原体験的に読みまくった作家がいるわけですが、今の気分で選ぶ30代以降でのセレクトならこんな感じです。書いてみて思ったけど、すごーく文学求道的なモノと、感情を一切切り捨てた理系読書家的なモノの両極端にふれてますな。中途半端なものが一番つまらないということか・・。

 

 

【A&R(上・下)】
ビル・フラナガン

A&Rってレコード会社の職種で新人発掘みたいな仕事ね。音楽業界への就職を少しでも考えたことがある人なら是非一読を。僕が音楽を生業にしなかった理由も、この本に収斂されている気がします。

 

【ハイ・フィデリティ】
ニック・ホーンビィ

これまた音楽好きには最高面白い小説。主人公ロブ=ジョン・キューザックで映画化もされました。イギリスの話なんだけど、映画ではアメリカになってて、「おいっ!」と思ったけど、それはそれで面白かったです。ただ、音楽好きは是非、小説の方を読むべし。「そいつがどんな人かなんて知ったこっちゃない。どんな音楽を聴いてきたかが全てだ」(意訳)ということです。

 

【スノウクラッシュ】
ニール・スティーブンスン

サイバーパンクです。サイバーパンク然とした小説としては久々にいいと思った作品。読者に全く媚びてないので、サイバーパンク慣れしていない人には薦めませんが、僕には超おもしろかったです。

 

【順列都市(上・下)
グレッグ・イーガン

今、どの作家が一番好きか?と言われたら迷いなくグレッグ・イーガンなわけです。読み始めたら止まらない。1日中、本の内容ばかり考えてしまう、という副作用あり。ネットで話題になった「5億年ボタン」とか「どこでもドアの思考実験」なんかは、イーガンの小説のごく一部を薄めてわかりやすくしたもののように感じます。そういうのをちゃんと考えたければこっちを読め!と。

 

 

【祈りの海】
グレッグ・イーガン

こちらは短編集だけど、イーガンは短編モノもすごくヨイです。「ひとりっ子」という短編集も同じ位オススメです。

 

【あなたの人生の物語】
テッド・チャン

テッド・チャンはイーガンの影響受けてる人で、極めて寡作だけど面白い。なんかイーガンの小説は論文みたいだけどテッド・チャンはストーリーテリングもよい、みたいな評価があるようですね。僕は全然そう思いませんが。宗教チックなモチーフも多く出てくるけど、なんか冷ややかに分析してる気がするのは僕だけ?

 

【重力が衰えるとき】 
ジョージ・アレックエフィンジャー

まー、サイバーパンクなんだけど、文体はチャンドラー的なハードボイルドっす。僕、ハードボイルドも大好きなんで、これは評価高いポイント。アラブ・イスラム圏が舞台というところも独特でいいです。ヒューゴー賞は「ハイペリオン」に負けちったけど、僕ならこっちだな。ちなみにタイトルは全く内容を感じさせるものではありません。

おかしな二人】
井上夢人

エラリークイーンみたいな共同執筆作家だった岡嶋二人の誕生から解散までのノンフィクションのドキュメンタリー。ファンだった僕としては涙なしには読めません・・・。

 

少年小説コレクション(全6巻)】
都筑道夫
都筑センセーのマニアと言ってもよいほど、高校生の頃から著作を買い揃え、読みまくっております。まー、一番好きなのは、初期作品(「誘拐作戦」「飢えた遺産」とかは最高っす)とか、昭和50年代前半頃の多作時代なんですけど、最近、入手困難だった少年小説モノが一気に6冊も出版されまして、もちろん即大人買いです(とはいえ15,000円はちと高い。もうちょっと価格は抑えて欲しいところ)。久々、未読のモノを読めるので、今は楽しみながら、少しづつ読んでます。センセーのご冥福をお祈りします。合掌。(「先生」ではなく「センセー」と書いてるのはわざとです。意味はファンの人だけわかればよい。)

 

【東京日記】
内田百

同じく、近隣市町村の図書館で探しまくって読んだ百關謳カ。冒頭書いた通り、なかなか買ったり読んだりできなかったモノもネット時代に突入して一気に買い揃えることができました。旧かなづかいにもだんだん慣れてきて国語が得意になってきた気もします。一応、1冊としては一番好きな「東京日記」で。エッセイの名著も多いですけど、行間や味わいを読めないと面白くないんで、高めの読書スキルが必要。

 

 

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last update 2013.07.07