お気に入りの映画10選 (一般編)

メジャーな作品、ミニシアター系の「ちょっとええ話」みたいなヤツ、果てはSAWみたいなサイコホラーとかまで、オールジャンル結構見てるんですよ。でもこうやって、気に入ってBlu−rayまで買っちゃうような作品を並べてみると、なんだか、「オレって中2病・・・いや、人格破綻してるな」っていう位のヘンさが現れてきますね(笑)。分析すると、僕の構成要素って「60年代」「ストレンジ」「青臭い」「ガーリー」あたりかな?

 

 

 

 

【さらば青春の光】
(Quadrophenia/監督:フランク・ロダム/1979/英)

ピート・タウンゼントの自伝的コンセプトアルバムであるTHE WHOの"Quadrophenia"(四重人格)の映画化。大学時代に見て多大な影響を受け、完全にMODS化していました。当時はMODSという言葉自体あまり一般化しておらず、そのカッコって何?みたいな感じで見られていましたが・・・。実は冒頭シーンがエンディングの続きなので、そこに気づかないと最後のシーンも邦題も意味不明になるのでご注意を。

 

ロシュフォールの恋人たち
(Les Demoiselles de Rochefort/監督:ジャック・ドゥミ/仏/1967年)

多分、誰もが聴けば、「あー、これか」と思うであろう「キャラバンの到着」で始まるミシェル・ルグランの音楽が最高です。サントラは永年愛聴してたけど、映画の方は、社会人になってから、ようやくリバイバル上映で見れたのですが、想像を超える素晴らしさ。ミュージカル映画自体があまり好きになれないのですが(「なんで急に歌いだすねん!」って思わない?)、これだけは別格。美しくて白くて楽しい映画。レーザーディスクを大事にしてたけど、その後、リマスターDVDが再発され購入。

 

 

【真夏の夜のジャズ】
(Jazz on a Sunner's Day/監督:バート・スターン/1959/米)

最高の音楽映画はこれ。ミュージシャン達のファッション、クールな演奏、ハイソな観客、どれもカッコいい。僕のベストは、クールジャズの始祖ジョージ・シアリング。僕も使い倒していた「シアリング奏法」(オクターブ8度の中にコード構成音を含める弾き方ね)のシアリング。こんな感じだったのかと感心しきりです。
ジャズ映画は他に「BLUE NOTE ハート・オブ・モダン・ジャズ」。バド・パウエル、セロニアス・モンク、ホレス・シルバーなどメインストリームのジャズメンならこちらです。個人的にはホレス・シルバーが大好きです。

 

 

【スローガン】
(Slogan/監督: ピエール・グランブラ/1968/仏)

日本でも一部のコアなマニアに大人気のセルジュ・ゲンズブール。僕もその1人で、ゲンズブール映画は全部好きだけど、一番好きなのは、これです。内容なんか関係なく、60年代のベニスや、60'sの服や小物がみんなおしゃれでかっこいい。バーキンも一番輝いてると思います。「ジュテーム・モワ・ノン・プリュ」が人気だけど、僕は「スローガン」や「マドモワゼルa GO!GO!」なんかのお気楽路線の方が好きだな。

 

【茂みの中の欲望】 
(Here We Go 'Round The Mulberry Bush/監督:クライブ・ドナー/1967/英)
92年に今は亡き六本木シネ・ヴィヴァンでのリヴァイヴァル上映で見ました。ザコレクターズ・プレゼンツのヤツね。そのちょっと前にも小西陽康+加藤ひさしプレゼンツで「ナック」も見ました。ストーリー的には「ナック」に似たバカバカしいナンパものなんだけど、カラーでPOPだし、60年代のロンドンの風景や空気感が最高なんですよね。ちなみに今、なかなか見れませんが僕はビデオ持ってます。

 


アンナ】
(Anna/監督:ピエール・コラルニック/1966/仏)

アンナ・カリーナのフレンチ・ミュージカル。ゴダール映画の彼女もステキだけど、僕はやっぱり音楽もゲンズブールなこちらが好きです。POPでかわいい。DVDも買って何度も見てます。

 

【パリところどころ
(La Matriarca/監督:パスカーレ・フェスタ・カンパニーレ/1968/伊)
昔、ピチカート・小西さんがコラムで、オムニバス映画のベスト10を挙げていて、それのリバイバル上映をチェックし続けて、90年代中には大体全部見ました。他には「昨日・今日・明日」とか、「二十歳の恋」とかが印象に残ってますけど、やっぱり小西さんが1位にしてるだけあって、これが一番よかったです。取り立ててすごいことが起きるわけでもなく、それぞれちょっとした話なんだけど、面白いんだよね。あと、オムニバス映画だと「KISS! KISS! KISS!」っていうヌーベルバーグものをよく覚えてるな。全部、キスの話で、深夜に女のコと見に行ったから覚えてるだけかもしんない(笑)。

 

 

【女性上位時代
(La Matriarca/監督:パスカーレ・フェスタ・カンパニーレ/1968/伊)
衣装とかインテリアが最高なイタリア・モンド系映画の傑作。見所は、突き抜けたストーリーのアホさ加減、イタリアンモダンなインテリア、スパークの60年代モードファッション、アルマンド・トロヴァヨーリのハモンドによるボッサなサウンド。特に、カトリーヌ・スパークの服がみんな可愛くて、とにかく衣装が変わります。90年代はとにかくこういう映画がどんどん上映され、DVD化されていたので、「Sesso Matto」とか「黄金の七人」シリーズとか見まくった。今、思うと意外と「はっぴいな日々」だったかもしれないし、現実逃避していたのかもしれない・・・。

 

 

電撃フリントGO!GO!作戦】
(In Like Flint/監督:ゴードン・ダグラス/1966/米)
オースティンパワーズも元ネタにしているB級スパイもの(いや、作ってる方はB級と思っていないフシがある)。フリント(ジェームズ・コバーン)が、ちょっとサル入ってるクセに、フザけてるほど超人。自在に心臓を止めて敵地に乗り込んだり、吹き矢の先端についてる毒をちょっと舐めて、産地を特定したり・・。美人の奥さんが4人もいて(日本人もいる)、超豪邸に住んでる。笑うなっていう方が無理なんだよなぁ。2作目の「電撃フリントアタック作戦」の方も楽園趣味で一層ゴージャスに撮ってる感はあるんだけど、演出はカッタるく、イマイチです。

 

 

【殺人狂時代】
(監督:岡本喜八/1967/日本)

これは、大好きな作家の都筑道夫先生の「飢えた遺産」(その後「なめくじにきいてみろ」に改題)の映画化です。原作には全くない、笑いやスラップスティック要素が前面に出ていて、原作を活かしているのは基本設定と、殺し屋の技の数々って感じですが、よく仕上がってて面白いです。大学時代は大学と同じ駅にある文芸座に多く行ってましたが、今は亡き大井武蔵野館まで足を伸ばすこともそこそこあって、そちらで見たと思います。大井武蔵野館は「石井輝男特集」とかもよくやってましたよね。何の前提知識も持たず「恐怖奇形人間」とか見ちゃってぶったまげた記憶もあります。
 

 

【以下、次点】
※サイトを簡潔にしようと思って、各ページを全部「10選」としちゃったため、以下は選外。好きですけどね。


 

【女は女である
(Une femme est une femme/監督:ジャン・リュック・ゴダール/1961/仏・伊)
通ぶってゴダール作品も結構持ってるんですけど、YMOみたいにただモニタで流しておくっていうのが正しい使い方なんじゃないか、という色彩感覚ですよね。映画として面白いかという観点になるとまた話が違うワケで・・・。その観点だと、有名なヤツよりも、このヘンの初期作品の方が個人的には好きです。ゴダールのカラー1作目で、アンナ・カリーナが出てて、スコアがミシェル・ルグラン。僕寄りですよね。

 

【海辺のポーリーヌ】
(PAULINE A LA PLAGE/監督:エリック・ロメール/1983/仏)

甘ったるくて、乙女チックで、基本は大したことが起きず、どれも似たような話と言えばその通り。でも、やっぱり好きなんすよね、ロメール。新作を劇場に見に行くと、結構、高齢の女性の方とかが多くて、やっぱりいくつになっても女性は「乙女」なんだなぁと。またそういう落ち着いた空間で日曜日の朝とかに見ると、なんか気分いいんだよね。一番好きなのはこれ。2番目は「冬物語」、3番目は「夏物語」と四季シリーズが続きます。ロメールものは意外とDVD化が進んでなくて、今もビデオとかPAL方式とかで持ってます。

 

 

小さな恋のメロディ】
(Melody/監督:ワリス・フセイン/1971/英)
言うことないエバーグリーンです。ピチカート・野宮真貴ちゃんもギンガムチェックにノックアウトされたって「おしゃれ手帖」に書いてました。今見ると、なんだか映像が、自分たちの小学生の頃みたいな70年代感があるんだよね。なんか懐かしくホロ苦い。

 


 

 

【オースティン・パワーズ】
(Austin Powers/監督:ジェイ・ローチ/1997/米)

90年代の60年代リバイバルにも一役買った60年代カルチャー満載の映画。バカラックまで出てくるんだからすごいよね。でもストーリーは、オバカで下品で、完全にドリフ。「志村ーっ、後ろーっ」って感じです。2作目・3作目とだんだんダメになっていくところも、予想通りなんだけど、この1作目はアイデア満載で、キレもあって最高です。
【ヘカテ】
(Hecate/監督:ダニエル・シュミット/1982/スイス)
異国情緒系ビジュアル映画の最高峰と思ってます。僕の中の異国情緒モノはこれと、ロバートワイズの「ふたり」ね。あれも最後はシリアスな話だけど前半のマラケッシュがいいんだよね。
最近では、ミュージックマガジンで細野晴臣さんが人生で影響を受けたレコードに「ヘカテの冒頭に流れるテーマ曲」と挙げていたんで、どんなのだっけと思って見直してしまいました。確かにこれはすごくヘンで魅力的な曲だ。

 

【ゴーストワールド】
(Ghost World/監督:テリー・ツワイゴフ/2001/米)

中野翠が「ブシェーミが出てる映画に外れなし」とかって言ってたと思うんだけど(違ってるかも)、これもその法則通り、当たりです。冒頭のイーニドがモハメド・ラフィで踊るの図や、美術の先生のキャラとかいちいち面白い。そして本質的なテーマは僕の大好きな「青春の終わり」。似たようなヤツだと、トッド・ソロンズの「ウェルカム・ドールハウス」なんだけど、あれはもっと、とことん救いようがなくて泣けた。娘を持った今、そのヘンを見直すと落ち込みそうな気がするのでやめておきます。

 

 

赤い砂漠】
(IL DESERTO ROSSO/監督:ミケランジェロ・アントニオーニ/1965/仏・伊)
サブカル好きの必須科目な気がするアントニオーニ。「欲望」とか「砂丘」とか、よく上映してましたよね。これはその後おなじみの「不条理」っぽさも少なく、個人的には一番好きですね。モニカ・ヴィッティがキレイだし、撮り方もセンスいい。

 

【ひなぎく】
(Sedmikrásky/監督:ヴェラ・ヒティロヴァ/1966/チェコ)

チェコのヌ−ヴェルバーグ映画らしいですね。たまたま昔からビデオ持ってて、随分、頼まれて人に貸した覚えがあります。斬新、実験的、ガーリーもの、毒がある。同じガーリーものでも「アメリ」とかとは違う。でも、あれはあれで、ジャン・ピエール・ジュネなんだよね。もっとオドロオドロのヤツが撮りたいくせにー、っていう気がしますよね。

 

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last update 2013.07.14